2018年12月31日月曜日
パーソナライズド・ニュース
ニュース番組を録画しておいて、早回しで見るという人も多いのではないだろうか。いまどきならキュレーションメディア(SmartNews、Flipboardなど)があるからそれで良いのでは、と考える人もいるだろうが、キュレーションメディアはまだ操作が必要だし、記事の内容はフラットだ。これに対し、番組は強弱やコーナーなど、構成がしっかり考えられている。それに操作が不要という点で、楽だ。
キュレーションはまだ「積極的に見ようとしている人」のメディアである。「眺める」レベルの人にはまだ敷居が高い。かといって早回しで見ていて、時々気になるものをゆっくりに戻すというのも操作が必要だ。この先にあるのが、AIによる個人最適化ニュース番組だろう。
トップニュースはしっかり、話題程度のものは短く、話題や天気予報、経済情報もちょっと、という基本は押さえるが、各々の強弱や個々の記事の選択はカスタマイズされ、また時間も幾つかから選べる。今日は時間がないから5分で見たい、今日はゆっくり30分で、それも曜日によりデフォルトが決まっている。そんなニュースだ。
もちろん早回しなど必要ないように、個人の聴覚に合わせて適切なスピードで読み上げる。以前の再生後のニュースから選択するから、数日見ない日があっても見逃しがない。大きなニュースが飛び込んできても、興味のあるニュースは省略されない。もちろんそれ以上知りたければ、操作で詳細説明に切り替わる。その操作を見て、日々カスタマイズされていく。ニュースキャスターは当然VRで、好みの人が選べるし、適宜リニューアルする。BGMも時間や気分で変えられる。
キュレーションメディアから発達する方向性、ニュースサイトが有料で提供するもの、色々形態は考えられる。各々ぜひ検討して欲しいものだ。
2018年12月30日日曜日
AIからルールを抽出する
暴言承知で言うが、長年の経験と勘、なんて言うけれど、結局は天気と温度と湿度と風だけじゃないのだろうか。ちゃんと測定するのが面倒だからしていないだけ。職人技の8割はそんなものではないのか。
そんなものにAIを使うことは勿論可能だが、ある程度走らせてみて、実はごく単純な因果関係が抽出できたとしたら、今度はAIではない単純ロジックで制御してやる、あるいは従来型プログラムで置き換える、ということは可能だろう。
インプットが多ければ因果関係も複雑にはなるだろうが、そこから関係式を自動抽出するようなこともまた、可能なはずだ。
AIが安くなってきた今日ではあまりメリットがないかも知れないが、それでも横展開や量産化といった場合には有利になるはずだ。
また、そういったロジックの上で再度AIを走らせるという選択肢もある。この場合は更に最適化が進むことが期待される。この場合はAIの負荷が減らせるだろうし、現場での微調整にも使えるはずだ。AIと従来型ロジックの協調、という視点でも、面白い使い方になるのではないか。
2018年12月29日土曜日
割引やポイントを何とかせよ
総務省が、携帯電話の通信料金に対する緊急提言を出していて、これが結構過激な内容なので話題になっている。違和感のある内容もあるが、概ねの主旨としては賛同する。
主旨にも幾つかあるが、様々な割引があり、その額も範囲も大きいため、場合によっては大きく損をする、というところには特に同調する。
これは、携帯電話に限ったことではない。最近、様々なポイントサービスで同様の問題が起きている。携帯電話ほど割引率は酷くないが、裏技紹介のようなサイトも出てきていて、時には10%を超えるような差が出てくることもある。
実名を挙げて申し訳ないが、特に楽天は酷い。くじやらクーポンやらを含めると、適用するのとしないのとでは相当に落差があり、そのやり方もきわめてわかりにくい。その割引を求めてサイトを彷徨っている時間は大いに無駄であり、結果として得られる割引額を超えるのではないかとすら思う。
結局、これらは顧客囲い込みの手段なのだが、売る側の事情が苦しくなってきたことの証拠なのかもしれない。複雑な割引体系は、ディープな顧客を標榜したものだ。広く、新規を、ではなく、情強のプロ顧客を優遇する、それもその度合いを強くする。モノが売れなくなってきた時代の寵児とも言えるかもしれない。
しかし、達観していても始まらない。ここは景品表示法などと同じく、一括で取り締まって欲しい。全ての割引の組み合わせで割引率が最大何%まで、総額が売上の何%まで、割引期間の全期間に対する割合、といった上限の規定、ユーザへ提供する情報の広さや分かりやすさへの規定、定期的な監査と罰則、などだ。そこが公平であり、且つ十分に少ない割引額であれば、必要以上にユーザがうろたえることはない。
2018年12月28日金曜日
Spockの「AI運用に関する5原則」
内閣府の人間中心のAI社会原則検討会議が進めているもので、「AI運用に関する7原則」というものが制定中だ。まだ未決定だが以下のようになるらしい。
- AIは人間の基本的人権を侵さない
- AI教育の充実
- 個人情報の慎重な管理
- AIのセキュリティー確保
- 公正な競争環境の維持
- 企業に決定過程の説明責任
- 国境を越えたデータ利用の環境整備
- AIの出した判断を実行する際の最終的な責任元は、全て実運用者とする。
- AIベンダは、疑義が生じた場合にAIが出した判断の根拠を提示する義務がある。
- AIを騙す、あるいは恣意的な判断に誘導する行為をしてはならない。
- 自己進化するAIには、必ずそれに見合う確実な停止措置を施さなければならない。
- AIの判断に基づく行動は、適切な法の統治下に置くものとする。その対応の責任は実運用者にある。
2018年12月27日木曜日
AI-SFA
Salesforceが一時期はやったが、その後使われているのだろうか。特に日本で。自分も無料アカウントを作って少し弄ってみたが、実用には至らなかった記憶がある。
恐らくちゃんと使えば強力な武器になるのだろう。しかし大きな二つの問題がある。第一は、少なくともその初期においては膨大な入力が必要だ、ということ。もう一つは、SFA独特の概念を、最初から理解していなければならないことだ。
顧客との連絡は、普段からメールや電話などで行っている。日報、週報なども既に作っているフォーマットがあるはずだ。顧客管理はExcelでやっているかもしれない。それも各自が別のフォーマットで。各々に独自部分はあるにせよ、既に部分的には行っていることだ。そのスタイルを崩せ、SFAに統一せよ、と言っても、反発が大きいのは想像できる。
そこで考えるのが、既存のやり方を全く変えないでも導入できるAI-SFAだ。
まず、AI-SFAに個人のアカウントへのアクセス権を与える。すると、過去のメールやファイル、システムへのアクセスの記録を全て検索し、必要なデータを自分で収集する。例えば顧客とのアポイントのやり取り、出張旅費の精算、日報などから、どの顧客と会ったかが分かる。それが雑談なのか情報提供なのかプレゼンなのかまで類推する。その頻度、売り上げ実績から、その人にとって優良顧客なのかどうかも判明する。他の営業との比較で得手不得手もわかる。
