2018年7月31日火曜日

完全無人店舗2


以前の登校「完全無人店舗」で思いつかなかったことがひとつある。かつてのセブンイレブンは、商品全部にバーコードをつけるようにメーカーにお願いして回ったのは有名な話だ。これは、バイトでもレジ打ちを間違えず、またレジのスピードアップにも繋がった。同じことを、搬入や掃除にも適用できるのではないか。

つまり、全てを本社がコントロールできることを前提として、必要な規格化は全て本社が行い、店舗はそれに合わせて規格化する、というものだ。Amazon Goより更に上を行く無人化を、複雑な人工知能による学習などナシに成り立たせる。

まず、商品には、バーコードではなくTRONコードを記入する。バーコードが商品の種類毎に付くのに対し、TRONコードは一つ一つに付く。同じ商品でも、区別がつけられるわけだ。

次に、それらの商品について、形状、外観、重量、柔らかさ、温度管理条件、消費期限などがデータとして提供される。これは本社が計測しても良いし、ベンダが提供しても良い。このデータを以って、ロボットは商品を一つ一つ掴んで並べ替えることができる。データさえあれば正しく動くロボットは、個々の状況を把握して臨機応変に動くロボットより安価に作ることができる。

手前に引き出せる棚があれば、ロボットが棚を引き出し、奥のものを手前に詰め、足りないものを補充することができる。消費期限切れのものをピックアップして破棄するのも、画像認識よりIDに頼る方が確実だ。

また、レジにしてもロボットが対応できる。かごから一つ一つ出してIDを読むだけでよいからだ。支払いは電子的手段のみにしてしまえば安全だ。

Amazon Goの場合は、大量のカメラと画像認識を使って商品の取り出しと人への紐付けを行っていた。一方で補充は人手だった。こちらは逆だ。補充の自動化がメインで、レジはロボット化したものの、手順は変わらない。

アプローチが異なる理由は、もちろん発想が違うからだ。Amazon Goの店舗にはゲートがあり、入るときに認証が必要だ。普通のコンビニにこの仕掛けは使えない。また、レジ打ちと商品補充ではどちらが重労働か、どちらがノウハウを要するか、を考えてみれば、今や後者だろう。万引きの問題は明らかにAmazon Goの方が有利だが、日本では労力削減の方が重要だし、もしそれでも万引きが心配なら監視カメラとアラームを強化する程度でよい。

棚と床の形状も規格化してやれば、掃除ロボットも導入できる。こうすることで完全無人になれば、24時間営業も復活するし、多少採算性が悪くても維持できるはずだ。

2018年7月30日月曜日

救助スタントロボット


https://www.gizmodo.jp/2018/07/disney-stuntronics.html

ディズニーが作っているスタントロボットの映像が載っている。空中ブランコを想定しているようだが、これを見て思ったのは、災害救助に使えないだろうか、ということだ。

パニック映画ではよくある、危険な場所への進入や脱出を、ロボットで行うというものだ。もし失敗しても代わりはあるし、身体能力は幾らでも高められる。人間では不可能なことも可能だろう。危険だからとあきらめていた救助ができるようになる。

人間型ロボットであれば、脱出路は人間が通れることが容易に確定できるし、パワーだけは上げてやれば、人を抱えて脱出することも可能だろうし、はじめからそのための仕掛け(背負子など)を取り付けておくことも可能だ。もちろん人間型である必要はなく、様々な道具となりうるロボットを同じように送り込むことは可能だろう。一体でなく何体送り込んでも良いし、人さえ生還すれば送ったロボットは無理して回収せずとも良い。

現場に送り込むのはクレーン車とロボット群を載せたトラック、という未来も、あながち非現実的とは限らない。

2018年7月29日日曜日

寺と死とブロックチェーン


多くの場合、仏教の寺は死者への弔いで生計が成り立っている。その寺の多くは存亡の危機にある。

葬儀が簡略化しているというのがその背景にある。都会ではもはや自宅でも寺でもやることは少なく、斎場任せになっている。火葬場に直接僧侶が出向いて経をあげてお終い、なんて事例も増えている。

これに自動倉庫型がくっついてしまえば全部ここで済む、なんて仕掛けも、そのうち出てくるだろう。そうなれば僧侶はそこで待機するだけのコマの一つに成り下がるだろう。物理的な寺は不要になり、流派の違いで揉めるほど後継者も出ず、大きな流派が小さなところを飲み込んでいく。大型ショッピングモールが個人商店を飲み込んでいったように。

