2018年12月21日金曜日
老眼の原因考察
老眼は、水晶体が硬化するのが原因とされてきたのだが、実はこの硬度(弾性度)が測定されたことはないらしい。今までの説には定量的根拠がなかったわけだ。これに関しては、理化学研究所が最近弾性度測定装置を開発している。
http://www.riken.jp/outreach/ip/24229/
https://www.med-device.jp/development/org/24-144.html
ただこれも、まだ人間の眼を測定した実績が見当たらず、老眼と弾性度の関係グラフすら提示されていない。
以前からの疑問がある。水晶体を変形させるのは周囲の筋肉(毛様体筋)なのだが、レンズの形を連続的に、しかも均等に、ちゃんと網膜に届くような形に変形させるというのはそもそも可能なのだろうか。これよりずっと大きいカメラのレンズは、ちょっと磨き損ねただけでもボケる部分ができてしまう。ましてやその何十分の一という小ささだ。材質の均一性、力の掛け方だけで、そんなに上手くいくと思えないのだ。
これには一つの「証拠」がある。白内障の手術では、この水晶体は取り除かれ、代わりに眼内レンズが入れられる。水晶体は「嚢」と呼ばれる袋に入っており、この袋の中に代わりに入るのは、眼内レンズ(と房水?)だけだ。これで弾性度の問題は取り除かれる(少なくとも軽減される)はずだが、老眼は治らない。白内障の手術で同時に老眼を治療することは可能だが、これは多焦点レンズによるものだ。水晶体が取り除かれることによる弾性の回復によるものではない。
これから考えると、水晶体の硬化は老眼の原因ではない(少なくとも主因ではない)、と考えるのが自然だ。では何が原因なのかと考えると、二つが候補になる。一つは、水晶体の変形を司る筋肉である毛様体筋の衰え。毛様体筋と水晶体を繋ぐチン小帯まで含めて考えてもよい。もう一つは、眼球を周辺で支える外眼筋によって眼球自体が変形しており、水晶体と網膜の距離を調整しているのが実態で、その外眼筋の衰えである、とするもの。
後者は「ベイツ理論」という名で、もう何十年も前から提唱されている(がマイナーな仮説)。ただ、アトロピン点眼で視力調節機能が麻痺することから考えると、ベイツ理論が単独で正しいとは思えない。毛様体筋による水晶体変形の働きはゼロではないと考えるべきだろう。
そうなると、毛様体筋の衰え、ないしはそれにベイツ理論の外眼筋の衰えが加わったもの、と考えるのが論理的だ。いずれにしても筋肉の衰え、というわけだ。
ここにもう一つ、外眼筋の衰えではない、と思える証拠を提示すると、例えば老眼になったとしても、近くのものを見る際に目が「寄る」現象に衰えはない。また、外眼筋は眼の向きの調節も司っているから、外眼筋が衰えているなら目の方向も定まらなくなるはずだが、それも起きない。
また、ベイツ理論では眼を鍛える訓練をする「視力回復トレーニング」があるが、この実態はベイツ理論でも毛様体筋説でも通用する。視力回復トレーニングによって視力が回復したとしても、毛様体筋説は否定されない。
こう考えると、老眼の原因は毛様体筋ないしはそれにチン小帯が加わった組織の衰えが主因である、と考えるべきではないか。だとすれば、ベイツ理論で行われている視力回復トレーニング(の一部)は、老眼の程度軽減には有効だ、ということになる。完全回復は無理にしても、挑戦してみる価値はある、と言えるのではないだろうか。
ただそうなると、最初の疑問に戻る。そんなに上手く、ピントが合うように、水晶体を変形させられるものなのだろうか。
そこには二つの仮説を提示する。一つは、ピントが正確に合っているべき範囲は正面のごく狭い領域でよく、そもそも大部分は大雑把にしか合わなくても良い、というもの。これは中央視力・周辺視力という概念でも説明がつく。もう一つは、毛様体筋が大雑把に合わせていて、残りの微調整は外眼筋がやっているのではないか、つまりベイツ理論も一部は合っている、というものだ。
何れは医学・科学が真相を究明し、対策も合わせて考えてくれるものと思うが、それにしてもその進歩は遅い気がする。研究のピッチはもっと上げてもらいたいものだ。
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