もちろんこれは別の画面で表示されるが、既存のやり方を変える必要はない。だが徐々に情報は新システムに溜まっていくし、例えば暫く話していない顧客との会話を推奨されれば、新システム経由でアポを取るようになるだろう。日報も新システムが自動で作成してくれる。そういうことが続いていくと、何時しか新システムに移行できる。
既存の情報の分析は、一般的なAIの分析とさほど変わらない一方、個々のシステムや個性に対応するための工夫は必要である。最初は会社毎のカスタマイズが必要かもしれないが、そのうち共通点が見えてきて、ソリューションとして確立するようになるのではないか。
2018年12月26日水曜日
食べられる再帰性反射素材
https://internet.watch.impress.co.jp/docs/event/1155167.html
これには拍手。食べ物にプロジェクションマッピングをするというデモだが、これに使われているのは食べられる再帰性反射素材だ。
考えてみれば、最も単純な再帰性反射素材は透明な球体であれば何でもよい。つまり砂糖、寒天、塩、その他(磨けば)透明になる食材なら何でも良いわけだ。この記事ではキャラクターを動かしていたが、自分だったら「豪勢な料理を装う」のに使う。つまり、貧相な食事に豪勢な料理の絵を映して、つかの間の豪華気分を味わうわけだ。
この再帰性反射素材には味が付けられるから、こんなことも考えられる。
- 宇宙船や僻地での食事に使う。
- 長期保存可能だが無味乾燥な栄養食品(COMP的なもの)を大量ストック。
- 3Dプリンタで好きな形にする。
- 所望の味にする再帰性反射素材をまぶす。
- プロジェクションマッピングで、その形と味の食材の映像を映しながら食べる。
何だか本当に実現可能な気がしてきてヤバい。
2018年12月25日火曜日
Samsung DeXの詰め
https://www.galaxymobile.jp/apps/dex/
あまり流行っている様子がないのが気になるが、DeXには注目している。まだSamsungと心中する気にはなれないが、このような使い方の提案は大いに気に入っている。これでPCが不要になるかもしれないと思えば、その効用は計り知れない。
出歩く際にはスマホで、出先や会社、在宅勤務では使いやすいI/Oが整っている。何れにおいても会社ないしは自宅環境を直ちに再現できる。スマホを外せば機器はタダのドンガラになるのでセキュリティは万全。これは非常に便利だ。ただ、コンセプトは良いとしても、詰めが甘いのが気になる。
- ノート型のDeXステーションを提供すべきだろう。かつてASUSが出した「PadFone 2」のノート版や2in1版だ。しかも複数のサイズでラインナップする必要がある。但し、PadFoneそのままではスマホのサイズが決まってしまうから、以後の開発に制約が出る。これを解消する工夫をすべきだろう。
- 企業ユースなら、既存の認証環境との接続を保証する必要がある。ADを始め、主要な認証環境への接続が可であることをアピールする必要がある。
- VDIへの考え方を整理すべきだ。今のDeXはローカルのみで、VDIやリモートデスクトップ系のソフトへの接続に言及がない。
- ローカル環境と会社のイントラ環境の切り分けやシームレス化についての考え方を整理すべきだ。例えばSharePoint連携やFTP・WebDAVのようなファイル連携をどう考えるか、OneDriveのような大規模オンラインストレージとどう向き合うか、などだ。
- 当然、DeX環境と企業環境の接続に際してのセキュリティには言及すべきだ。スマホは外界と直接接しているから、ウィルスを持ち込む契機になるからだ。
一つの考えとして、ローミングのキーとして使うという方法が考えられる。以下はそのアイデアだ。
- ノートPCやデスクトップPC様のハードウェアは、基本的に「ネットブート端末」である。これは、市販のノートPC等の設定をちょっと弄るだけで作成できるし、Chromebookのようなものでもよい。
- ブートイメージは、スマホの中に存在し、スマホがイントラネットと接続した状態でないと、端末はブートできない。(キャッシュはない)
- スマホが複数ある場合には、あらかじめペアリングした端末のみを信用する。あるいは選択できる。
- スマホは認証機能を兼用する。即ち、ネットブートした後にイントラの認証を受けるに当たっては、スマホの生体認証やパスワード等を必要とする。
- ブートイメージは、ChromebookのようなブラウザOSか、Windows Remote DesktopのようなVDIソフトである。
- 操作の間、端末は常にスマホと通信連携していて、通信が切れればログオフ状態になる。
2018年12月24日月曜日
IoTは全部カメラで
だいぶ昔、メーターをWebカメラで常時撮影する、というIoTを考えたことがある。その時は冗談の積もりだったのだが、Webカメラや通信回線が安価になり、本当にそういうシステムが登場してしまってびっくりしたことがある。あの時特許をとっておけば。。。
閑話休題。類似の発想として、メーター以外の受動的なセンサはカメラで代用する、という考え方はあってよいと思う。例えば水位センサや位置検知などは、フローティングスイッチやレーザー測距器など色々手段があるのだが、適材適所でいくのではなく全てカメラと画像解析でやってしまいましょう、とするのだ。
もちろんそれは大いなる無駄なのだが、メリットもある。調達が簡単になるし、いざ何かあった時に潰しが利く、というところだ。例えば上の水位センサだが、レーザーより精度が数段落ちるデメリットはあるのだが、ある日水位だけでなく水の色も見たいとなったとき、センサを追加しなくてよい。
あるいは距離センサで、一定の距離でアラームが出るようにセッティングしていたとする。その距離の基準が変わった場合、従来なら現地に行ってセンサの再調整が必要なところ、ソフトの書き換えで済む。
一つ二つならあまり変わらないが、例えば浄水場の集中管理をしている、などといった場合では、現地にいちいち行くだけでも大変だ。それがボタン一つでできるのなら、大いに管理の手間が省けるはずだ。
同様に、アクチュエーターも「人型ロボットの人型の手」で操作するようにしておけば、つぶしが利くはずだ。SFでよく出てくるような、本来の使い方ではない使い方をしてピンチを切り抜けるようなアイデアが出たとしても、従来型のアクチュエーターでは無理だろう。人型の手で操作するように作っておけば、イレギュラーにも対処できるはずだ。
2018年12月23日日曜日
しゃべる機械、聞く機械
Alexa、Googleアシスタントなど、しゃべる機能が家電についてくると、もう一つ期待したいことが出てくる。それは、機械同士が会話することだ。
もっとも簡単には、時計との会話だ。例えば洗濯機が、「洗濯機だけど、8分経ったら教えて」と時計に言って、洗濯を始める。時計が、「洗濯機くん、8分経ったよ」と言ったら、洗濯機は「OK、ありがとう。次は2分後に教えてくれるかな」と言って脱水を始める。