そんな時代、ここにもう一つくっつけて欲しいのは、「手続き」だ。遺産の整理相続もそうだが、今の時代なら情報もここに集約できないだろうか。すなわち「デジタル遺産」と「デジタル過去帳」だ。

デジタル終活というとデータを消すことばかり考えるが、保存も考えなければならないのではないか。例えば隠し子や隠し資産、隠し借金などの証拠がそこにあると、むしろ消してもらっては困ることもあるだろう。もっと言えば犯罪の証拠が残っているかもしれない。本人だけでなく他人の証拠も含めてだ。

そういった情報は、法的な根拠を持って開示請求があれば開示する、という仕掛けをもって、暗号化の上保存する。それも半永久的、ないしは数十~百年といった長期の保存になる。そんな保存には分散が必要であり、ブロックチェーンはその候補になるだろう。

死亡証明がデジタルになって、例えばGoogleがそれを受けてアーカイブをそこに吐き出し、アカウントを閉鎖する。後は役所の手続きによって開示可能になる。そういった仕掛けは、結構良いアイデアに思える。

2018年7月28日土曜日

コンテンツブロッキング


NTTが違法漫画コンテンツサイトをブロックしたことは議論を呼んだ。個人的には法整備を待たずにブロックしたことは問題だと思う。しかし元々の言い分(それしか方法がない)というのもまあ分かる。さっさと法整備をすればよいとは思うのだが、検閲に繋がらない形で上手く法整備をするにはどうしたらよいのだろうか。

これは漫画だけでなく、音楽、映画、書籍、全て当てはまる。このため、まずはこれらを統合して見る視点が必要である。また、コンテンツブロッキングが最も良いものなのか、他に手段はないのかについても当然考える必要がある。

まず、違法著作物を発見する方法だ。これにはマッチングと通報が考えられる、このうちマッチングは中身を見に行くため、通信業者自身が行うのは問題だ。従って、第三者が通報するという形を取りつつ、通報者としてはコンテンツホルダーが共同で出資するような監視組織(会社)を作るのが良いだろう。これならリアルタイムに近い通報が可能だ。

次にブロックの手法だ。なぜ訴訟ではなくブロックになるのかと言うと、相手を特定できない、特定しても直ぐに逃げられてしまう、新たなサイトを次々と建てられいたちごっこになる、という特徴があるからだ。これはネット固有の情報であると言えるだろう。

監視組織内に通報だけでなく検証(お墨付き、確かに違法である)ができるのであれば、その情報をもって遮断してしまうので良い。確認して遮断するのでは、やはり検閲になってしまう。そうでなくても組織を分ければ良い話で、要はプロバイダ自身でないこと、法的な背景を持つ組織が指示するのなら良いわけだ。但し勿論この組織も恣意は許されないので、きっちり証拠を保管して検証可能にしておく必要がある。

最後に、ブロック以外の手法を考えてみる。違法配信サイトは、コンテンツは無料で提供しているが、実際には広告収入やユーザ行動情報の売却で生きている。従って、違法サイトに金銭的利益をもたらしている業者に懲罰を掛けることは可能なはずだ。これは単純にサイトを閲覧すれば得られるから、また別の組織が通報を受けて情報を収集し、例えば「再委託先を確認せずに広告を投稿することを禁ずる、違反したら罰則」などとしてはどうかと思う。

もう一つ、ここまでではあくまで防護策であって、犯人は野放しである。違法コンテンツの接続先開示義務(罰則付き)を海外にまで広げる条約を広げるべきである。

2018年7月27日金曜日

AIは「受付」になる


何でも知っている神様のようなAIを開発しようと思えば、膨大なシステムになってしまうだろう。しかも、それが正しいかどうかを検証するには、同じく神様のように何でも知っている人をあてがわなくてはならない。こんなことは不可能だ。

ではどうするかというと、「専門化と統合」になるはずだ。医者の診療科と同様、専門と細分化が進めば進むほど構築は容易になる。だが問題は統合の方で、的確な専門AIにたどり着けなければ、そもそも正しい答えは得られない。

例えば、専門分野が違えば答えが全く異なってしまうような文言があったとする。統合AIは、どちらのAIに訊くべきか(どちらのAIからの答えが質問者の答えに適しているか)を判断しなければならない。

質問に対する答えを用意するAIと、質問者が求めている答えが何なのかを推測するAIは、学習目標が異なる。こちらを鍛えるのは、それ自体が一つの学問となるほど難しいのではないか。

