2018年11月30日金曜日

LPWAと家電


LPWAとリモートメンテは相性が良い。しかしそれ以上に良いのは、稼働状況が確認できる点だ。

例えば、エアコン。定期的に掃除をすることでエアコンの寿命を延ばすことができるのは自明だろうが、ではどの程度サボるとどの程度劣化するのか。ベンダの試験でも勿論測定されるが、LPWAであればその何千倍、何万倍というデータを取得することができる。

例えば、掃除の程度によって効率がどの程度落ちるのか。設置場所によって、モーターにどんな負荷が掛かるのか。屋外機の日照や温度が効率を落とす割合は。そういった知見は飛躍的に広がるはずだ。これをまた新製品にフィードバックできれば、製品の性能は大いに向上する。

これはUIの向上にも貢献する。使いやすいスイッチ、分かりやすい説明が、どの程度エアコンの掃除率を上げるかが分かれば、双方の落とし所を探る手助けになる。マーケティングにもなる。

単に機器のメンテに使うよりも、むしろこちらの方に高い価値があるかもしれない。モニタとしてお金を貰っても良いくらいだと思う。テレビの視聴率モニターのようなものだ。
全製品に付けるのか、モニターとしてお金を貰うのか。まあ考え方は色々あるにせよ、それで家電の機能性能が向上し安価になるのであれば、大いに歓迎だ。ぜひ推進してもらいたい。

2018年11月29日木曜日

キャリアLPWA+SNS


遠隔機器間の通信は、もうキャリアLPWA+SNSで良いのではないだろうか。その上で、SNSの内容について緩い規定をする。キャリア先導でその規定を決めてしまえば、あらゆる機器間の通信はこれでお終いだ。

「緩い規定」というのがミソだ。SNSには送り先があるが、様々なところから送られてくるし、送るたびにプロトコルが違うかもしれない。そこで、受信したメッセージは全てAI解析する。そういう仕掛けを先に作ってしまうのだ。

従来のAPIはかっちり決められていて、得てしてそれがセキュリティリスクになることがあった。つまり、プロトコルをしっかり決めるのは良いが、それを狙ったマルウェアが登場し、結局はそれに対応したチェックが必要になる。しかし最初からAIが受け取ると規定してしまえば、例えば異常な長文や特殊文字が来れば最初から警戒するだろうし、一度騙されたと分かれば学習も自動で行う。

殆ど間違わないがたまに大きなポカをするのと、しばしば間違えるが大きなミスはしない、というのとどちらが良いだろうか。究極の二者択一なら、後者を選ぶ場面もあるだろう。今までは前者しかなかったのだから、後者が発達することは新たなビジネスチャンスではないか。

搭載されるAIは差別化要素になるから、同じ種類のIoTでもベンダやランクが違えば微妙に動作が異なる。そんな人間くさいIoTができるかもしれない。

2018年11月28日水曜日

IoT網AIによるデータスクリーニング


IoTが盛んになってくると、多種大量のデータが送られることになる。しかしこの大部分は無駄に捨てられるだろう。なぜなら、受け取るのも保存するのも計算するのも、膨大な計算機資源を要するからだ。せっかくデータがあるのに、使われるのはほんのちょっと。そんな時代がもうすぐ来るものと予測する。

そんな時代に必要なのは、どんなデータを生かしてどんなデータを捨てるのか、を判断する能力である。いわゆるエッジコンピューティングにおいて、AIを使ってデータの取捨選択をする。一方でそんなエッジのAIを騙す、すり抜ける異常データをどう拾うか。情報を集約するデータセンターの役割は。あるいは網で計算するような、新たなAIができるのか。

今の時代、エッジの通信はキャリアLPWAではないかと思う。そうなれば、通信速度はかなり遅いものになるだろう。そしてやはり、エッジの計算能力はそれほど高くないと見込まれる。そんな中、網として計算をやる仕掛けが出てきても良いのではないか。

つまり、エッジノードをニューラルネットワークのノードと見なすわけだ。計算速度は相当に遅いが、遅くて構わない用途なら構わないだろう。その代表は、もちろん網として学習すべき何かであるはずで、上のデータスクリーニングはその最たるものだ。

使われないデータ、要らないデータがどんなものかを、網自体が学習する。網が複雑になればなるほど賢くなる。更には、網自体がAIとなって異常検出をする。そんな未来が、もしかしたら来るのかもしれない。

2018年11月27日火曜日

追加購入QRコードと変形パントリー


商品にQRコードを貼る場合、理由は①広い意味でのスペック:食品トレーサビリティ、成分(アレルギーや食品添加物、カロリー等)、原材料、機能性能、寸法重量、取説、等を知りたい、②トラブルシューティング・修理依頼、③備品・消耗品購入、④廃棄手続き、⑤アンケート、などだろう。恐らくリンクの先はメーカーのホームページだ。そこには定型フォーマットはなく、メーカー毎に異なる。

その商品が食品や消耗品の場合、これに⑥追加購入、という需要があるのだが、これに対応しているサイトはまだ殆どないように思う。リンク先に、Amazonや楽天などの購入ボタンが並んでいたら、どんなに楽だろうと思う。つまり、①商品のQRコードをスマホでスキャンすると、②スマホ内のAmazonアプリが立ち上がり、商品ページに飛ぶ。ただこれだけだ。

おなじAmazonでも、定期購入とか、プライムとパントリーで飛び先が違うと尚良い。もちろんAmazon以外でも良いが、ここで重要なのは、送料を気にせずに気軽にカートに入れられることだ。

そういう意味ではネジ一本というわけには行かないだろうが、パントリーの変形のような仕掛けがあるといいだろう。例えば、週一で発送することに固定しておき、その時までに溜まったモノの合計額によって有料か無料かが決まる、というような仕掛けだ。

これに生鮮品(冷蔵)をくっつけておけば、冷凍食品以外は全部Amazonで、受け取りは常に金曜の夜、などというサイクルができる。これはショップ、受け取り、運送業者の何れにもメリットがある。ぜひ検討してもらいたい。

2018年11月26日月曜日

耐震補強の強制


新しい公共事業を起こさなくても、既存不適格の建築物を耐震補強するだけで、十分に土木業界は潤う。なぜそれをしないのか、理解に苦しむ。

ハコモノと違って話題性がない、経済波及効果がない、という反論が来そうだが、地方においてはハコモノの効果は(実態として)ゼロかマイナスであることが多く、反論としては弱い。それよりも、耐震補強業界が潤うことにはメリットがある。

それは、中小の建築業者が直接潤う点にある。大手ゼネコンの出番があまりないからだ。建物の数は小さいほど多いから、量産効果もここに効いてくる。新しい建物にもそれは安価に供給されることになり、次の大地震でも大いに効果が得られるはずだ。