洗濯機にはタイマーがついているが、これなら洗濯機にはタイマーが要らない。時間を測る機能は、全て時計が担ってくれるからだ。そして時計は自分の仕事に誇りを持っているので、その計測は正確だ。だからオーブントースターのようにいい加減なぜんまい式タイマーとは違い、正確に測ってくれる。
この仕掛けの良いところは、音声が届く範囲がすなわち「場」になっているところだ。近くであることが物理的に保証されること、また通信ではなく原則として放送になっていることだ。「洗濯機くん」と言って相手を指定してはいるが、実際にはその会話は全ての機械が聞いている。だから洗濯機が洗濯をし終わる頃に乾燥機がウォームアップを始める、掃除をしている間には換気扇が自動で回る一方で食器洗い機はドアを開けない、といった「配慮」をすることも可能だ。
機械が一つ増えることで連携は多数可能になる一方、個々の機械の機能はシンプルで良い。これは機器のコスト低減にも貢献する。会話に人間が干渉して、やり方を変えることだってできる。「8分じゃなくて10分にして」と言えば、洗濯機は余計に洗濯をしてキレイにしてくれるが、それは洗濯機の機能として作りこまなくても良いのだ。
まあ実際には音声でなくてもいいし、通信で繋がっていればバリエーションは広がるのではあるが、インターフェースがヒューマンインターフェースと同じになれば、進み具合もわかるし干渉もできるし、何より親しみが沸くというものだろう。
2018年12月22日土曜日
複雑条件でのマッチングサービス
結婚相手探し、ボランティア、売ります買います、といったマッチングサービスは既に多数存在し、商用化しているものも多い。だが、まだマッチングが拡大する余地はあって、それはまだ余り気付かれていない。それは、極めて複雑な条件のあるマッチングサービスだ。
例えば、情報システムの導入やリプレースでは、マッチングという発想はしないだろう。しかしよく考えてみれば、例えば「昔自作したシステムを汎用のシステムに移植しようとしたときの難易度」というのは、マッチングの一種である。あるいは、社内で複数の似たようなシステムが立ち上がっているのが分かったのでこれを統合しようとしたとき、どのシステムをベースにどう改造するのか、というのには、各々のシステム間の「距離」(移植難易度)を最小にする、という目標が立てられるはずだ。
もちろん、フルカスタムで調査をするということは、今までもやられてきただろう。これを自動化する、標準化するなどというのは、新たなビジネスになるのではないだろうか。
例えばこんな感じだ。自治体が使っている業務システムの保守費用がかさんできて、これを何とか減らしたいとする。共同利用を進めたいが、自分の周囲の自治体は別の業務システムを使っていて、統合するのは困難だ。しかし遠くの自治体に、殆ど同じシステムを使っているところがある。これなら修正箇所は少なくて済む。
同一のベンダが提供しているシステムなら話も早いだろうが、そうでなくとも同じOSSを使っているとか、DRの考え方のレベルが揃っているとか、視点は色々あるだろう。システムの特徴を何とか指標にして、何を我慢すれば幾ら儲かるかが概算ででも分かれば、決断はずっとしやすくなる。
従来、これは顧客の提案が起点になったものだが、遠くの同業者まで覗きに行くのは困難だし意欲も沸かないだろう。ベンダが手動で調査し提案することで、顧客もベンダもWin-Winの関係が築けるのではないだろうか。
問題は、どういった指標でどういった調査をすれば良いのかが分からないことだ。これができないからこそ進んでいないとも言えるのだが、近年のオープンデータの流れを汲んで外枠から攻める(似たような環境の企業を付き合わせる)ようなことは可能に思える。検討の価値はあるはずだ。
2018年12月21日金曜日
老眼の原因考察
老眼は、水晶体が硬化するのが原因とされてきたのだが、実はこの硬度(弾性度)が測定されたことはないらしい。今までの説には定量的根拠がなかったわけだ。これに関しては、理化学研究所が最近弾性度測定装置を開発している。
http://www.riken.jp/outreach/ip/24229/
https://www.med-device.jp/development/org/24-144.html
ただこれも、まだ人間の眼を測定した実績が見当たらず、老眼と弾性度の関係グラフすら提示されていない。
以前からの疑問がある。水晶体を変形させるのは周囲の筋肉(毛様体筋)なのだが、レンズの形を連続的に、しかも均等に、ちゃんと網膜に届くような形に変形させるというのはそもそも可能なのだろうか。これよりずっと大きいカメラのレンズは、ちょっと磨き損ねただけでもボケる部分ができてしまう。ましてやその何十分の一という小ささだ。材質の均一性、力の掛け方だけで、そんなに上手くいくと思えないのだ。
これには一つの「証拠」がある。白内障の手術では、この水晶体は取り除かれ、代わりに眼内レンズが入れられる。水晶体は「嚢」と呼ばれる袋に入っており、この袋の中に代わりに入るのは、眼内レンズ(と房水?)だけだ。これで弾性度の問題は取り除かれる(少なくとも軽減される)はずだが、老眼は治らない。白内障の手術で同時に老眼を治療することは可能だが、これは多焦点レンズによるものだ。水晶体が取り除かれることによる弾性の回復によるものではない。
これから考えると、水晶体の硬化は老眼の原因ではない(少なくとも主因ではない)、と考えるのが自然だ。では何が原因なのかと考えると、二つが候補になる。一つは、水晶体の変形を司る筋肉である毛様体筋の衰え。毛様体筋と水晶体を繋ぐチン小帯まで含めて考えてもよい。もう一つは、眼球を周辺で支える外眼筋によって眼球自体が変形しており、水晶体と網膜の距離を調整しているのが実態で、その外眼筋の衰えである、とするもの。
後者は「ベイツ理論」という名で、もう何十年も前から提唱されている(がマイナーな仮説)。ただ、アトロピン点眼で視力調節機能が麻痺することから考えると、ベイツ理論が単独で正しいとは思えない。毛様体筋による水晶体変形の働きはゼロではないと考えるべきだろう。
そうなると、毛様体筋の衰え、ないしはそれにベイツ理論の外眼筋の衰えが加わったもの、と考えるのが論理的だ。いずれにしても筋肉の衰え、というわけだ。
ここにもう一つ、外眼筋の衰えではない、と思える証拠を提示すると、例えば老眼になったとしても、近くのものを見る際に目が「寄る」現象に衰えはない。また、外眼筋は眼の向きの調節も司っているから、外眼筋が衰えているなら目の方向も定まらなくなるはずだが、それも起きない。
また、ベイツ理論では眼を鍛える訓練をする「視力回復トレーニング」があるが、この実態はベイツ理論でも毛様体筋説でも通用する。視力回復トレーニングによって視力が回復したとしても、毛様体筋説は否定されない。
こう考えると、老眼の原因は毛様体筋ないしはそれにチン小帯が加わった組織の衰えが主因である、と考えるべきではないか。だとすれば、ベイツ理論で行われている視力回復トレーニング(の一部)は、老眼の程度軽減には有効だ、ということになる。完全回復は無理にしても、挑戦してみる価値はある、と言えるのではないだろうか。
