二足歩行ロボットの登場からだいぶ経ち、その技術も相当に上がってきている。そこに来て考えるのが、これらは人間同等ではなく、人間を遥かに上回る運動能力を持ち得る、ということだ。
それは怪力、という意味ではない。例えばロープ渡りだ。ただロープを張っただけのところを二本足でひょいひょい渡ることができるようになるかもしれない。ロボコップのように弾が当たっても平気なのではなく、弾を避ける警官ができるかもしれない。人間より強いカンフーロボットができるかもしれない。どんな球技でも負けないスポーツロボットも考えられる。
また、機械の操縦でも似たようなことが考えられる。人間では不可能な荒海での船の操縦や、強風下でのヘリコプターの操縦ができたりするかもしれない。驚異的なテクニックで、高速道路をすり抜けるドライバーも作れるかもしれない。
更には、細かい作業や芸術的センスが求められる職人芸すらも人間を超える可能性がある。染色や木彫り、機織りなどの、日本人が得意な分野も脅威に晒される。
そんな時代に起こり得る未来を幾つか考えてみた。
- 自動車同士の間隔が近くても事故を起こさないし渋滞も起こしにくいので、物流や人流の効率が向上する。
- パトカーや消防車、救急車などの到着時間を早めることができる。カーチェイスでは、あっというまに犯人を捕らえられる。
- 火災や災害救助などにおいて、助けられる場面が増える。例えばロープ一本張れれば殆ど助けられる。
- 暴力事件、人質事件などにおける突入部隊に導入され、人的被害を抑えられる。
- ロボット同士のスポーツ大会が開かれる。人間と体重・骨格・筋力・スピード・通信・知識(サイン・監督指示・計算能力)などは同じように制限した上で、テクニックのみを差別化要素として競技を行う。
- 危険な職業、例えばビルの窓拭きやとび職などの置き換えが進む。結果、それらがやり易くなり、低価格化や高度化が進む。平均的にビルが綺麗になる、個人所有の高層住宅が増える、など。
- 車が入れない僻地でも楽に生活できるようになる。荷物運びや人をおぶって運ぶロボットが補助をする。例えば断崖絶壁の上など。
- 子守やボディガードが流行る。人の目より安全で安心できる。
- 植木の手入れなど、繊細な作業を任せられるので、ガーデニングが流行る。
- 伝統工芸の伝承はロボットが担うようになる。例えば高温を扱うガラス工芸や鋳造、日本刀、力仕事でもある造船などの大規模機械作成、季節仕事であるだるまや熊手作り、危険な作業である花火作成、祭りなどの行事や踊りなどの非言語文化、他にも色々考えられる。
それで飯を食っている人には脅威かもしれないが、広い目で見れば個々は安価になるので普及に繋がり、市場はむしろ活性化するかもしれない。一介の主婦でも関の孫六を持ち、一軒家は必ずガーデニングやクリスマスイルミネーションがあり、壁にはアートが飾られ、事件事故や火事でも死者は少なくなり、・・・というのも夢ではない。
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