これがGoogleアシスタントのようなものであれば、A/Bテストで鍛えられるのではないか、というのは早計だ。恐らくはそんなに単純なものではない。単体の文言ではなく、その個人の個性や前後の文脈からも内容は変わってくるはずだからだ。

統合AIは専門家AIの存在自体を認識していなければならないし、ユーザのフィードバックを自分自身と専門家AIの両方に還元しなければならない。しかし、自分が間違ったのか専門家が間違ったのかを判断できないと、専門家が誤ったフィードバックを受けてしまう。

この問題をストレートに解決する方法は当面はないのだろう。ではどうするかと言うと、対話をするわけだ。要は、「それはXXとXXの分野のどちらで訊いていますか?」と素直に訊けばよい。この方法はエレガントではないので、そのうち新しい手法が開発されるのだろうと思う。

その方法とは、単独ではなく長期に渡る文脈が問題を絞り込む、ということを実現するもので、単純にインプットを増やすのではなく、時系列での絞り込み(ないしはリセット)をする仕掛けだ。AIが単純に幾つも並んでいるのか、「忘れるAI」なのかは分からないが、その辺の技術はまだ未研究の分野であり、ブルーオーシャンでもある。研究者の奮闘に期待する。

2018年7月26日木曜日

遅延なき野外コンサート


大きな野外コンサートでは、多数のスピーカーを設置するのが普通だ。そうしないと音が遅れるし、一つのスピーカーで大音量を出すと近くが迷惑だからだ。しかし、遠くのスピーカーの音が聞こえなくなるわけではないので、やはり遠くでは複数の音が入り混じって聞こえにくい。

これを解決するのに、超指向性スピーカーを使うというのはアリだと思う。つまり手前では手前のスピーカーの音しか聞こえず、遠くでは遠くのスピーカーの音しか聞こえないようにする。超指向性スピーカーとは言っても、実際には干渉縞を自在に制御できるから、直線状に配置する必要はない。スピーカーの位置をGPSやカメラ等で把握してコンピュータ制御することで、スピーカー内のどこでも快適な音場を生成することができる。

これは、複数の超音波トランスデューサの干渉縞で会場をスキャンする、といったやり方になる。トランスデューサの干渉縞が会場をくまなくスキャンできるように、超音波(搬送波)の周波数や位相を都度最適化してやるわけだ。このこと自体は、スピーカーの位置(距離と角度)の関係さえ分かれば計算できる。

このシステムを使えば、必要以上に大音量にする必要はない。ロックフェスだけでなく、ポピュラーやクラシックでも使われるようになれば、それはそれで文化的な生活を促進できるだろう。

2018年7月25日水曜日

貼るサプリ


http://harulab.jp/
https://quanis.jp/
http://www.elementalist-jpshop.com/patch-md.html
https://www.patchmd.com/Technology.html

既に結構売れているらしい。しかし細かく見ると、方式は二種類ある。一つは、皮膚の上に有効成分の保持体があり、皮膚に密着しているもの。もう一つはマイクロニードル、要は微小な針が多数あり、針そのものが有効成分でできていて、皮膚に刺さって溶ける、というものだ。

調べてみると、マイクロニードルにもいろいろ種類がある。上の製品は、「生体溶解型」と言われていて、針そのものが溶けてなくなるものらしい。単なるパッチに比べるとチクッとくるが、針が細いので痛くはないそうだ。

そして、このマイクロニードルは、糖尿病におけるインスリン投与のための開発が続けられているそうだ。

http://www.dm-net.co.jp/calendar/2016/025274.php

これによると、体内の血糖値を検知して、必要な量のインスリンを放出できるという。つまり自動調整が可能なわけだ。そこで思いついたのだが、他のいわゆる微量栄養素についても、同様の自動調整ができないだろうか。

血糖値に反応する物質が存在するのであれば、ビタミンB1に反応する物質があってもおかしくない。その調子で、ビタミンミネラル各々に対して物質を発見できれば、常に体内の微量栄養素レベルが一定に保てるのではないだろうか。

これが実現するなら、人間の食事はたんぱく質、炭水化物、脂質だけでよいことになる。相当に栄養のバランスが崩れていてもパッチで何とかなるなら、本当に好きなものだけを食べて暮らすことができる。

