2018年12月1日土曜日

安全不要社会


今、都心では、電車のホームにホームドアを設置するところがじわじわと増えてきている。このように、社会自体が色々と安全になっている例は多い。しかしそれには考慮や費用が掛かる。

この、安全のための機構が全て要らないとしたら。かつてはそうだったわけだが、そうなればモノづくりの効率が高まることは疑いない。そしてその犠牲になるのは当然安全なのだが、そうならないとしたらどうだろう。

例えば、どんなに鋭い刃物でも、人に当たらなければ切れることはない。この刃物をロボットが持っていたとして、絶対に人に当たらないように制御されているとしたら、その刃物に安全策は必要ないわけだ。刃物単体ではなく、ロボットとのセットで安全であれば良いのだから。

また、世の中の自動車が全て自動運転車になったら、歩道と車道の間にガードレールを付ける必要はないし、歩道に段差をつける必要もないかもしれない。多少トイレが広ければ、ロボットが一緒に入って介助できるから、手すりなど様々な障害者向けの設備は要らないかもしれない。ロボットが送り迎えをしてくれるなら、防犯アラームは不要かもしれない。

冒頭のホームドアに立ち返ってみると、日本ではドアの数が多様なため設置が難しい駅もある。そんなところには監視ロボットが多数配備され、落ちそうな人を注意したり、電車の進入時には手を広げてガードするということも考えられる。

このロボットは全て汎用の人型であって、プログラムだけが少し違う。人の多さと場所の危険度によってロボットの数は増減し、プログラムも逐次最適化する。そんな社会では、既存のインフラはそのままでよい。例えば、新たにエレベーターを設置する必要はなく、ロボットにおぶってもらえばよい。車椅子で電車に乗るのも、いちいち駅員に頼む必要はない。専用の板も必要ない。

もちろんロボットの費用は掛かるわけだが、こちらは汎用なので潰しが利くし、量産効果も出るだろう。全体としてどちらが安くなるかは分からないが、どちらにしてもそういうロボットは出てくるはずであって、後はさじ加減をどうするか(どちらに重きを置くか)の問題になるだろう。

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