既存不適格の建物に対する政策は、今はゆるゆるだ。何時まで経っても補強される見込みはない。その大きな理由は、家主の経済的事情だろう。補強に掛かる費用が捻出できない、できたとしても渋る、というところだ。そこで今では、次の大規模改築ないしは建て直しの時に強制される、という緩い基準になっている。

一方で、例えば10年以内に補修しなければ没収、などという強攻策もまた困難だ。実際にはこの中間的な施策が有効だろう。即ち、補修積立金の強制だ。

例えば、15年程度で補修が可能になる程度の額を積み立てることを強制する。保険商品との組み合わせにしても良い。耐震診断を早期にすればするほど、補修を早期にすればするほど、得になる。そういう制度だ。

こうすれば、自然に、緩やかに、建築業界は活性化するはずだ。また、保険業界にも一定の需要が見込まれる。これらには十分な経済活性化効果があるに違いない。もちろん、地震の際の被害も大いに抑えられるのだから、どこもWin-Winでいられるはずだ。

これで浮かばれないのは、津波が心配されている地域だろう。いくら耐震補強をしても、津波に襲われればどうしようもないからだ。これはこれで、別に考える必要があるのかもしれない。

2018年11月25日日曜日

生鮮品通販の工夫


https://cookpad-mart.com/

クックパッドが、生鮮食品の通販に参入した。一風変わっているのが、家に配送するのではなく、近くの保管場所まで取りに行くところ。これは面白いと思った。

今でも、コンビニ受け取りができる通販はあった。しかしコンビニは冷蔵冷凍品が保管できないから、生鮮品は無理だ。クックパッドの場合は、少なくとも冷蔵品が受け取れるように見える。これは面白い。

面白いというのは、受け取る側もそうだが、その場所を提供する側の利である。生鮮品が冷蔵庫に入っているのなら、慌てて取りに行く必要はないからゆっくりできる。その「ゆっくり」に、ついでの何かを組み合わせられないか。
  • 洗濯物をコインランドリーで洗いに出し、その足で生鮮品を持って帰る。
  • 本屋や喫茶などでまったりしてから、生鮮品を持って帰る。
  • スポーツジムで一汗流してから、生鮮品を持って帰る。
  • ちょっとゲームをしてから、生鮮品を持って帰る。
  • コンビニに寄って、更に足りなかったものを買い足す。
他に、
  • 車やバイクで持ち帰りやすいような工夫をする。定型の通函とバイクへの固定冶具など。
  • 保冷品以外の通販と組み合わせる。
  • その場でちょっと加工する(屑葉を捨てる、長ネギを切る、小分けする、ラップに包んで容器を捨てるなど)。
こういったものをくっつければ、単なるついでの場所貸しではなく、積極的な活用が望めるのではないか。

何とくっつけるかには、恐らく複数の正解があるはずだ。地域特性や本人の得意など、色々工夫できる。それはオンリーワンになり得るので、ハマれば成功が持続するだろう。

2018年11月24日土曜日

匿名労組


労働組合が廃れた原因のひとつは、労組で活躍をすると、その後の会社生活で何かと目を付けられることを恐れるようになったからだ。実際、そうなってしまった人も多いだろう。しかしこのために、労働者の待遇は悪くなる一方だ。

そこで考えられるのが、交渉を全て電子化し、匿名で行えるようにする制度である。誰が活動しているのかが分からなければ、圧力も制裁もやりようがない。但し、関係ない第三者が紛れ込まないようにするには、労働組合員であることの証明も必要である。このバランスを、技術で担保する必要がある。

この仕掛けとして、ブロックチェーンを使うというのは直ぐに思いつくだろう。それにどう味付けをするかだが、まず会社には何かしらのIDがあるはずだから、それに証明書を付ける必要がある。スマホか、PCか、ICカードかは分からないが、それを認証に使用する。その上でソフトは、個人を特定できないような暗号化をして、会社との交渉空間と、組合員同士での会話のための空間を準備する。

会話がリアルタイムで行われると個人の特定に繋がるので、基本的には時間を指定しての双方の主張交換のような形になると思われる。これは組合員同士でも同様で、いわゆる裏切り者や内通者を作らないために必要だ。例えば半日毎にしか更新しないチャットのような形が良いのではないか。

もちろん、こんなソフトを素直に会社が認めるとも思えないが、それでも時代の流れが来れば、可能性はあるように思う。そうなれば、多少なりとも健全な労使関係ができるのではないだろうか。

2018年11月23日金曜日

Googleアシスタントによるホームセキュリティ


ホームセキュリティで、鍵を無線で操作するものがある。スマホにソフトを入れておくものだが、単にBluetoothタグを持っていれば近づくことで開く、というものもある。

これはちょっと危険だなあ、と思う。Bluetoothの通信距離は、規格上は最大で100mだ。もちろん実際にそういう機器はないけれども、遠くから電波を盗聴して、それを再送するような機械は存在する。

実際には、チャレンジ&レスポンスなどのワンタイムキーの仕掛けがあれば十分に回避可能なのだが、どうもそこまでやっていると書いているものは見当たらない。

それがそんなに難しいものとも思わないのだが、それでもやりたがらないというのであれば、声で操作するのはどうだろうか。鍵とスマホに同時に同じ音声が入ることをトリガーとすれば、鍵の目の前に本人がいると推定して差し支えないはずだ。

鍵に音声認識を内蔵する必要はなく、スマホが認識したときにマイクの音声をスマホに転送するだけでよい。後はスマホが全部処理してくれる。本人認証も、Googleアシスタントの機能でできるだろう。

こうすることで、鍵が高度なCPUを持たなくても、安全性の高い鍵を作ることができる。もちろん、「開けゴマ」で開くわけだから、ユーザー体験も最高だ。個人的にも、これは欲しい。

2018年11月22日木曜日

I/Oのクラウド対応


先日、PFUのスキャナが発表された。既存の最上位機種のリニューアルだ。この機種はクラウド対応しているが、下位機種は対応していない。

WindowsのPCが未だに手放せない理由の一つがこれだ。色々なI/O機器の多くは、Windowsにしか対応していない。スキャナはその一つだ。プリンタはまだ何とか繋がるが、スキャナでiOSやAndroidで繋がるものは少ない。

こういったものは、今後どんどんクラウドに対応していくのだろうと思う。WiFiに繋がるならもう直接クラウドに、そうでなければBluetoothでスマホとまずつなげ、そこ経由でネットへ。低速のものならキャリアLPWAでもよい。

これにはメリットがある。個々の機種に対応しなくてよいからだ。PCに余計なものをインストールする必要はないし、WindowsだろうがMacだろうがクラウドの前には関係ない。セキュリティもクラウド側で制御できる。盗まれれば遠隔で使用停止することも可能だろう。

PCやスマホに直接繋がるキーボードやマウス、ディスプレイなどはローカルのままだろうが、プリンタやスキャナはクラウドでも良いだろうし、監視カメラやオーディオビデオ、センサー・アクチュエーターなどはクラウド対応になる方がよい。