ただそうなると、最初の疑問に戻る。そんなに上手く、ピントが合うように、水晶体を変形させられるものなのだろうか。
そこには二つの仮説を提示する。一つは、ピントが正確に合っているべき範囲は正面のごく狭い領域でよく、そもそも大部分は大雑把にしか合わなくても良い、というもの。これは中央視力・周辺視力という概念でも説明がつく。もう一つは、毛様体筋が大雑把に合わせていて、残りの微調整は外眼筋がやっているのではないか、つまりベイツ理論も一部は合っている、というものだ。
何れは医学・科学が真相を究明し、対策も合わせて考えてくれるものと思うが、それにしてもその進歩は遅い気がする。研究のピッチはもっと上げてもらいたいものだ。
2018年12月20日木曜日
ダブルWiFi
最近特にいらいらすることがある。街中を歩いていると無償のWiFiに繋がるのだが、その範囲が狭く、普通に歩いていても直ぐに切れて使い物にならない。それで携帯回線に繋がるかと思えばまた次のWiFiに繋ぎに行くので、その間ずっと通信不良が続く。じゃあWiFiをオフにすればいいじゃないか、ともいかない。契約データ量は最低限で、月末にカツカツになるのがいつものことだ。少しでもWiFiに繋ぎたい。
そこで思うのが、スマホにWiFi回線を二つ以上搭載して、一つを掴んでいる間にもう一つも掴めるようにしてほしい、ということだ。そうすれば少しでも通信不良を改善することができるのではないか。
今でも携帯回線とWiFiの二重接続はできているので、技術的に難しいとは思わないが、チップが対応していなければ二つのチップを乗せる必要があるだろう。これは需要が既にあるので、後はチップメーカーがどう思うかに掛かっている。
携帯電話会社としては、データ料金が稼げない不利があるから、謹製のスマホに搭載される確率は低いが、MVNOやSIMフリーなら望みがある。
2018年12月19日水曜日
ロータリーベッドバス
低所得者、無職の者が路上生活者にならないためには、安価な宿が必要だ。だがこれにも規制は必要で、あまりにも不衛生だったり詰め込みすぎることは許されない。当然土地は必要であり、固定資産税も掛かる。これを少しでも安くする方法を考えてみた。
それは、カプセルホテルのような多段ベッドを備えた自動運転バスだ。車両にすれば固定資産税は掛からない。しかし、夜行バスと違って、ベッドにすると公道を走れない。これでは毎日の睡眠場所としては不適切だ。ちゃんとしたベッドに寝るには、公道を走らなければよい。つまりは私有地だ。
「私有地の道路を低速で走る巡回バス」これこそがその答えである。歩く速度程度であれば衝突しても問題ないから、お上も手を出しにくいだろう。このバスは、例えば遠地の土木工事では、その敷地内を走ればよいので、そういうところの宿泊向けにレンタルすることも可能だ。
もちろんこれは法の隙間を突いたズルい方法であり、広まれば潰される恐れがある。
2018年12月18日火曜日
日記型公式記録帳
電子母子手帳の利用が広まっているようだ。現状ではまだ紙の手帳の補完の位置付けだが、お薬手帳と合わせ、これは色々と面白いポテンシャルを秘めていると思う。
この話とタイトルとの結びつけだが、こんなイメージだ。ユーザは、イベントがあれば何でも写真に撮って、必要に応じてコメントを書く。これはユーザにとっては日記だが、同時にイベントへの参加の証拠にもなる。母子手帳で言えば、予防注射の様子を撮り、領収書を撮れば、それが電子母子手帳への反映になる。写真から領収書を認識してカルテと紐付けし、更に電子母子手帳への記録とする、というわけだ。
これがお薬手帳になると、もちろん処方箋を撮影することになる。これを近所の薬局に伝送し、薬局に着いたら既に調合済みの薬を受け取るだけ。受け取ったらその薬の説明書をまた撮影すれば、ジェネリックへの変更なども反映される。
他にも、給与明細やレシートを撮影すれば家計簿に反映するといったものも同様だ。全ては(写真入りの)日記がベースとなり、OCRと画像認識、バックグラウンドでのマイナポータルや各種企業DBとの連携で記録が作成される。
今までも、個人の旅行の記録などはこれで作れただろうし、事実Googleフォトなどでは似たようなことができる(誰と何処で会った、など)。これを公式の何かと結びつけるところが新しいところだ。しかし仕掛けとして難しいところはそれほどなく、やる気やその条件整備などの方が難しい。
献血手帳、母子手帳、お薬手帳は、その中でも比較的とっつきやすいものだと言える。これから実験を始めて徐々に拡大していくと、知らず知らずのうちに何でも撮影することで全てが上手くいく世の中ができていく。そんな未来を想像している。
2018年12月17日月曜日
あらゆる条件下での自動運転は今後も実現しない
https://japan.cnet.com/article/35128626/
Google系列の自動運転車会社WaymoのCEOの発言だ。自分はこの考えに反対である。もしそうなら、いわゆるレベル5の自動運転は実現しないことになるのだが、それでは困る。
レベル5とレベル4の間には、大きな谷がある。レベル4では(万一に備えての)何かしらの運転者が必要だが、レベル5では全く必要ない。つまり、運転ができない人だけが単独で乗ることができるかどうかに差があるのだ。それは例えば高齢者(免許返上者)、障害者、急病人、意識不明者、睡眠中の人、子供、外国人(国際免許を取っていない)などだ。
困るという話と技術的にどうかという話はもちろん別物だ。確かに、それがデジタルツインの中であったとしても、この世に存在しうる全ての条件を再現するのは不可能だろう。だが、実際にシミュレーションされていない状況下において、自動運転者はとんでもない運転を選択するのだろうか。完璧ではないにしても、ある程度妥当な動きをすれば良いのではないか。
例えば、夜で雨で強風下で、更に人やモノが飛んでくる、ヘッドライトやセンサが故障している、なんて条件は付けられるだろう。だがそんなときはゆっくり走ればよいだけではないのか。大きなものが飛んできたときだけ、避けるようにすればよいのではないか。もし避けられなくても、それはしょうがないのではないか。それらの判断が人と同等かマシであれば許されるのではないか。そういう話だ。
今の自動運転車は、もっと緩い条件でも走れなくなるのかもしれない。例えば霧と道路凍結が重なるだけでもNG、などだ。でもそれなら、技術の進歩と共に解決できるように思う。また、伝家の宝刀(ゆっくり走る)でも当面は対処できるのではないか。「今後も実現しない」なんて言わずに、研究を続けて頂きたいものだ。
2018年12月16日日曜日
新語辞書
IoT分野においては、新しい言葉や略語が常に飛び交っている。これらを自動生成してくれるAIはないだろうか、と考える。ほしいのはこんなものだ。
- 特にアルファベットの三文字略語などに言えることだが、それがいったい何の略語なのかが分からない。まずそれを示して欲しい。
- 最初に言い出したのは誰か、その論文なり記事なりの出自、できればリンクが欲しい。
- その言葉がどのくらい流行っているのか。いわゆるヒートマップ。また流行りそうか。これは伸び(ベクトル)や誰が使っているかが参考になる。
