2019年1月15日火曜日

台風を防ぐ「集エネ船」


台風の被害は、年間何百億円にも及ぶ。これへの対策は、基本的に「防御」だ。防潮堤、備蓄、避難。だが、もっと積極的に、台風そのものの発生を防ぐ、あるいはその威力を弱める工夫があってもよいのではないか。

過去、台風の威力を弱めるために、ヨウ化銀を撒くとか原爆で吹っ飛ばすとかいう案があったのだが、何れも継続的には成功していないし、毎年幾つも発生する台風に毎回そんな方法をとっていては大変だ。ここではもっと根本的な方法を考える。

台風とは、言ってみれば自然エネルギーの平準化である。熱くなった水が北に移動して冷えた土地を暖かくするのが台風の役割だ、とも言える。だから本来、台風をなくすためには、発生した熱エネルギーを速やかに吸い取り、北に逃がしてやることが正しい。

例えば、赤道付近の海流を、夏の間は二倍に促進する、ということは、エネルギー収支的には正しい。ただこれには膨大なコストが掛かり、経済効果が見えないので非現実的だ。

そこで考えるもう一つの方法は、赤道付近の熱エネルギーを吸い取ってしまい、これを北の都市部の電力消費等に充てる、というものだ。これなら一挙両得になる。たとえ台風の発生を防ぐほどの効果が無くとも、吸い取った分のエネルギーは減らせる=台風の威力を殺ぐことができるのだから、無駄にはならない。エネルギーを吸い取るポイントを細かく調整すれば、進路を曲げて都市直撃を避けるなども可能になるだろう。

この方法として考えるのが、題記の「集エネ船」だ。台風発生の初期、夏から秋に掛けて、その海域に大量の船を派遣する。それはタンカー級の大型船で、海水の熱エネルギーや、その元となる太陽光、あるいはその結果である風のエネルギーをあらゆる手段で集め、中に保存し、帰っていく、というものになる。種類は幾つか考えられる。
  1. 熱エネルギー収集船。北方で冬の間に作っておいた低温の熱媒体を積んで南海に行き、そこで海水の熱エネルギーを使って熱媒体を高温にして戻り、北方の暖房などに使用する。地域冷暖房や道路の融雪など、色々に使える。熱媒体はノルマルパラフィンエマルションなどが使える。
  2. 超熱エネルギー収集船。基本は上と同じだが、太陽炉やヒートポンプを使って、溶融塩を非常に高温になるまで熱して、持ち帰る。持ち帰った溶融塩は発電に使用できる。
  3. 水素生成船。着いたら、周辺含め太陽電池や風力発電機を展開し、発電した電気で海水から水素を精製し、持ち帰って水素自動車などに使用する。
  4. アルミニウム精製船。くずアルミを持ち出し、周辺含め太陽電池や風力発電機を展開し、発電した電気でアルミニウムを精製して持ち帰る。
少なくとも初期においては、台風の進路を曲げることを目標にすることになる。精度が高ければ、小さいコスト(船の数)でもピンポイントで効果がある(バタフライ効果)。だがこれは相当難しいので、研究への投資は別に必要だろう。

コストを計算していないのだが、どれをとっても現状よりはお高くなるだろうが、ある程度の国の補助(みなし台風被害削減報奨金)があれば、それなりの経済性があるのではないかと思う。もちろん公海上で行うことなので、民間単独では無理だ。国が主導するなどして検討してもらうことを期待する。

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