上のスキャナは最上位機種のみ対応だったが、もっと下の方にもクラウド対応してもらいたい。いちいちPCを出して繋ぐのはもうクールではないし、スマホに有線で繋ぐのはダサい。無線で繋ぐのなら、WiFiやLPWAでつないだ方が有利だろう。

テレビやプロジェクターにもChromeCastなどが内蔵されていれば、もう外に繋がっているのと同じだ。設置し、WiFiとつなげれば設定は全てスマホで、という方が、今後は理に適っているように思う。

他にも、医療機器や作業機器のようなものも、どんどん外に繋がっていって欲しいと思う。もっと機器として独立して、インテリジェントに。これが将来のI/Oの方向性だと思う。

2018年11月21日水曜日

何でもリモートメンテ


大金持ちの家にあって貧乏人の家にないものと言えば、手入れされた庭、生花、熱帯魚水槽、使用人の部屋、勝手口、など等いろいろあるが、その共通点は、家人を煩わせず手入れをする使用人や業者の出入りがあるところだ。

将来的に、これが遠隔操作やロボット操作などで自動化できるならば、中流家庭にもこういったものが降りてきてよいはずだ。モノによって自動化可能な程度は色々違うだろうし方式も複数考えられるが、これはビジネスになるのではないか。

①生花や観葉植物

もちろん造花という手はあるのだが、ここでは本物の植物で考えてみる。これには、植木鉢への仕掛けが有効だろう。温度、湿度、日照、土の栄養状態や水分をセンサで計測して、必要に応じてそれを補充するものだ。既に仕掛けとしては多くのベンチャーが開発しているが、観葉植物や生花用というのはまだ見たことがない。レシピが違うだけなので、展開は難しくないだろう。季節毎の入れ替えには、頒布会を使うと良いだろう。

②熱帯魚水槽

メンテナンスとして、ガラス面の掃除はロボットを使えるだろう。水の汚れは、フィルターを大きめにしておけば殆ど大丈夫なのだが、これも餌を遣り過ぎると効かないので、餌の投入も自動にする。水の交換を不要にするためには、水質のモニターの他に、水質改善剤の投入や、特殊なフィルターを併用する。さすがに水草の剪定は人手が必要なので、月一回程度は人が通う必要があるだろう。

③屋内飼育ペット

ケージとのセットにしておき、ケージに仕掛けを入れる。糞尿の処理と給餌をロボットで自動化できれば、大きくハードルは下がるだろう。また、日々の様子をカメラやセンサでモニタしておき、異常や未病不具合を見つけたら対策キットを送るようにする。

④庭木

巡回警備ロボットは既に存在しているから、これに剪定用のバリカンなどを付けておけば、AIないしは遠隔で操作可能である。もちろん毎日使うものではないので、ロボット自体も巡回するようにすれば費用を抑えられる。

こう考えてみると、意外に実現は近いかもしれない。やる気と費用のバランスが気になるところではある。

2018年11月20日火曜日

非常用キャリアLPWAデバイス


携帯用のソーラーバッテリや手回し充電器が役に立たないということは、別項で述べている。携帯電話というのは意外と消費電力が大きく、こういったものでは追いつかないからだ。逆に言えば、携帯電話以外の超低消費電力デバイスがあれば、それは防災用として貴重だ、ということになるはずだ。

ここで考えるのは、クレジットカードサイズのキャリアLPWAデバイスだ。普段はモバイルバッテリに貼り付いていて、そこからデバイスのスーパーキャパシタに充電している。また、スマホとはBLEで繋がっていて、GPSの情報を定期的に貰い受けておく。一度充電すれば数週間は使用可能とする。

できることはSNSだけとする。タグサイズにしなかったのは、キーボードと表示デバイスをつけるためだ。キーボードはメンブレン、表示はE-Inkかモノクロ液晶にして低消費電力を保つ。送り先はスマホであらかじめ設定しておく。定型短文か自由にタイプするかを選び、送信する。受信も可能とする。SOSボタンもあると良いだろう。SNSとは言っても通常のプロトコルである必要はなく、非常時用に超低消費電力にカスタマイズするのがよい。

この仕掛けがあれば、スマホとモバイルバッテリの両方の電源が切れても、暫くの間通信可能である。また、本人が意識を失っていても、双方向通信が可能なので、遠隔操作で位置を特定することができる。災害時に限らず、例えば子供に持たせるのに安心だし、徘徊確認、物流追跡、機器の保守用など、色々と応用が可能になるだろう。

2018年11月19日月曜日

役に立たない非常時用バッテリ


東北地震の前から、携帯電話を充電するための手回し発電機は持ち歩いていた。そして実際に被災し、手回し充電をやってみたところ、ぜんぜん充電できないことに愕然とした。

今、Amazonで売っているものとして、ケーター パワーボックスというものがある。手回しで5W、足こぎ式で20Wが出るとされている。しかしこれはあくまで最大出力であって、長時間出し続けられるのはせいぜいこの1/5程度、つまり1W/4W程度だろう。

これに対して、例えばSamsung Galaxy Note 9のバッテリは4000mAhだ。3.6Vと仮定すると14.4Whとなる。もし充電効率が100%だとしても、手回しなら14.4時間、足こぎなら3.6時間掛かる計算だ。実際には効率は悪いし、常に同じ出力を出し続けられるわけではないから、この1.5~2倍程度は見込むべきだろう。つまり、とても実用的には使えない。

では太陽電池ならどうか。有名なRAVPower ソーラーモバイルバッテリー 25000mAh で考えてみると、ソーラーパネルの規格は5V/300mA(最大)だそうだ。つまり1.5W。手回しとさして変わらない。25000mAhのフル充電にはいったい何日掛かるのか、計算する気も起こらない。

RAVPower ソーラーチャージャー 【3ポート / 24W】でどうか。これは、大型のバックパック全面に広がるような面積だが、この最大24Wというのは、当然真夏の正午の太陽を正面から受けた時の話であり、ただテントの上に広げておくだけのような場合には、この数分の一しか発電できない。例えば1/4なら6Wだ。足こぎ発電機とさして変わらない。しかもその間は移動できない。

スマホの超低消費電力モードのみを使うことと、元々消費電力が少ない照明(LED)やラジオに使うことを考えれば、手回しでも良い、と思うかもしれない。しかしこれも、モバイルバッテリを凌駕するものではない。モバイルバッテリを超えるのは、それを使い果たして尚、充電ができない場合のみだが、超低消費電力モードにすれば数日はもつため、その間に自宅か避難所にたどり着けないとは考えにくい。更に、それだけ時間が経っていれば、事態は多少なりとも収拾しているはずだ。