- もちろん言葉の意味も必要だが、これには揺らぎがあるはずだ。従ってそういった揺らぎを許容する記述が必要になる。つまり誰の定義かと合わせて説明すること、また複数の説明における揺らぎとそうでない(揺らいでいない)ものの整理。
- 検索範囲のカスタマイズができると良い。IoTで言っているのに宗教用語を引っ掛けてもしょうがない(場合が殆ど)。
2018年12月15日土曜日
レーザーポインタナビ
いわゆるマンナビにおいて、曲がり角にきたら向きを一瞬だけ照らしてくれるようなペン型レーザーポインタデバイスを胸ポケットに刺しておく、というのを考えてみた。
レーザーの方向ははMMDで調節する。ずっと光るのではなく、例えば2秒だけ点滅するようにする。照らすのは道路である。できれば矢印型に照らして欲しいが、まあ点でもよかろう。行く方向に点が動いてくれれば尚よい。
このシステムの長所は、スマホを取り出して見たりVRゴーグルをかけたりイヤホンをしたりしなくてよい、ということに尽きる。これは特に、複数人で会話しながら移動している場合などには大きなメリットになる。スマホ連動を想定しているが、技術的には必然ではない。GPS内蔵で単独で動くものとしてもよい。最初の設定だけはやはりスマホが必要だが、例えば子供連れで遊園地に来て、集合場所だけ決めて自由に遊ばせる、といったときには非常に有用だ。
ちょっと応用すれば、手をかざすと絵や字を書くこともできるし、それをタッチすることで操作するのも可能だ。新たなインターフェースとして色々と応用を考えるのも、また楽しいデバイスになりそうだ。
2018年12月14日金曜日
防犯ドアクローザー
ドアを開けたときに、自動でゆっくり閉まるように調整をする機械が、ドアクローザーだ。たいていの開き戸にはついている。
このドアクローザーは、強力なばねとオイルダンパーで構成されていることが多い。ドアを開くときの力を利用してばねを伸ばし、それが縮む力で閉めるのだが、その際にオイルダンパーで抵抗を作ってゆっくり閉まる。この抵抗を、オイルダンパーでなく発電機に置き換えれば、発電ができる。
ドアの開閉センサは無線通信で動くが、この消費電力は微々たるモノだから、この発電で補うことは簡単だ。また、大きさもそれなりにあるので、十分な容量も期待できる。そもそもドアクローザーの動きは開閉と連動しているから、開閉検知機能は内蔵できる。
こう考えると、ホームセキュリティの要としてドアクローザーを交換するというのは理に適っている。これを拠点としたシステムを考えてみると、このようなものになる。
- ドアクローザーに上記のような発電機構と、キャリアLPWA、ノンキャリアLPWA、ドアロックへの電源供給を内蔵する。
- ドアクローザーのロックが解除できなければ、玄関の鍵が開いてもドアは開かない。もちろん無理やり開けようとすれば大音量で警告され、通信経由で通報される。これにより、ドアの鍵周りの改造は不要で、ドアクローザーの交換のみで対処できる。
- その代わり、鍵を開けるのには二つの操作が必要だ。ひとつは通常の物理的な鍵を開ける動作。もう一つは、スマホやキーホルダー型通信機でドアクローザーのロックを解除する動作だ。
- ドアクローザーの発電と充電容量は相当に大きいもので、毎日出入りしていれば自然に充電するし、閉めたままでも数年は問題ない。もちろん、容量が不足すれば通信経由で警告が出る。
- 家の中の他の窓の開閉センサやガス・煙センサなどは、従来通り電池で動く。通信はノンキャリアLPWAを使い、ドアクローザーと連絡する。Bluetoothや無線LANでないのは、低消費電力と確実な通信距離を両立するためだ。
- 異常検知や留守モードの設定は、キャリアLPWAを通じて行う。つまり携帯電話やスマホとの通信レベルでのペアリングは必要ない。専用ソフトを入れ、QRコードを読み、暗証コードを設定するだけで完了する。
- インターホンや防犯カメラは動画では無理だ。消費電力が高く、通信容量もLPWAでは追いつかないため、静止画及びコマ撮りのみとする。但しできるだけ映りが良い状態の画像を選ぶ機能は付ける。音声はあってもよいだろう。
- 地震検知時の自動ロック解除はあっても良いだろう。これも収まって一定時間が経てば再度ロックするようにすればよい。(その時にゆがんでいればロックできない) これもドアを揺らしたら検知するのではなく、キャリアLPWA経由で緊急地震速報が検知され、且つ留守モードでないときのみにする。
2018年12月13日木曜日
OS-AI、APP-AI
AIは、将来的には従来の決定論的プログラミングを凌駕するのではないか、と考えている。
別の投稿で、従来の意味でのOSを持たない、AIのみのコンピュータを考えてみた。課題は幾つかあるものの、OSとしてのAI、即ち常識、共通知識を持つAIと、アプリケーションとしてのAI、即ち専門知識と特定の目的を持ったAIが分かれ、前者が後者を制御するような仕掛けが出てくるのではないか。
後者には、従来の意味でのプログラム(アプリケーション)やSaaSまでもが含まれ、APPとしてのAI(APP-AI)とそれらは同格、また相互接続までが行われる。それがOSとしてのAI(OS-AI)の上で制御管理される、という次第だ。
決定論的(プログラミング言語で書かれた)APPは次第に数を減らしていき、APP-AIが殆どになったとき、これらのプログラミングは全てデータ(学習データ)のみで行われる時代になる。プログラミング能力が不要になる時代の到来だ。
この、AI同士の連結は、別の議論でも何回かしている階層化の概念も含んでいる。AIがどのようにつながり、どう相互干渉していくのか。以前の議論に加え、今回のような議論も今後は必要になっていくのだろうと思う。
2018年12月12日水曜日
フードオートメーションのAIフィードバック
コーヒー、カクテル、ピザ、ハンバーガー、オムレツ。これらは何れも、既にロボットが自動で作れるようになっており、商用化がほぼできているものだ。
マクドナルドのハンバーガーの味は、全国どこで食べても同じだと思うが、その理由はセントラルキッチンと厳格なマニュアルによるものだ。つまり、ロボットが調理したとしても問題ない。簡単なものから、例えばフライドポテトのロボット化などは、既に検討されているのではないかと思う。
今のところこれらは際物だが、そのうちこれが標準になり、人間が調理する方が珍しい、という時代もくるはずだ。このときに問題となるのが、新メニューの開発だろう。
例えば、バンズが2枚である前提のハンバーガーロボットに、バンズ3枚のハンバーガーを作れと言っても作ることはできない。設置された素材や調味料を変えるのも無理だ。チェーン店なら中央が考えるだろうが、これでは街の独立系の料理屋には使えない。
ハンバーガーしか出さない店なら専用の機械でも良いだろうが、普通の食堂ではそうはならないだろう。となれば、汎用の手を持つ人間のようなロボットが必要になるはずだ。これなら新しい素材にも対応できるし、調理法も変えることができる。
