2016年12月29日木曜日

アイカツシステムの実現



原理的なことは何も説明されていないが、カードで一瞬で着替えられるというのなら「欲しい」と思う。これを実現することは可能だろうか。
だが、あれが仮想空間の話だというのなら、番組の中での整合性は取れるのだが、欲しいとは思わない。ここでは実際に着替えられる解を考えてみる。
一つ考えられるのは、3Dプリンタによるその場での製造だ。だが、現状の3Dプリンタの生産速度は遅すぎるので、劇中のように数秒で作ることはできないから、高速な作成法が必要だ。
現状の3Dプリンタには色々種類があるが、一番速いのは紫外線硬化型だ。これは、紫外線硬化プラスチック(液体)の中に台座を置いて、それを沈めながら表面に紫外線を照射してやるものだ。現在はこれはレーザーヘッドが動くことで対応しているが、ディスプレイのように全体を一瞬で光らせるか、ないしはレーザープロジェクタのようなやり方でスキャンすれば、一瞬でできる。それでもその後台座をちょっと沈めて、液が均質になるのを待つ必要はある。
類似のやり方で粉を使うものもある。これなら粉を撒いて平らに均すのに、一層一秒くらいまではいくかもしれない。素材は合成樹脂に限られてしまうが、柔軟な素材は使えるし、解像度も布程度のものは今でも作れるから、大丈夫だろう。
問題はむしろ着替えの方なのだが、こちらには妙案がある。服が合成樹脂でできている前提なら、最初から前後二分割するような作りにしてやればよい。最初から来ている服もその方法で作られていると仮定すると、前後の継ぎ目を剥がして前後に引っ張れば一瞬で脱げる。映画「アイアンマン」の装着シーンのように、ロボットがその服を引っ張って剥がし、代わりに新しい服を持ってきて、継ぎ目を付ける。
継ぎ目の作り方だが、普段の動きで剥がれては困るので、マジックテープくらいでは心許ないかもしれない。合成樹脂なら化学的接着や熱溶着が簡単だが、この場合は剥がすのにカッターやはんだごてが必要になる。大量のボタンやホックというのも考えられるが、デザイン性に制限が出る。
あと、考えられるのはチャックだ。今のチャックは人間が扱う前提だが、ロボットが前提ならもっと小さく、細かくして、目立たないように作ることができるだろう。複数作って強度を増すのもよい。これも3Dプリンタで一緒に作ってやれる。
カードで選ぶのはあくまでUIであって、よく着るものはあらかじめストックとして持っていた方が簡単である。そうすれば毎回3Dプリンタで作る必要はないのだ。だがカードだけ持ち歩いて旅行し、行先で着替える、となると、やはりカードには3Dプリンタの設計図が入っているとした方がよい。
思考実験としては面白いが現実性はないかというと、そうでもない。例えば体が不自由な人の着替えに使うのはどうだろうか。無意識に上着を想定していたが、これは下着でもおなじことだ。服を脱がせてもらい、入浴して、着替えを着せてもらう。これを全てロボットができるのなら、恥ずかしくないし、人に迷惑もかけない。ベッドに仕込んでおいて、ついでに下半身の洗浄機構をつけておけば、オムツの取替えもできる。手術後の尿導管も必要なくなる。感染症の疑いのある病衣を洗濯に廻さず、そのままリサイクルに廻すことだってできる。
また、「服を買う」という概念が変わるかもしれない。データで買い、体に合わせて微調整ができ、クリーニングせずともそのままリサイクルする(再度素材に戻し、来シーズンに改めて作り直す)ようなこともできる。そうすれば「洋服ダンス」は殆ど不要になる。自分で色や形をアレンジして楽しむのも、暖かさなどの機能性を入れるのも、コンピュータでちょちょっと弄るだけでできるようになる。

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