こう考えると、手回し、足こぎ、太陽電池の何れも、非常用バッテリとしては非常に心許ないものだということが分かる。モバイルバッテリを一つ持っていれば十分であり、更に可能ならば、自宅に何らかの施策(燃料式の発電機やソーラーハウス等)をしておいて、まずは自宅を目指すこと、となるだろう。

2018年11月18日日曜日

4DX-WHILL


WHILLは、電動車椅子だ。前輪にオムニホイールを搭載しており、その場で旋回ができる。またBluetooth LE経由でスマホ操作ができる。

スマホ操作ができるということは、コンピュータ制御で任意に動かすことができるということだ。従来の車椅子にはなかった発想だ。これに上下や傾き制御などを取り入れることも、可能なのではないか。

上下動、左右前後への傾きが可能なようにこれを改造することは可能だろう。そうすると、大きくは二つの新たな特性が期待できる。一つは、道路状況に応じて凸凹や傾きがある道において、体が傾くことのないように制御するという使い方。下り坂で前のめりになるのは怖いから、常に正中するように直してやるものだ。そしてもう一つは、積極的にこの制御を利用するというもの。例えば映画館の「動くシート」(4DXなど)だ。

VRや大画面で映画やゲームをしながら、それに合わせて椅子が動くというのは、新たな体験だ。また大画面でなくとも、普通にテレビを見ていてそれを感じるとか、画像に合わせずとも玄関のチャイムに連動させたり、火災報知機や緊急地震速報に連動させるなど、全く関係のない使い方もできるだろう。

もっと言えば、振動や傾きにパターンを当てはめて、言語のような使い方もできるはずだ。右に傾けばどう、前に傾けばこう、振動と組み合わせるとそう、などだ。これは足が悪いだけでなく耳が遠い人にも応用できるので、そういった応用も色々と考えてみるとよいと思う。

2018年11月17日土曜日

アクティブサイレンサー同時通訳


アクティブサイレンサーというのは、既にヘッドホンやイヤホンで実用化されてるように、外部のノイズを逆位相の音波を発生させて打ち消す仕組みだ。これを応用して同時通訳をしよう、というのが本稿のアイデアだ。

この形態は二通り考えられる。第一は自分が装着するもの。通常のノイズキャンセリングイヤホンと同様、外部の音をマイクで拾ってそれを打ち消すところまでは同じだ。それと同時に、その拾った音を音声認識に掛けて、自分の欲する言語で再生する。

こうすると、相手が何かしゃべりだせば、それでも一瞬遅れるだろうが、相手の生の言語を打ち消して、合成音声の翻訳が聞こえる、という仕掛けだ。これなら自分が装着していれば相手の言うことを自然に聞くことができる。

ただ、これだけでは自分の言った言葉が相手に通じない。そこでもう一つの方法だが、これは咽頭マイクと同時発生スピーカーを利用する。喉で発生した音声を同時通訳して、同じくアクティブサイレンサーの原理で自分の声を消し、望む言語の音声合成で発声する、というものだ。

この両方を備えれば、手に機械を持たずとも、言葉の通じない外国を自由に闊歩することができる。ここまでくれば、海外との交流における言語の障壁はぐっと減ってくる。旅行や出張、ビジネスへの抵抗はほぼなくなるだろう。

2018年11月16日金曜日

ヒューマンコンピューテーションとマネタイズ


CAPCHAというのを聞いたことがあると思う。機械ではなく人間が操作しているのだよ、ということを確認するために、OCRでは困難な乱れた文字を読ませる、というものだ。

このCHAPCHA画像は、コンピュータが自分で合成することが大部分だが、例えば郵便番号のスキャン画像を用いることも考えられる。OCRでは読めなかったが住所は読め、郵便番号が逆算できたものとして、その画像を人間が正しく読めれば、それはOCRへの正解付き学習データとなる。ここで、郵便番号が逆算できただけではダメで、番号が間違っていたり人間でも判読不能であれば、学習データにはならない。

ただの合成画像では単なる手間だったところ、こうすることで実用性が兼ねられるのであれば、手間どころかむしろ有益である。こういうものをヒューマンコンピューテーションと呼ぶらしい。

機械学習のデータを兼用する、というのは典型的な使用例だが、同様の用途として名刺のOCRだったり、動物の識別(猫か豹か、等)にも応用できるだろう。ただ、マイナーなアプリケーションでは数が集まらないから、このように双方有益というものは少なく、基本的には報酬を与えてやってもらうようなものになるのだろう。

こういうものは、もっと注意深く設計することによって、大いなる利益をもたらすはずだ。深く考える価値はある。

例えばゲームに仕込むとして、課金アイテムのゲットに取り込めば、無料化や価格低減が図れるのではないか。広告の行動解析に仕込むことも考えられないだろうか。つまり、人が自ら何かしらの行動をしようとしていて、そのちょっとした障壁に使用するのだ。

この際、ゲームと全く関係のない行動をするのでは興醒めというものだ。ダンジョンなら暗号解読、あるいはクイズ(択一問題)などが考えられる。出てきた結果が実際の機械(ゲームプログラム)にとっても分からない場合もあるが、それに合わせてゲームの内容に取り込むことも可能だろう。例えばそれが問題解決のキーワードになる、などだ。その程度であれば、基本のゲームアーキテクチャに影響を与えることなく、ユーザのヒューマンコンピューテーションにモチベーションを与えられる。

それがゲームの体裁をしていなくとも、教育コンテンツをゲームっぽくする、業務アプリケーションであっても、そういう用途をオプションとして用意することは可能だろう。あらゆるアプリケーションにそれを少しづつ埋め込むことでAIが賢くなる、社会貢献できる、そして課金が回避できるのなら、マネタイズに対する広告の次のモデルとして有効ではないだろうか。

2018年11月15日木曜日

協調用AIの人間っぽいアーキテクチャ


別途「協調するAI」で考えたデルファイ法AIアーキテクチャだが、個々の専門家AIのインターフェースは汎用化する必要がある。そうしないと思うようにつながりを制御できない。

また、問題によっては中央は一つではなく、またその一部は協調でなく階層型のAIにする必要がある。これは階層と協調が入り混じった複雑なネットワークを構成することになる。これは現実の世界、現実の組織と似ている。

もう一つ、この専門家AIには、少なくとも三つのインターフェースが必要である。一つは質問そのものを受け付けるインターフェース、その答えを返すインターフェース、そしてデルファイ法による補足情報を受け付けるインターフェースだ。そしてこの三つともが、自然言語やデータファイルなど、あらゆる形態の情報を受け付け、返す必要がある。

専門家AIの最も難しいところはここだ。例えば前に出した例では画像認識AIがあるが、通常の画像認識AIのインターフェースは、フォーマットを固定した画像ファイルの入力と若干の制御、定形の配列を吐き出す口しかない。例えば制御を「学習モード」にして正解付きデータをひたすら読み込ませ、次に「判断モード」に切り替えて新たに画像を入れると「犬の確率10%、猫の確率20%、・・・」という意味の数字の羅列を吐き出す。