また、顧客の好みに合わせたり、調味料の量を調整したりするのに、AIフィードバックを掛けることは可能ではないだろうか。それらを摂動させ、アンケートを取らずとも、客の食べっぷりや表情を基にしてそれらを評価すれば、最適化は可能だ。
そうすると面白いだろうことは、店舗によって来る人はだいたい決まってくるので、店によって味が違ってくるだろうということだ。ロボットが作っているにも係らず、である。来る人の個性が見せの味を変え、更にそれが人を呼び込み、客が固定化するのだ。
機材や材料がセントラルキッチンで作られるとしても、調味料の量などがそれで加減できるのならば、固定客が着く。これが認められれば、中身はチェーンであっても外見を変えた半独立のような業態が出てくるかもしれない。
伸びよりも安定が得られるということは、低成長時代の今としてはむしろありがたい特性ではないか。それを目指す中央や店舗が出てきてもおかしくない。そういった時代が来るのかもしれない。昔のアメリカのドラマにあったような「XXの店」の、形を変えた復活である。
2018年12月11日火曜日
AIのみワンボードコンピュータ
通常の意味でのOSが載っておらず、AIだけが搭載されたワンボードコンピュータというものを考えてみた。
そんなものでいったい何ができるのだろうというと、全てを機械学習でプログラミングするのだ。すなわち、正解付き学習データを垂れ流すだけ。プログラミング=正解付き学習データの作成、となる。
ますます訳が分からない、と思われるかもしれない。ここでヒントになるのは、以前の投稿「DNNクラウド」だ。入力と出力、そのフィードバックさえできていれば、例えば画面に文字を出すといったごく単純な動作でさえ、プログラミングが不要にできるのではないか、というわけだ。
キーボードに相当する入力からASCIIコードを入れると、画面の特定のところに相当する文字が現れる。これをAIで教え込む。これを全コードに対して行う。入力が進めば画面の位置が進むことも同じく教え込む。そういう仕掛けだ。
多くの場合、ワンボードコンピュータは特定の簡単な判断のみに使われるから、例えば特定の文字しか表示しない、というようなことは普通に起こる。OSに仕込まれている第二水準のフォントは、ここでは無駄になるわけだ。正に必要なことのみ覚える、しかもプログラミングが不要。但し学習データは膨大になる。
ただ、OSやモニタのような基本的な学習は済んだ状態で提供される、あるいは学習済みの状態をダウンロード(コピー)できるのなら、そういったOS的なデータはユーザ(アプリケーション開発者)には不要であり、自分のやりたいことのデータを揃えるだけで済む。
ワンボードコンピュータのアーキテクチャが少々異なっても、学習データのフォーマットはさほど変わらないはずで、違ったとしても簡単な変換で済むはずだ。プログラミング言語の移植よりは遥かに簡単だろう。これは長期的には良いことで、移植という無駄が排除できる。
学習データを揃えるのは、プログラミング言語を覚えるのよりはハードルが低いはずだから、これは裾野を広げる効果がある。人々がもっとIoTに親しみ、自動化や最適化が更に社会に広まることが期待できる。
2018年12月10日月曜日
ニュースとAIとアナウンサー
https://japan.cnet.com/article/35128399/
中国でAIアナウンサーが登場した。日本にもAIアナウンサーはいるが、アニメキャラみたいなものばかり。一方で中国版は実在のアナウンサーをコピーしたとかで、「超リアル」だ。発想が根本的に異なるところは興味深い。
もしこれが深夜の地震速報に使われるとしたら、日本より中国の方が適しているように思う。では芸能ニュースならどうかとも思うが、中国のものであっても違和感はない。これは日本が完敗ではないかと思うのだがどうだろうか。
さて、ニュースの自動生成とAIアナウンサーが組み合わされば、配信可能なニュースの量は爆発する。これは必然的にオンデマンド化、詳細化を生むだろう。
更に言えば、ニュース解説にも同等のことが言える。日本のAIには、ニュースなどの文章に対して賛成反対各々の立場からの意見とその理由を整理するようなシステムもあるし、ソーシャルメディアの反応を絡ませるなどもやはりできるだろうから、これで(全部がAIとCGで)ニュース番組が纏まってしまうということも可能だろう。
これを更に発展させれば、ニュースだけでなくもっと広い意味での時事、例えば流行、特定ジャンルでの流行、マイブーム、趣味、地域の行事、といった小さなイベントや、イベントに関連する知識やノウハウまでがこれに載ることができる。こうなるともはやこれはニュースではなく、趣味の雑誌だ。更に発展すれば専門書、教育、と辿ることもできる。
広い意味で個々人が興味のあることを、その反応や入力によって学習し提供し続ける。更にはそのタイミングや分量、興味喚起などを、忙しさや理解度によって調節する。そういったものができれば、これはもう新しいソリューションと言っても良いだろう。個人に寄り添う「何でも情報源、知識源、教師、師匠」とでも言うべき存在だ。
発生する、あるいは既に存在している情報の取捨選択がどのようにオンデマンドでできるか、その広さや深さなどの適切さ加減が差別化要因になる。これはAIプログラマにとって相当チャレンジブルであり、且つやりがいのあるものになるだろう。
一気にここまで行くことは考え辛いが、世の中は徐々にこの方向に向かっていくのではないか。一人一台のスマホ、無線イヤホン、VRゴーグルさえあれば、アナウンサーも教師も不要で、好きなだけ情報を入手できるような世界。ちょっと怖い気もするが、好奇心のほうが勝る。ぜひ見てみたい社会だ。
2018年12月9日日曜日
有害廃材を蓄電に使おう
https://jp.techcrunch.com/2018/11/08/2018-11-07-the-cost-of-energy-storage-has-stalled-adoption-of-renewable-power-energy-vault-has-a-solution/
Energy Valutという会社が、風力発電の蓄電に関し、コンクリートブロックの位置エネルギーによる方法を提案している。揚水発電と原理は同じで、持ち上げるのが水ではなくコンクリートである点が異なるだけだ。
このコンクリートは、建築廃材が使われるのでコストが掛からないとされている。だがもっと低コストにする手がある。それは、有害廃材の利用だ。
この代表は、原発の解体廃材だ。さすがに燃料廃材は厳しいと思うが、建築廃材程度の放射性廃材は大量に出るだろう。単に廃棄する、リサイクルする、どちらの選択肢もなく、管理保管する必要がある廃材だ。ただ鎮座させるのではなく活用すれば、少しはマシというものではないか。
他にも、化学汚染された廃材は似たような管理保管や特殊な処分が必要だし、複合廃材は埋めるしかないが、ここに持ってくれば少しは役に立つ。元々マイナスのコストを持つものだから、双方にとってメリットがあるのではないか。
もちろんそのためには多少管理が厳しくなるが、どうせ郊外に作るものだし、大部分は機械が触るだけだ。細かい調整は必要にしても、大きくコストが跳ね上がることはないと思う。
