2018年12月10日月曜日
ニュースとAIとアナウンサー
https://japan.cnet.com/article/35128399/
中国でAIアナウンサーが登場した。日本にもAIアナウンサーはいるが、アニメキャラみたいなものばかり。一方で中国版は実在のアナウンサーをコピーしたとかで、「超リアル」だ。発想が根本的に異なるところは興味深い。
もしこれが深夜の地震速報に使われるとしたら、日本より中国の方が適しているように思う。では芸能ニュースならどうかとも思うが、中国のものであっても違和感はない。これは日本が完敗ではないかと思うのだがどうだろうか。
さて、ニュースの自動生成とAIアナウンサーが組み合わされば、配信可能なニュースの量は爆発する。これは必然的にオンデマンド化、詳細化を生むだろう。
更に言えば、ニュース解説にも同等のことが言える。日本のAIには、ニュースなどの文章に対して賛成反対各々の立場からの意見とその理由を整理するようなシステムもあるし、ソーシャルメディアの反応を絡ませるなどもやはりできるだろうから、これで(全部がAIとCGで)ニュース番組が纏まってしまうということも可能だろう。
これを更に発展させれば、ニュースだけでなくもっと広い意味での時事、例えば流行、特定ジャンルでの流行、マイブーム、趣味、地域の行事、といった小さなイベントや、イベントに関連する知識やノウハウまでがこれに載ることができる。こうなるともはやこれはニュースではなく、趣味の雑誌だ。更に発展すれば専門書、教育、と辿ることもできる。
広い意味で個々人が興味のあることを、その反応や入力によって学習し提供し続ける。更にはそのタイミングや分量、興味喚起などを、忙しさや理解度によって調節する。そういったものができれば、これはもう新しいソリューションと言っても良いだろう。個人に寄り添う「何でも情報源、知識源、教師、師匠」とでも言うべき存在だ。
発生する、あるいは既に存在している情報の取捨選択がどのようにオンデマンドでできるか、その広さや深さなどの適切さ加減が差別化要因になる。これはAIプログラマにとって相当チャレンジブルであり、且つやりがいのあるものになるだろう。
一気にここまで行くことは考え辛いが、世の中は徐々にこの方向に向かっていくのではないか。一人一台のスマホ、無線イヤホン、VRゴーグルさえあれば、アナウンサーも教師も不要で、好きなだけ情報を入手できるような世界。ちょっと怖い気もするが、好奇心のほうが勝る。ぜひ見てみたい社会だ。
登録:
コメントの投稿 (Atom)
注目の投稿:
ダイナミック租税とその指標
今の法律では、税率は一定の計算式で表されるが、そのパラメータは固定である。需要と供給のバランスによって商品の価格を変えるダイナミックプライシングというのがあるが、あれを租税にも適用してはどうかと考えてみた。 納税者の声をベースにして様々な租税や補助金を自動調節して、どこか一箇所...
人気の投稿:
-
ハクキンカイロの発熱原理を調べていて、これを防災用(キャンプ用でも良いのだが)の湯沸しに使えないかと考えた。 普通、キャンプではガスコンロを持っていく。だがあれは裸火を使うから、熱効率は悪い。これに対してハクキンカイロの仕掛けは、白金触媒を適切な場所に配することで、極...
-
科学者、医者等であっても発言が必ずしも科学的とは限らない。無自覚ならまだ可愛いが、むしろ素人を煙に巻く悪意すら感じることもある。 量的議論がそのひとつであることは言うまでもないが、もっと以前の問題として、論理が破綻していることの多さがある。 そのひとつとして、ス...
-
新型コロナウィルスへの対応で、医療機関の防護服やマスクが足りないことが話題だ。ゴーグルは違うが、その他は使い捨てであるところがネックになっている。作っても作っても、消費の方が激しい訳だ。しかし考えてみれば、そもそも何で使い捨てなんだろう。細菌兵器用の防護服は使い捨てではない...
-
ガートナーが出しているハイプサイクルによると、生成AIはまだ幻滅期の手前にいるらしい。つまり今後大きな幻滅を経て実用域に進んでいくことになる。その幻滅とは、人間なら当たり前にできることでまだ生成AIにできないことが多く分かってくることによる。そしてその幻滅期を乗り越えるのは、...
-
時代が進むことで、昔のSFが奇異に思えるようなことはよくある。抑揚のないコンピュータ音声や、わざとぎこちなく歩く人間型ロボットなどは、もはや過去の遺物である。スタートレックシリーズに出てくるトリコーダーもその一つだ。 トリコーダー本体、また医療用プローブを手に持って...
-
生成AIを使って作成されたイラストに対する極端な非難が相次いでいる。そのどれもが、ちょっと行き過ぎに思える。例えば、事前にAIであることを知らせているもの、絵を描いている本人が確認し承諾したものまでも非難されている。なぜこんなに過剰な反応をするのだろう。単にノイジーマイノリティの...
-
卓上カレンダーのようなものを机に置いておいて、必要に応じてテレビ電話やフォトフレーム、緊急通報など、家で必要とされる様々な機能を集約する機械を考えてみる。 これは、従来は電話やFAXのような位置づけだったものだ。これら以外にも一家に一台の情報機器は考えられるので、それを切り替え...
-
コロナ禍ではあまり本ブログを更新しなかったが、この間は陰謀論が跋扈した時期でもあった。コロナは存在しない、ワクチンは危険、アビガン買いだめ、マスクは意味がないなど、実に様々な陰謀論が飛び交った。 この手の人は今だに存在しており、体感としてはむしろ増えている。それも、身の危険を...
-
自分の知る限りでは、VRChatのワールドで青空文庫が読める図書館があったのと、N高の教室メタバースくらいしかマトモな例がないのが、メタバース内で本を読む方法だ。本や書類がメタバース内で苦も無く読めるようになれば、電子書籍も含めて全部メタバース内に落としてしまいたい、とすら思っ...
-
映画と言えば、今でも娯楽のジャンルの一つとして確立したものではあるが、近年では衰退の兆しがある。そのたびに3DやCGなどのテコ入れが入ってきたわけであるが、ここにきて更に新しい提案ができるようになった。それがタイトルにあるインタラクティブ性の導入である。 とは言っても、...
0 件のコメント:
コメントを投稿