しかし、デルファイ法アーキテクチャでは、例えばSNSやメールのようなインターフェースをもって、質問を本文に、データを添付して送信し、返信もメールで、内容は人間が(かろうじて?)読めるテキスト文にする、といったものになるだろう。これはそういった意味でも人間に近いものだ。

AI同士の会話は自然言語経由になるかも知れないし、ファイルの構成について問い合わせに返信できるかもしれない。理解できないと回答拒否するなども含めて「人間っぽい」AIになる。

こうしないと、あらゆる問いに対して答えることができるAIにはならない。もちろん専門家だから大部分は「分からない」でも良いのだ。しかし専門分野であれば、曖昧な言葉に対してもしっかり答えなければならない。そういったAIが多数出現する世の中、それはある意味シュールなものになるのかもしれない。

2018年11月14日水曜日

協調するAI


複数のAIがどう接続すべきかについては、過去に何度か議論してきた。例えば「ご隠居AIとお局AI」「AIの三階層アーキテクチャ」「AGIのアーキテクチャ 」「AIがAIを創る 」「AI学習「辞書」の扱い 」「AIの次のアーキテクチャ的進化 」などだ。

接続する理由は様々だ。オブジェクト指向のように部品化や抽象化する場合もあるだろうし、法律のように基本法と個別法のような明確な上下関係があったり、会社組織のように原則的な上下関係(例外を認める)こともあるだろうし、小集団活動のように知恵の出し合いということも考えられる。その程度によって人はつながりを使い分けるのだが、上に例示したアーキテクチャでは「知恵の出し合い」に相当するものは無い。

このためのアーキテクチャは、フラットな相互接続か、調整役としてのみ働く中央制御AIかのどちらかになるのだろうと思う。拡張性を考えると後者の方が良さそうだ。問題は、個々のAIがその話し合いによってどう学習し、全体としてまたどう学習するのだろうか、というのが良く分からないところだ。

素直に考えれば、出入り口に相当するAIはどうしても必要であり、それが中央制御AIになるのであろうことは容易に想像できる。そして中央制御AIは同じ問題を全てのAIにフラットに投げ、答えを回収する。その上でその回答を統計処理し、再度投げる。これを数回繰り返し、ある程度収束したらそれを答えとして返す。つまりデルファイ法をAIでやる、というのが素直なアーキテクチャになるのではないだろうか。

単に命題に対して答えを返すだけでも大変なのに、デルファイ法を受け付けるAIを作るというのはもっと大変だ。個々のAIのアーキテクチャを考えるだけでも頭が痛いが、それでもこの方法は有効だ。例えば個々のAIは各々の専門家であって、個別の問題では個別に答え、複合問題には協調して答える、ということができるからだ。

例えばこれは総合病院、大きな法律事務所、あるいは新しい政策に対する消費者、業者、法律家の三者の話し合い、といったものを模したものになっている。協調して出した答えは、各々単独のものより極端でなく角が丸い、万人にとって妥協できるものになっているはずだ。

これには、期待できるもう一つの効果がある。個々のAIの専門性を高めることができる可能性がある、というところだ。例えば画像認識において、動物全部を識別するよりは、犬かどうかだけを識別する方が簡単ではないか、ということだ。

中央が「これは何か」と尋ねたとき、犬と猫と豚の専門家AIが居たとして、最初の集計が「犬5%、猫50%、豚90%」と出たとしたら、もう2回目以降では犬AIは休んでよい(自分は関係ない)とすることは可能だろう。一方で「犬5%、猫1%、豚0%」と出たら、今度は犬AIが張り切らなければならない。こうすれば犬AIはより鍛えられる。

デルファイ法AIアーキテクチャ(と勝手に命名したが)は、AI同士の結合を自由にする(問題に応じて専門家を選ぶイメージ)ところまで含め、大いに興味を持てるアーキテクチャだ。今後の研究を期待したい。

2018年11月13日火曜日

VTuber教育ダンジョン


VTuber向けツールが充実してきたことで、仮想的な人物が登場する動画コンテンツが簡単に作れるようになってきた。もうそろそろ、教育コンテンツへの応用が出てきても良いように思う。

元々、教育コンテンツとしての映像は、MOOCなどでは使われてきている。しかしVTuber向けツールを使うことで、これは更なる発展が可能だ。というのは、単に一方通行の映像というだけでなく、理解度に応じて複数のシナリオを用意した、ダンジョン的な作りが可能になるからだ。

教育はゲームになる。おなじみの選択肢は、直前の内容が理解できたかどうかによって分かれていく。それは「理解した」「分からない」でも良いし、ミニテストで振り分けても良い。各ステージはマイクロスタディ、要はごく細かい教育コンテンツであり、これは映像でよいのだが、実際の映像というよりは、シナリオに従ってCGをリアルタイムで生成して再生するイメージになる。

つまり、例えば時事のネタを織り込んだり、季節によって背景や教師の衣服を変えたり、といった変化は可能になるし、生徒の名前やその理解度、性格に応じた細かい調整が入る余地があるわけだ。単純にはしゃべる速度、言語、教師のキャラクター設定などがパラメータになっていてそれを調整できる、といったものだ。

実際のゲームと違ってゴールはない。教育テーマ毎の理解度が点数となり、その点数を上げていくことが目的になる。そういった個々のコンテンツ同士の接続には決まった道はなく、多数の生徒が選んでいくと太い道ができるようにしておく。

世のゲームが皆こんな風になっていけば、人はこぞって教育を受けたがるであろう。リアリティのあるゲームエンジンも良いが、こういったプラットフォームがあっても良いのではないだろうか、と思う。

2018年11月12日月曜日

論理とAIの融合方法について


ΣやらPrologやらが流行った前回のAIブームのとき、論理は絶対だったわけだが、その論理が膨大になるにつれ、細かい場合分けの組み合わせ爆発が人知を超えた結果、破綻した。今のAIブームでは組み合わせ爆発はないが、逆に言うと絶対の論理がない。

仕様書を読み込ませれば云々、というのは究極のプログラミングであるが、その仕様書には曖昧さがあったり、常識を背景とした記述の省略があったりする。このため、AIにも仕様書を読み込ませてちゃっちゃとやってよ、ということは無理だ。しかし、ごく簡単なルールであれば、ルールそのものを読み込ませた方が簡単だろう、というのは直感として分かる。例えば、強化学習と教師付き学習のハイブリッドのようなものがあれば面白いだろうとは思う。

しかし世の中、本当にそのルールが絶対かと言えば意外とそうでもない。例えば人を殺してはいけない、というのは正しいが、正当防衛は多くの場合許されており、その条件は曖昧だ。死刑制度がまだ残っている国もある。戦争ではむしろ賞賛される。いやいや、例外を記述すりゃ良いでしょ、と言われれば、では独裁者はどうなの、とか、クーデターはどうなの、ということも言える。本当に100%正しいルールは、数学と物理法則くらいのものではないだろうか。

