2016年12月8日木曜日

協生農法植物工場

なぜかソニーが推進しているのがこの協生農法だ。通常の農業とかなり発想が異なり、一般の農家にはまず適用できないが、自己消費や小規模農家にとってはかなり興味深い農法になっている。

その概要は、多種大量の種を狭い範囲に撒き混成させ、また全部刈り取らず随時間引きしながら収穫する、というもの。個々の収穫効率は低いが、密生するので面積当たりの収量は通常の10倍だとか。また肥料も農薬も使わず、手入れは殆ど必要ないそうだ。

何だか一見胡散臭いように思えるが、個々の事象を検討してみるとそうでもない。例えば連作障害を簡単に抑えることができる。連作障害の原因は特定の栄養素が不足することだが、これを回復させるために他の植物を植えるというのは普通に行われていることだから、わざわざ年単位でローテーションする必然性は本来ないはずだ。

また、背の高い植物と低い植物が混成することで日陰ができるが、そもそも陰生植物には強い光は必要ないのだから日陰に植えて正解だ。わざわざ日陰を作って育てるより効率的だ。

密生すれば脇芽を摘むほど育たないからその手間が省けるし、生命力の弱い種は上に出てこない。雑草が生える余地がないほど密生すれば、雑草をとる必要もない。肥料や水も、欲しい植物が多く取り、要らない植物は取らないから平均化される。通常より遥かに密生するため、個々の効率が悪くとも全体的な収量が向上するのも納得だ。

これに植物工場の原理を組み合わせることはできないだろうか。例えば50リットルサイズのプラスチックコンテナに人工土を入れ、同様に密生させるのだ。土の中の状態は超音波や電波、赤外線等で透視し、地上は肉眼で見ることで成長を監視する。ほぼ毎日、全コンテナをチェックし、育った植物を間引きする。間引きした植物の多くは食用になる。

もともと、植物工場で土を使ってはいけない、という法はない。土を使わないことが清潔感に繋がることは確かだが、あくまでイメージに過ぎない。土があれば菌やバクテリアが育つだろうが、それも植物に必要なものだ。特に根菜や豆では土は必要である。

植物工場の欠点の一つはそのコストなのだが、面積当たりの収量が10倍ならば、人工光でも採算が合う。根菜や豆を栽培することもできるのではないか。

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