2019年1月13日日曜日
認証連携技術のステップ
別の投稿「IDは不要になる」では、遠い将来の認証技術について考えた。ここでは、そこに至る初期のステップを細かく考えてみたい。まずはタクシーの例を考えてみる。
最初の形態は、全てがローカルで決着するものだ。今のタクシーソフトには、既に自宅を登録する機能や決済手段が入っている。タクシーソフトで呼び出した場合は、その時点で降りる所が通知されているから、そこまで行けばよい。
第二段階は流しを拾う場合。これには、そのタクシーソフトがタクシーとローカルで連携する必要がある。これにはBluetoothやICカードタッチなどの短距離通信が適している。一度接続してしまえば、後は同じだ。
第三段階では、このタクシーソフトが「タクシーオンラインサービス」になって、ユーザはIDを持つだけとなり、このIDを示すことで、タクシーとサービスの間がオンラインになる、という形態になる。ただし意思の確認は必要なので、そのための操作は必要になる。例えばスマホはIDを示すだけの存在となる。また、スマートウォッチやキーホルダーデバイス、ICカードなどがこの代替物としての候補になる。
第四段階は、このサービスが生体認証キーを保持し、タクシー会社からの照会に対してIDを特定することだ。そして最終段階は、こういったサービス同士の相互接続や、生体認証キーの集中管理である。ここでの生体認証は、基本は動画カメラであり、カメラで可能な生体認証、代表的には顔、虹彩、動きに対応する。
大きなハードルは、第三と第四の間にある。生体認証をタクシーサービスが持つということには、抵抗が大きいだろう。むしろ最終段階が一気にくるのではないか、とも考えられる。多くの場合、第三でだいぶ便利になるので、それも相まってここで停滞、ないしは終わってしまうことも十分にあり得る。
生体認証のうち、指紋や虹彩は比較的オンラインに乗せやすいだろうが、動きや耳紋などは既存の生体認証(PC、スマホ)では普通使わないから、別の需要が必要である。
その需要とは、恐らく勤務先のゲート入場であろう。今はIDカードに頼っているところ、監視カメラによる方法に切り替えれば、IDカードが不要になり、カード紛失の危険もなくなるし、成りすましを防ぐこともできる。
これがある程度確立した後に、サテライトオフィスや入場先(派遣)などに広まっていき、重複が問題になっていく。そこに漏洩事故が起こって、個々の企業で保持することへの批判が進み、官庁系認証サービス(マイナポータル)に連携するような仕掛けに徐々に変わっていく、というような流れを取るのではないだろうか。そしてその先には、せっかく使えるのだから新しいサービスを興そう、となって、冒頭のタクシーに戻るわけだ。
技術的には大したことなくても、社会がそうなるには十年単位で時間が掛かりそうだ。のんびり、しかし期待して待とう。
登録:
コメントの投稿 (Atom)
注目の投稿:
ベジファーストと三角食べ
書籍「糖質疲労」「脂質起動」がベストセラーになっているらしいというので、少し読んでみた。そこに書いてあったことでいくつか気になったことがあったので、これをネタに生成AIをイジメてみようと思い、会話してみた。 その疑問とは、いわゆるベジファーストへの反論である。 まずベジファー...
人気の投稿:
-
骨梁とは、骨の内部に存在する網の目ないしはスポンジのような構造のことだ。この構造によって、骨は頑丈なのに軽量でいられる。類似の構造としてはアルミ発泡材があるが、あれはどちらかと言えば消音や軽量化が目的であり、骨のような(建築用語で言うところの)構造材としての用途とは少し違う...
-
屋根に超音波振動装置を取り付けておく。これによって屋根と雪の間の結合が破壊され、雪が滑り落ちやすくなる。これが題記装置の原理だ。角度によっては放っておいても落ちるだろうし、そうでなくても楽に雪下ろしができる。 まあ超音波でなくて低周波でも良いのだろうが、超音波の方が簡単...
-
ハクキンカイロの発熱原理を調べていて、これを防災用(キャンプ用でも良いのだが)の湯沸しに使えないかと考えた。 普通、キャンプではガスコンロを持っていく。だがあれは裸火を使うから、熱効率は悪い。これに対してハクキンカイロの仕掛けは、白金触媒を適切な場所に配することで、極...
-
ディーン・ケーメン氏が発明した浄水器「 スリングショット 」の原理は、いわゆる蒸留である。つまり水を沸騰させて水蒸気にした後、冷やして水に戻す。汚水と蒸留水の間で熱交換を行うことで効率を上げている。 日本では、防災用の浄水器としては中空糸膜や逆浸透膜が殆どだ。これと蒸留式には...
-
あるいは家庭用自販機、とでも言おうか。自宅のすぐ脇にあって、品揃えが少数多種、単に飲み物だけでなく、生鮮品や惣菜などもラインナップに加え、複数台並べて簡易コンビニ的に使用する。 自販機コンビニと似ているが、大きく違うのは次の通りだ。 品揃えはカスタマイズできる。 ...
-
生成AIを使って作成されたイラストに対する極端な非難が相次いでいる。そのどれもが、ちょっと行き過ぎに思える。例えば、事前にAIであることを知らせているもの、絵を描いている本人が確認し承諾したものまでも非難されている。なぜこんなに過剰な反応をするのだろう。単にノイジーマイノリティの...
-
コンクリート住宅を3Dプリンタで作る、という試みは、世界中で行われている。しかし日本では、鉄筋なしのコンクリートだけの住宅は認可されない。地震が多い日本では、揺れで簡単に壊れてしまうからだ。コンクリートは圧縮に強いが引っ張りに弱い。鉄筋はその逆だ。鉄筋コンクリートが使われる...
-
不気味の谷というのは人間に似せようとするから起こるのであって、Pepperやaiboには存在しない概念だ。日本にはアニメキャラという秀逸な文化があるのだから、顔にしても動きにしても、そういった一つのカテゴリとして「抽象化ヒューマノイド」(言葉が適切かどうかは分からないが)と...
-
バカの壁 [ 養老孟司 ] 価格: 734円 (2016/10/26 18:15時点) 感想(72件) 養老孟司 氏の名書だ 。 いちばんキライなタイプが、以前も言った「中途半端な科学万能主義者」なのだが、この類の人の「バカの壁」が一番厚い。多くの場合...
-
書籍「糖質疲労」「脂質起動」がベストセラーになっているらしいというので、少し読んでみた。そこに書いてあったことでいくつか気になったことがあったので、これをネタに生成AIをイジメてみようと思い、会話してみた。 その疑問とは、いわゆるベジファーストへの反論である。 まずベジファー...

0 件のコメント:
コメントを投稿