上の、強化学習と教師付き学習のハイブリッドにおいて、強化学習における「ゲームのルール」は絶対なわけだ。システム構成もそのように作るだろう。ゲームはそれでよいが、例えば法律の適用とした途端にもうそれは通用しなくなる。これはシステム構成にも影響を与える。強い教師付き学習が強化学習の基本ルールを超えることは許されるわけだ。
これは、例えば将棋のAIなら、王が成ることはあり得ないわけだが、きわめて限定的な状況では王は成ってよい、という結論が出せるAI、ということになる。ゲームでは笑い話だが、現実の世界では珍しいことではない。

ルールを与えられた上で、普段はこれを守るが、いざというときはルールを書き換えることが可能なAI、ルールを破るAI、ここまでができてこそ人間を超えられるというものだろう。

以前、AIの階層化によってそういった常識を取り入れたり、ルールから学習データを自動生成して大量に覚えこませることで、ルールを重要視するAIを提案したりしている。これが初期アーキテクチャになるのだろうが、これだと逆にルールが学習データとして埋もれてしまい、ライブラリ化ができなかったりと弊害もある。もっと上手いアーキテクチャがないものだろうか、色々と思案中だが、今のところ名案はない。

2018年11月11日日曜日

WHILL自動運転


https://whill.jp/model-c

前輪にオムニホイールを持つ、デザイン性の高い電動車椅子だ。その場で旋回できる、段差5cmを乗り越える、スマホで操作できる、などの特徴を持つ。

特に、スマホで操作できていることを考えると、これをベースとした自動運転車を作る、というのは十分に可能性があるのではないか、と思った。くしくも5G通信がもうすぐやってくるが、自動車でなくともスマホがあれば十分に使えるのではないか、と思うのだ。

考え方はこうだ。WHILLには既にBluetooth LEによる操縦ソフトが存在している。座面にカメラモジュールを搭載し、これに繋がる5Gスマホ(相当のコンピュータ)を載せ、もう一方ではタブレットやテレビ、VRなどに映像を映して操縦をする。

カメラモジュールは、人間と同じく左右の視覚野を180°とっておき、更に左右90°まで回転できるようにしておく。安全のため、左右に大きく視点を移す(カメラを回す)場合は、それに合わせて速度を落とすか停止するようにしておく。基本はこれだけだ。

これだけなら自動運転ではなく遠隔運転だが、最も簡易的にはこれで十分だ。もし完全自動運転を志すとしても、通常の自動運転車とは違い、運転速度がずっと遅いため、センサもその必要演算能力もずっと少なくてよいはずだ。高価なミリ波レーダーなどは不要で、視差カメラだけでも十分ではないか。また5Gと言ったが、この程度なら5Gの速度や低レンテンシは必要ないかもしれない。すなわち今でもできるかもしれない。

これで何をするのかというと、大きくは二つが考えられる。一つは買い物、もう一つはテレイグジスタンスだ。

電動車椅子の初期ユーザは間違いなく足の悪い人だ。100m先のコンビニに行くことすら苦痛だろう。だが電動車椅子ならこれも適う。そして、雨風の日、寒い日暑い日には、このカメラユニットを搭載して「仮想的に」出掛ける。

近所の店とあらかじめ契約しておいて、あるいは顔見知りへのサービスとして、車椅子に買い物を載せてくれる。ついでに世間話の一つでもできるだろう。これは単に買い物というだけでなく、コミュニケーションの継続という意味でも有効だろう。

テレイグジスタンスの方は、買い物のないコミュニケーションだけだ。近所の付き合い、例えば畑でとれた野菜をあげに行くついでにコミュニケーションをとる。これなら疲れないから会話も活発になるはずだ。

自動車でなく車椅子で、というのは、コスト低減もさることながら、門を入って縁側や玄関まで行ける、店なら店内にまで入れるというところが強い。介護だけでなく、地域活性化のための補助金も期待できるのではないか。

2018年11月10日土曜日

国会答弁はディベートとAIで


https://www.mugendai-web.jp/archives/9052

IBMのAI「Project Devater」が、人間を負かしたという記事だ。

ディベートというと、日本人は言い争いを想像してしまうが、これは違う。お互いが決まった時間スピーチを行うことで、最終的に聴衆がどちらが勝ちかを判定する、というものだ。

国会の答弁はディベート形式でやって欲しいと思っている。今のやり方では正に時間の無駄だ。議員も大臣も官僚も、こんなつまらないことに時間を掛けるべきではない。

ただ、ディベート形式で行うとすると、判定が必要になる。この判定にAIを使おう、というのが今回の提案である。上のIBMとはちょっと使い方が違う。

どうするのか。まず、質問自体は事前に集めておく。これに対して時間を決め、回答者がまず回答を行う。それを受けて質問者が質問する。それを受けて回答者がまた回答する。最後にAIがどちらが「勝ち」かを判定する。回答者が勝てばその質問は終わりである。質問者が勝てば、回答者は更に回答しなければならない。

回答者が勝つ条件は、質問に対して答えられているかどうか、だ。はぐらかしや嘘、関係ない答弁、内容に対して長すぎる答弁は全て回答者に不利になる。もちろん国家機密もあるだろうが、その場合は明確に国家機密であると言わなければならない。

AIはその理由も提示する。回答に答えていると言えるかどうかはもちろん、過去の発言との矛盾があればその中で訂正しなければならないし、訂正が繰り返されていればそれも不利材料となる。

一方で、質問自体にもAIの目が光る。国政と関係ない質問は質問者に不利になるし、一度答えた質問を再度質問することも許されない(新たな事実が分かれば別だ)。答弁者を指定することもできない。いわゆる人格攻撃的な質問は特に禁止だ。

AIの匙加減は問題だが、かなり緩めに設定したとしても相当の改善が見込めること、間違いない。問題は、どうやって作れば良いか分からないところだけだ。

2018年11月9日金曜日

スマートディスプレイに想う


Google Home Hubが登場したことで、AmazonとGoogle、Facebookのスマートディスプレイが揃った。だが、何れのスマートフォンにも、「緊急地震速報の受信」「自治体からのお知らせ」機能がなかったことは残念だ。

以前にも、フォトフレームタイプの情報端末を提案してきた。世の中にもそのような試みがある。それらに最初に必要なのはそこだ、と思ってきただけに、なぜそれを外すのかという疑念は持たざるを得ない。

必要なものは以下の通りである。
  1. 緊急地震速報
  2. 他、J-ALERTで配信される類の情報のうち緊急のもの(火山噴火情報、津波情報、弾道ミサイル情報など)
  3. 同:緊急でないもの(地震予知情報など)
必須ではないがあればよいものとしては、自治体からのお知らせがある。近隣の笠井情報、不審者情報などだ。今はこれらはSNSやメールで同様のものが配信されているはずだ。