2018年7月24日火曜日

漆黒のVR部屋


現在のVRゴーグルの欠点は、重く大きいこと、また密閉するので蒸れることだ。端的に言えばレンズが曇ってしまう。暑い。長時間装着できない原因の多くはこれだ。

なぜ密閉するのかと言えば、周りが明るい状況でも使えるようにするために他ならない。であれば、周りが暗ければ問題ないのではないか。もっと開放的に作れるのではないか。

そこで考えるのが、防音ルームのような密閉の部屋だ。音は別に関係ないので、枠だけ針金で作って布を掛けるのでもよい。ただその場合、遮光性と、もう一つ、VRゴーグルからの光の漏れが壁に映らないようにしなければならない。

そこで思い出すのが、史上最も黒い物質「ベンタブラック」である。これを使った塗料は既に開発されている。この布の内側にベンタブラックを塗れば、VRゴーグルから光が漏れても吸収され、影響はないはずだ。

開放型VRとベンタブラック簡易暗室の組み合わせ。意外とイケるのではないか。

2018年7月23日月曜日

1/8計画


東武ワールドスクウェアには、世界の有名な建築物のミニチュアが多数展示されている。そこには同縮尺の人形も多数置いてある。あれを見ていて思ったのだが、あの人形がをロボットで、目のところにカメラがあって、それをVRで見ることができたら楽しいだろうな、ということだ。

しかし、ただ楽しいだけかというとそうでもない。有名なウルトラQの「1/8計画」は、人間を縮小して1/8サイズの町を作ろうという話なのだが、その理由は土地不足・食糧難の解消だった。もしVRであっても1/8の町で日中大部分を過ごせるなら、食糧難はともかく土地不足は解消できるのではないか、と思ったからだ。

映画「サロゲート」のように、朝起きたら椅子かベッドのような接続装置に入り、以後はトイレと風呂と睡眠以外はそこで過ごす。ゴーグルが嫌ならマルチスクリーンの部屋でも良い。映るのはミニチュアの町だ。

まあ完全にソフトウェアの町でも良いのだが、それはそれ。ミニチュア+ロボットの方が、何となく安心できないだろうか。それに、ソフトウェア的にはその方がずっと簡単にできるのだ。なにせ物理的に作りこんでしまえば良いのだから。人間(ロボット)同士の干渉や個々の位置からの見え方などは物理の法則に任せ、映像の配信とロボットの操作だけに専念すればよい。

例えばスケールを1/8にすると考えると、身長180cmの人は22.5cmになる。ロボットとしてはちょうどよい大きさだ。細かい模型も作りやすいだろう。人間並みの動き(例えば手指)は今すぐには無理だが、需要が出れば技術は発達していくだろう。

最初は町ではなく、イベント会場ないしは遊び場(遊園地)が良いだろう。例えばバンジージャンプが気兼ねなくできるが、物理法則が異なる(スケールする)ので、実際のそれとはまた違った体験ができる。

一つ面白いのは、実物とロボットとが絡むことだ。コンサートに行くと、生身の場合は席から遠くて歌手が見えない、双眼鏡必須、などということはあるが、これなら8倍の大きさだから、誰でも間近に且つ大きく見える。むしろ通常のコンサートよりウケるかもしれない。

1/8に限らず、更に小さいサイズのものも作ってよいかもしれない。例えば1/32なら5cm足らずだ。1/8では狭い家も、1/32なら広大な家になる。貧乏人は1/32、普通の人は1/8、金持ちは1/1、などというすみわけもできるだろう。

2018年7月22日日曜日

AGIの誤謬


人間の頭は無限に大きくないし、速度も無限ではない。

なぜこんなことを言うのかというと、どうもAGIに対する懐疑的な考え方の中に、この事実を忘れている人がいるのではないか、と思うからだ。理論上の「汎用」と、現実世界における汎用は、大きく異なる。

例えば、よく言われる理屈。「AIは限られた場面でしか対応できないが、人間は対応できる。」これはウソだ。人間だって限られた対応しかできないし、AIも何らかの答えは出せる。それが適切かどうかは勿論別の話だが、それは人間だって同じことだ。

そんなことはない、と言えるだろうか。例えば宇宙飛行士がトラブルを回避するためには、地上で様々なシミュレーションを重ねる必要がある。これはつまり、「それ専用の学習」なのだ。人間だって学習しなければ対処できない。していれば対処できる。

では、熱いものに触って思わず手を引っ込める所作はどうか。人間は学習していない、と言えるだろうか。いや、言えない。それは反射回路として神経系に組み込まれているが、これは長年の進化の賜物だ。脳の学習ではないが、進化や自然淘汰も学習の一種である。
将棋専用のAIは囲碁には対応できない。それはその通りだ。だが、将棋専用の人間はそもそも居ないのだ。