2018年12月8日土曜日
多重用途ドローン
現在のドローンは、目的別に計画されている。例えばインフラの点検をするドローンと、農薬の散布をするドローンは完全に別物だ。一方で、小さな飛行機会社やヘリコプター会社は、飛行機やヘリコプターの(操縦士付き)時間貸しが主業務で、それで何をするかは客によって異なる。ドローンにもこのモデルを入れるべきだ。
その大きな理由のひとつは許認可である。ドローンは数が多く、人の多くいる空間を飛び回るから、それなりの安全性が要求され、規制もまだ未熟だ。新たな規制が加わる、逆に緩和される、などの情報は、専門家が集約した方が良いし、許認可をする役所としても相手が少数で専門家の方がやり易いだろう。
これは顧客にとっても有利で、無駄にドローンを飼い殺しにする必要がない。ドローン会社にとっても、操縦士の育成やAIの適用などには資源を集中しやすい。
これに必要なのは、ある程度の汎用的なアタッチメントだろう。積載可能重量や継続飛行時間も余裕が求められる。これはこれで、市場を形成しそうだ。百花繚乱より規格化されていた方が横展開が簡単だから、メリットもある。
例えば10kg程度、30分くらいのスペックがあれば、大抵の用途には使えるだろう。業者でなく個人ユースでも、スマホで気軽に予約して、というような時代も来るのかもしれない。
2018年12月7日金曜日
宅配ドア
宅配で不便なことが二つある。配達される時間が分からず、その間は自宅にいなければいけないこと。また、宅配業者を装った強盗やストーカーの心配があることだ。この心配を排するためには、コンビニ取り置きにするか、宅配ボックスや玄関前置きを使うしかない。しかし前者は出かける必要があり、荷物が重いときはきつい。後者は、盗まれる心配があるし、留守であることがバレてしまい、防犯上厳しい。
そこで考えるのが、ドアを専用の「宅配ドア」に交換する提案である。仕掛けは簡単で、ドアの下半分の裏側が折りたたみ式の宅配ボックスになっていて、普段は折りたたんでおけば普通のドアと同じに使える。留守にするとき、あるいは居留守を使うときには、このボックスを展開すると、外側から開けられるドアが有効になり、宅配ボックスとして使えるわけだ。
日本の玄関ドアは外開きだから、ボックスを展開してもドアが開けられなくなることはないが、展開した宅配ボックスから室内に侵入されないためにも、外側からだけ出し入れできるように作った方が良いだろう。また同じ理由により、展開した状態でも頑丈に作る必要はある。しかし注意点としてはその程度で、どちらも難しいものではない。
ドアは少々高価になるが、例えば女性の一人暮らしなどでは非常に重要な付加価値になる。需要も相当に見込めるので、賃貸にもお勧めである。
2018年12月6日木曜日
紙パルプ3Dプリンタ
https://jp.techcrunch.com/2018/11/07/2018-11-06-this-3d-printer-squirts-out-wet-paper-pulp/
3Dプリンタの材料として、プラスチックでなく紙パルプを使った事例だ。
これは面白い。紙は日常空間に溢れているし、何よりも自作が可能だからだ。シュレッダーには湿式シュレッダーというものがあって、裁断するのではなく湿らせてどろどろにする。モノによってはその場で新たに紙に再生するものがある。この技術を応用すれば、自宅の余った紙で作ることができる。
この事例の作品の見た目は美しくないが、乾けば市販の塗料で幾らでも化粧が可能だ。工作精度も悪そうだが、これは将来的には改善が期待できるだろう。そうした上で何ができるか、何を作りたいか、色々と想像ができて面白い。
日常に発生する紙と言えば、包装紙や梱包箱(ダンボール)、雑誌新聞といったところだろう。量的には結構なものだ。従って、ペン立てなどの文具、小物ものも可能だろうが、消耗品ではないものを作ることに意義は薄く、それなりの消費があることが望ましい。そこで考えてみると、
- 買い物袋(バッグ)。麻紐や市販の紙紐と組み合わせた強度強化が望ましい。
- 皿、コップ、カトラリー(箸、フォーク、スプーン)。
- 梱包箱(リユースではなく最適なサイズに作り直すリサイクル)。
- 封筒。
- ぞうきん、給水材。
- 紙おむつ。子供の下着。
- 紙粘土。
- 子供のおもちゃ。積み木など。
- クッション材、断熱材。
- キッチンペーパー、メモ用紙、トイレットペーパーなどの薄いものが作れるかどうかが不明だが、もし可能ならこれらも考えられる。
2018年12月5日水曜日
日本のドローン農業
https://jp.techcrunch.com/2018/11/07/2018-11-06-precision-farming-startup-taranis-gets-20m-series-b-for-its-crop-monitoring-tech/
ドローンで農作物を監視し、AIで効率化しようとするベンチャーの例だ。
IoTによる農業では、大量のセンサが必要である、と思われがちだが、ドローンで監視するようにすれば一台で済む。別に秒単位で情報が欲しいわけではないので、例えば一日に数回飛ばして監視する、というようなレベルで十分だし、鳥や野生動物の被害を避けるには監視塔でも立ててカメラで監視し、ドローンで追い払うようなこともできるだろう。
日本の土地は山がちで気象も複雑だから、だだっ広い平地に機械で力任せに作ってきたような米国型農業にはコスト面で勝ち目がなかった。しかし、こういったきめ細かい制御が可能になれば、その恩恵が大きいのはむしろ日本の方だ。
米国での恩恵は、せいぜい効率の向上といった程度だろう。大規模な病害虫の被害を未然に抑えられれば、何割というレベルで収益が向上するだろうが、日本の場合は活用できなかった土地が新たに活用できるようになる利益が大きい。また、土地の特性に合わせた作物の選択が可能になるので、付加価値の高い栽培が可能になる。その効果は何割ではなく何倍、何十倍という規模になるはずだ。
この記事にはないが、剪定、選定、収穫、仕分けにもドローンを使えるかもしれない。そうすればその価値は更に高まる。人が入り込めないような崖にも栽培できるし効率は最高となれば、くず地の価値が急激に増し、成金が続出することすら考えられる。
これはまた、農業人口の高齢化にも良い影響が出る。これで収益力が高まれば、若者も農業に進出する機会が増えるからだ。人口の都市集中緩和にも役に立つし、地方活性化にも芽がある。
農水省とAIは、意外に相性が良いのかもしれない。これは国主導での研究が望まれる。
2018年12月4日火曜日
AI相性受験
最近の私立学校の受験では、単に詰め込み知識を問うのではなく、地頭を問う傾向があるのだそうだ。記述式が増えたり、時事を問うようなものもあるらしい。
こういうものには、問題もさることながら、採点にも難しいところがある。そしてもっと問題なのは、勉強の視点でしか受験ができていないことだ。それは校風だったりクラブ活動だったり友人関係だったり先生との相性だったりする。