最初はしょうがないにしても、こういうものは国や自治体が積極的に導入すべきである。もう独自仕様でする必要はなく、これらに対応すればよい。最悪、第三者でもよい。例えばYahoo!防災情報のフォトフレーム版でもよいから、デフォルトでインストールしておきべきである。

2018年11月8日木曜日

KinetiXホイポイカプセル


https://www.media.mit.edu/projects/kinetix/overview/

折り紙のように、折り目の位置や傾きを工夫することで色々な方向に変形するボクセル構造を作っておき、それを多数連結することで、全体として見ると、一部の構造を押さえるだけで全体の構造が連動して特定の形になるような構造を作っている。

例えば、立方体の展開図のような図形の一部を押すだけで、各々の辺に相当するところが折れ曲がり、立法体が出来てしまう、といったものだ。

これを見ていてホイポイカプセルを思い出さないわけには行かないだろう。このアイデアを基に、もっと小さい単位でボクセルを作っておけば、バネの力で放り出すと特定の外形が出来てしまう、という風に作れるはずだ。

さすがに手のひらサイズのカプセルからバイクができるとは思わないが、例えばキャンプ用のテントやベッドをこれで作ることができれば、なかなか快適になるのではないか。また、このボクセルは硬い素材でなくとも、空気を入れて膨らませるようなやり方でもできるはずだ。要所に硬い板を、他は塩ビの風船にしておけば、頑丈且つ折り畳み自在なベッドができるのではないか。

携帯用でなくとも、例えばIKEAの家具に応用される、展示会ブースで使うなど、応用は広い。色々と検討してみてはどうだろうか。

2018年11月7日水曜日

予測推測AI


先日の「サイエンスZERO」で、錯視の解明にAIを使う、という話があった。

ディープラーニングの学習において、画像の入力と出力が同じになるように学習をさせると、特定の層において錯視が再現できた、というものだ。つまり、錯視画像を見せると錯視が起きる層が形成されていた。また、動画において、少し先の画像を合わせるような学習をさせると、動いて見える錯視が再現できた。

これは興味を引かれた。番組では言及されていなかったのが、この実験で何層使っていたのか、だ。その層数をどうするかで、錯視ができたりできなかったりする可能性が出てきた。また、複数の層から分岐を出して、錯視を取り出すようなこともできるのではないか。一つの画像からさまざまな情報を一気に引き出すDNN、というのは考えられないだろうか。つまり、錯視以外にも色々な情報を持つ層が作れるのではないだろうか。

例えば特定の特徴を持つものの抽出だ。出来上がった後の画像を解析するのではなく、DNNの特定の層をチェックしていればリアルタイムで抽出できる、といったようなものだ。それは画像とは限らず動きかもしれないし、動きや変化の予想かも知れないし、視線が違っても追いかけられるかもしれない。画像解析でもできるだろうが、それよりずっと単純で簡単な可能性がある。

例えばスリの動き予想や逃走犯の逃走経路予想のような予想、マイクロジェスチャーのような感情解析、画像の解像度以下のものの動き、超解像、映っていないものの推測(大衆の動きから)、といった推測は、面白い結果が色々と出てくる可能性がある。

こういったものが複数いっぺんに取り出せるとなると、将来の監視カメラがどう発展するかは興味深い。

2018年11月6日火曜日

DNNクラウド


一般的な関数、それもごく単純な、例えばy=xといったような関数を現すのに深層学習(DNN)を使うことは、可能か不可能かと言えば可能だ。もちろんそれは計算機資源の大いなる無駄なのだが、できないわけではない。

資源の無駄と言うが、今のコンピュータだって無駄だらけだ。最適化しようとすれば幾らでもできるのだが、それよりもプログラミングの楽さ加減、資源の抽象化によって汎用化することを優先し、その代償として資源を無駄に使ってきた。そう思えば、いっそうの楽ができるのなら、無駄にも価値がある。

DNNには、層数とノード数の最適化、といった課題があるのだが、脳の層数とノード数は決まっていて変えられない。つまりy=xにしても、そういう無駄な覚え方をしているはずなのだが、人間はそれで何とかなっている。むしろ問題に合わせてあれこれ最適化をする工夫こそが無駄なのかもしれない、という考えもある。

こうすると、プログラミングが簡単になるのだ。どう簡単になるかというと、学習データ(正解のリスト)を作って投げ込み、待って(学習させ)、検証して、バグがあればリストを修正してまた投げる、という操作になる。

プログラミングとは違ったスキルにはなるが、複雑なアルゴリズムの知識は必要ない。入力と出力を睨み、正解かどうかが判断できれば良いわけなので、ある種裾野は広がるし、外注にも掛けやすいだろう。

プログラム全体でいきなりこれをするのは無理だから、モジュールに分けてある程度学習させ、各々が進んできたら全体を結合して再度学習させる。このとき中央制御的なDNNを真ん中に置く、あるいは階層構造をとるようにするのも良い。こうして進め、完成させる。

ここで重要なのは、個々のDNNは、Amazon AWSのように規格化されていて、細かい調整は不要だ、というところだ。少々効率が悪くても構わないから正解が出るように学習させる。これが最優先だ。また、接続も大雑把でよく、細かい調整は不要だ。調整すると、都度再学習となってしまうからだ。

ベースとなるアーキテクチャは、DNNをPaaSで提供するクラウドである。大体正しく動くようになったらチューニングを始めるが、これは個々のモジュールを、より小さいDNNで動くように再学習させることになる。

全てのプログラムがこういったDNNベースになったら、PCにもDNNクラウドが搭載されるようになり、これがPC/ATのような標準的なアーキテクチャに取って代わるかもしれない。

2018年11月5日月曜日

大きく間違えないこと


いやいやそんなことはない、という反論を覚悟で言うなら、AIの学習で面白いと思うのは、一度学習するとそのAIは大きな間違いを犯しにくい、というところだ。

従来のプログラミング言語では、条件分岐の例外で大間違いをするというのはよくあることだった。だから条件分岐や数字のゼロ近辺などのいわゆる「境界」では念入りなチェックをする。しかしそれも人間のすること、複雑な条件の全ての組み合わせをそう簡単にチェックすることはできない。

一方AIでは、条件分岐や境界は殆ど意味を為さない。学習データが全てである。もちろんそこには境界のデータもあるが、既に正解が入っている。ここでもし、データの組み合わせに抜けがあったとしても、十分に学習したAIの場合は、とんでもない結論を出すことはない。正解ではないかもしれないが、大外れはしない。

もちろん作り方にも大きく依存するのだろうし、その境界が特異点となるような場合はかえって学習がやりにくい、とも考えられる。そういう場合はむしろ使わない方が良いのだろうが、そうでないならこういった特徴を生かすのは有効である。大きなシステムに置いて、Nバージョンプログラミングの手法でAIに警告を出させるようなアーキテクチャをとるというのは、有効な一つの手であると思う。

2018年11月4日日曜日

シーリングデバイス規格


以前何回かシーリングライトのインテリジェント化について議論したことがあった。シーリングライトはどうしてもその位置に明かりをとることが前提になっているから、シーリングライト側からすればいい迷惑だろう。

シーリングライトとデバイスの両立をするために、新しい規格を作ってみてはどうかと考えてみた。それは、プラグには新デバイスを接続し、その周囲を明かりが囲む形状だ。

シーリングデバイスの直径は20cm。このデバイスにあらかじめドーナツ型のライトを付けてから、天井に設置する。デバイスとライトの接続法を規格で決める。もしデバイスを使わないときは、真ん中も明かりにして構わないし、ダミーで穴が開いていてもよい。シーリングプラグと同じく、はめて回せば固定するようにしておく。

これはデバイスにとっても好都合だ。デバイスはライトに比べれば故障率が高いだろうし、バージョンアップもしたくなるだろうからだ。例えば二年に一回は更新したいとしたら、明かりとの寿命のバランスが保てない。

デバイスは、単なるBluetoothスピーカーでも良いし、プロジェクタでも良い。人感センサ、監視カメラ、ガスセンサ、地震感知など、色々あるだろう。キャリアLPWAと組んで防犯防災の機構を組み込めば、配線不要で即時サービスが開始できる。

スマホのように、お古を子供部屋に廻すとか、メルカリで売るようなこともできるだろう。これがシーリングライトごとだったら大変だ。その間明かりがないようでは困る。これならダミーをはめておけばとりあえず明かりは使い続けられる。

規格を業界が受け入れてくれるかどうか、またデバイスとライトの間の通信も可能だろうからそのやり取りなど、課題はある。まずはPanasonic辺りがセットで出して、業界にデファクトで広めてやるようなことができないだろうか。

2018年11月3日土曜日

デジタルレシートの形式


デジタルレシートは幾つか方式があり、実証実験も何回か行われている。しかし何れも普及していない。その大きな理由は、レジにおける決済のスピードを損ねることだ。レジでスマホを出してまごまごしていては、スーパーにとっては死活問題だが、作る方がここに命を掛けていない。

ここで考えられる最速の方法は二つある。一つはNFC、要はICカードのタッチによる方法。もう一つはレシートにQRコードを印刷して渡してしまう方法だ。このどちらかを採用しない限り、デジタルレシートは普及しないだろう。

前者は、店員の作業中に指定したICカードリーダーにタッチすればレシートは発行されないようにする。決済後即時にスマホにデータが転送される。この際、店員に「レシートを発行しますか」と聞かせてはいけない。作業中にタッチできなければレシートは発行されることをデフォルトとする。そうしないと手間が増えてしまう。

ICカードアプリケーションだけはインストールが必要で、会員登録を店舗毎にやるような愚は避けたい。このためには、アプリケーションをインストールした際にオンラインでIDを登録しておき、タッチした瞬間にそのIDとその決済が紐付くようにしてやる。後でそのアプリを操作すれば、オンラインで決済データが見られる、という段取りだ。

QRコードの方は、QRコード自体にデータを埋め込む方法と、URLを提示する方法がある。URLの方は、例えば一週間で消えるようにするなどの安全策が必要だろう。レシートの紙は無くならないが、後の管理は楽になる。

どちらかと言えば前者の方が有望だが、後者の方が簡単であり、判断には迷うところだ。いずれにしても、単にレシート保管の手間が省けるだけでなく、家計簿ソフトとの連携が可能になり、あるいは消費傾向分析のネタになる。それもマーケティング会社に売れるだろう。消費者にとっても好ましいことであるはずだ。

2018年11月2日金曜日

丸太ドローン


先日の、日本におけるドローンタクシーの実証実験に関するアイデアの中で、一本の棒にしがみつくように乗るドローンの絵があった。あれは面白い。

今探しても見つからなかったのだが、概要としてはこんな感じだ。それは丸太の棒を縦にした形状で、上には反転二重プロペラがついている。恐らく足下にはバーがあって、そこに足を乗せる。人は丸太にしがみつくように搭乗する。

搭乗方法にかなり難があるが、丸太形状というのは気に入った。羽を下に折りたためば、普段はほぼ丸太の大きさに収めることができるからだ。これをベースにして、実用的なドローンタクシーを考えてみる。

普段は丸太形状、羽は下方向に折りたたまれていて、使うときは跳ね上げて使うこと、また反転二重プロペラなので計4本、というところまでは良いだろう。高さは2.5~2.7mほど。普通の家の天井に収まる高さにする。

大人一人で担げるくらいの重さが良いが、ダメならキャスターを付けて斜めに引っ張るようにする。これを広いところまで持って行って、まずは垂直に立てる。スイッチを押すと、羽が跳ね上がる。

次に、羽を跳ね上げた後に座面が降りてくるようにしたい。座面自体はフレームだけでよい。もちろん4点式シートベルトと操縦桿も必要だ。これらは折り畳みで、羽を上げるとセットできるようにする。ヘルメットも仕込まれている。

基本的にはモーターと充電池で飛ぶようにしたい。形状の制約からバッテリはそれほど積めないが、一人一台なので問題ない。距離もそれほど要らない。

この目的は、普段使いのタクシーではなく、ちょい乗り用、及び防災用、非常脱出用だ。防災用では、恐らくは高層ビルの最上階などに大量に保管されていて、充電台の上に立っている。また、人を降ろすと次の人を乗せるために空で自動で戻っていくようにする。

普通のドローンと違って保管スペースの極小化を図ったものであるので乗り心地は悪いだろうが、用途が用途だけに、意外に売れるかもしれない。

2018年11月1日木曜日

家電戦隊はないのか?


言わずと知れたスーパー戦隊シリーズ。長年やっているだけに、テーマの枯渇も目立ってきた。動物、恐竜、車、忍者、警察など、複数回やっているものもある。

なのに、なぜ家電がないのだろう。あれだけバラエティがあり、役割がはっきりしていて、武器なんかすぐに思いつくのだが。洗濯機に掃除機に電子レンジ、アイロン、などなど。面白い戦いができそうなのに。

他にも、こんな戦隊が見てみたい。
  • サラリーマン戦隊
  • 地方公務員戦隊
  • 政治家戦隊
  • 農業戦隊
  • 工業戦隊
  • 保育士戦隊
  • 先生戦隊
  • 祭り戦隊
  • 古典芸能戦隊(能、狂言、雅楽)
  • 古代戦隊(石器時代)
  • 妖怪戦隊
  • 陰陽師戦隊
  • 植物戦隊
  • 家畜戦隊
  • 超能力戦隊
  • 建築戦隊
  • 商店街戦隊
  • スーパー(マーケット)戦隊!

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