自由な校風の学校に、成績は良いが自分で物事を決められない子が入ってきても不幸だろうし、厳格な学校に奔放だが発想が豊かな子が来ても窮屈なだけだ。
こういった総合的な相性の評価をするには、単に2時間の受験をするのではなく、もっと総合的な評価が望ましい。しかしそのコストは膨大であり、多くの学校では思いもよらなかっただろう。
もしここにAIが入る余地があるのなら、学校、生徒共に幸せになれる。この方法を少し考えてみる。
生徒に様々な問題を与えるというのは基本的に同じだが、まず与える問題は学問の試験だけではない。例えば、クラスのグループに分かれてアクティブラーニングをするのだ。その際に受験者がどの立ち位置に来るのか、どう協力するのか。場を盛り上げるのか、書記に徹するのか、リーダーシップをとるのか。あるいは意見を求められたときにどんな反応をするのか。
相手をするのは仮想人格であり、環境もVRである。もちろん同じ問題を現実の(既に入学している)生徒にもさせる。そこから、様々な観点で性格が導き出せるはずだ。もちろん筆記試験ではないので対策は困難だし、もしそれでも対策ができているのなら十分に本人には資格があるだろう。
この仮想人格は、ある意味でその学校の校風を反映している。その人格と上手くやっていけるのなら、実際に入学しても似たような(あるいは相性の良い)人格が集まり、やはり上手くやっていけるだろう。
グループワークに限らず、クラブ活動や修学旅行、登下校でのアクシデントなど、色々と問題は考えられる。これらから得られる性格ベクトルは、選考の大きな参考になるはずだ。
開発は相当に難しく、当面はこの通りに作るのは無理だろうが、例えば段階を踏んで細分化すれば、今からでも適用可能な考え方はある。検討する価値はあるはずだ。
2018年12月3日月曜日
プリズムによるノッチ解消術
iPhone Xが出たとき、なんと醜悪なデザインだ、と思った。しかし他社も追随して、ノッチだらけの世の中になってしまった。これは気持ち悪い。早いところ何とかして欲しいものだ。
既にノッチなしで全画面を追求する動きはあるようだが、個人的には別に上に少しばかり筋が残っていても全然構わない。だが、よりその幅を薄くしようとするならば、一つアイデアはある。
それは至極簡単である。プリズムを使ってスリットを作る。これで光を誘導し、90度反射させてカメラをディスプレイの裏に縦に配置するだけだ。液晶の裏に誘導さえできれば、後は光学的な工夫で幅の狭さをカバーすることは可能だし、幅を長くすれば光量も確保できるだろう。
こんな簡単なことになぜ誰も気付かないのか、理解に苦しむ。深セン辺りでさっさと作って欲しいものだ。
2018年12月2日日曜日
遠隔でない遠隔医療
遠隔医療というと、自宅ないしは介護施設や老人ホームで日々の健康診断、と想像してしまう。しかし、これをもっと積極的に利用しようとすると、別の形態が考えられるのではないか。
患者の行き先は病院である。え、意味ないじゃん、と思うなかれ。その病院には検診機器も看護師も医者もいるし処置室もあるが、診察するのは全て遠隔医療である。
患者は病院を選ぶことができるが、選ぶのは遠隔医療の病院であって、実際に行く病院ではない。つまり、どの遠隔医療病院の診察を受けるにしても、実際に行くのは地元の同じ病院である。
そこに医者や看護師がいるのは、投薬や処置及び医療機器を操作するためであって、その意味ではベテランである必要はない。医療用語が分かり、遠隔医師の指示が理解できれば十分である。
病院である以上は、ある程度高度な診断や処置は可能である。この点が既存の遠隔医療と決定的に違う点で、緊急手術や特殊な器具・機器が必要な検査・処置以外の大部分は、そこで全て済んでしまう。処方箋の発行も当然可能だ。医師同士の協働であれば、現在の遠隔医療の法的問題は、ほぼクリアできる。
遠隔医療病院は、遠隔医療専門で運用できるので、例えば24時間運用としたり、高度に専門化したりすることができる。看護師は不要であり、病床も要らない。消毒も白衣も不要である。高速通信とコンピュータ機器やテレビ会議システムなどは必要だが、多くはクラウドに逃がすことができる。
患者としては、自分の病気が困難なものであったとしても、遠くの専門病院に通う必要がなくなるし、例えば混雑しているときには都度医者を変えるようなこともできるだろう。
地元の病院としては、不得意な病気は遠隔医療を推奨することが簡単になるし、もし遠隔医療になっても自分の病院から患者がいなくなることはないので、収入がいきなりゼロになることがなくなる。また、高度な遠隔医療病院と日々接することで経験も積める。
過疎地域であっても、これは有効だ。全てが遠隔でなくとも、簡単なものはローカルで、難しくなれば遠隔で、とできる。医者が不要になるわけではない一方、経験の浅い医者でもいざというときは助けを請える点、安心感が違う。
今の遠隔医療モデルに、ぜひこの形態も付け加えて検討してもらいたいと思う。
2018年12月1日土曜日
安全不要社会
今、都心では、電車のホームにホームドアを設置するところがじわじわと増えてきている。このように、社会自体が色々と安全になっている例は多い。しかしそれには考慮や費用が掛かる。
この、安全のための機構が全て要らないとしたら。かつてはそうだったわけだが、そうなればモノづくりの効率が高まることは疑いない。そしてその犠牲になるのは当然安全なのだが、そうならないとしたらどうだろう。
例えば、どんなに鋭い刃物でも、人に当たらなければ切れることはない。この刃物をロボットが持っていたとして、絶対に人に当たらないように制御されているとしたら、その刃物に安全策は必要ないわけだ。刃物単体ではなく、ロボットとのセットで安全であれば良いのだから。
また、世の中の自動車が全て自動運転車になったら、歩道と車道の間にガードレールを付ける必要はないし、歩道に段差をつける必要もないかもしれない。多少トイレが広ければ、ロボットが一緒に入って介助できるから、手すりなど様々な障害者向けの設備は要らないかもしれない。ロボットが送り迎えをしてくれるなら、防犯アラームは不要かもしれない。
冒頭のホームドアに立ち返ってみると、日本ではドアの数が多様なため設置が難しい駅もある。そんなところには監視ロボットが多数配備され、落ちそうな人を注意したり、電車の進入時には手を広げてガードするということも考えられる。
このロボットは全て汎用の人型であって、プログラムだけが少し違う。人の多さと場所の危険度によってロボットの数は増減し、プログラムも逐次最適化する。そんな社会では、既存のインフラはそのままでよい。例えば、新たにエレベーターを設置する必要はなく、ロボットにおぶってもらえばよい。車椅子で電車に乗るのも、いちいち駅員に頼む必要はない。専用の板も必要ない。
もちろんロボットの費用は掛かるわけだが、こちらは汎用なので潰しが利くし、量産効果も出るだろう。全体としてどちらが安くなるかは分からないが、どちらにしてもそういうロボットは出てくるはずであって、後はさじ加減をどうするか(どちらに重きを置くか)の問題になるだろう。
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