その人間は何十年と「汎用の人間」として生きてきて、その間将棋以外のさまざまな体験(=学習)をしている。メシも食えば親に怒られたことだってあるだろう。根本的に学習の量が違うのだ。ルールを教えてもらう、ルールブックを読む、ということ自体、学習によって得た能力なのだ。比較するのは不公平、いや卑怯である。

つまり、今のAIは、人間に比べて学習量が圧倒的に不利なわけだ。生まれてから今まで、視覚触覚などの五感はずっと動いていて、常にインプットされてきた。また、脳の神経回路大きさは、今のAIのどんなニューロンネットでも適わないほど大きい。万年単位での進化も経験している。そんなGI(汎用知能)と、高々数十年の歴史しかないAIが勝負しても、勝てるはずがない。

人間と同じ大きさの神経回路を、五感を持つロボットに搭載して、二十年日夜教育する。そこまでして初めて、AGIが可能かどうかが分かる。本来はそういうものであるはずだ。そして、AIはデジタルツインやVR環境による学習の加速が可能だ。そこまでして学習してやることを前提とした場合、「AGIはできない」という主張にどれほどの説得力があるのか、個人的には大いに疑問である。

確かに今はその筋道は見えていない。しかしAGIが理論的に不可能だと言うには、まだ数十年は早いと思う。

2018年7月21日土曜日

ナッツのオイル漬け


蜂蜜漬けというのはよく聴く話だが、オイル漬けとは何だ。しかもその先には更にヘンな作り方、保管方法が書いている。何のためだ。しばし話をお聞き頂きたい。

【材料】
  • ナッツなら何でもよい。アーモンド、ピーナッツ、カシューナッツ、など等。塩、無塩、何でもよい。但し一袋に入っている量は小さい方がよく、脱気されたものにする。通販や業務用ではよく見かける。
  • 容器。そのナッツの袋が入って十分に隠れるサイズのもの。もちろん油が漏れないよう、密閉されていること。
  • 油。食べられる油でよければ何でもよい。また高価なものは必要ない。機能性も不要である。
【レシピ】
  1. 容器はアルコールなどで消毒しておく。煮沸までは必要ない。ナッツの袋も同様。
  2. 容器にナッツの袋を入れる。袋は開封しない。一つの容器に複数の袋を入れても良い。
  3. そこに油を入れる。ナッツの袋が完全に油に浸るようにする。もし浮いてくるようなら押さえるためのもの(これも石ころでも何でもよい)で押さえ、蓋をする。
  4. その容器を冷凍庫に入れる。
【食べ方】
  1. 冷凍庫から容器ごと取り出し、油を切る。油が固まっているようなら取り除く。
  2. 袋を石鹸や洗剤で洗う。よくすすいで、水を切り、拭く。
  3. 開封して食べる。
これはいったい何の冗談か、と思うかもしれない。このレシピの目的は、「非常食」だ。

ナッツは高い栄養価があり、サバイバルフーズとしては体積(重量)効率が高い。登山でもよく行動食として使用される。しかしナッツは酸化しやすく、長期間保存するのは難しい。(これに対して、粟や黍のような穀類は長期間日持ちするが、そのままでは食べられない。煮炊きが必要である。) そこで、長期間保存するために考えたのが、「オイル漬け+冷凍」、というわけだ。

もともと、冷凍するだけでも効果はあり、1年くらいはこれで対応できる。蜂蜜漬けもあるが、自宅で作るものでは長期保存効果は期待できない。オイル漬けにすれば空気に晒されるのを防ぐことができるが、直接オイルに漬けるのでは開封に伴う雑菌の混入が心配だ。そこで、脱気した袋をそのままオイル漬けにして冷凍する、という方法を思いついたわけだ。

もし震災で電気が止まっても、そこから食べ切るまでの間くらいは十分に日持ちするから、十分に防災食としては機能するはずだ。問題は、こうすることによって何年もつのか分からないこと。2年か5年か10年か、試す方法はないものか。

尚、同様にドライフルーツの袋も漬けておくと良いと思う。

2018年7月20日金曜日

ドローン記者


ニュース原稿を書くには取材がつき物だが、これがドローンやロボットになるという可能性はないだろうか。

記事自体を書くことには、既にAIが進出してきている。野球中継や株式市場などのニュースでは、実用になっているところもある。だが取材はまだ人に頼っているところが多い。

しかし、例えば記者会見のような定型的な取材なら、ロボットでもよいように思う。

自らは質問せず、映像と録音だけすれば良いのなら、カメラだけでも良いし、質問するのも最初はAIでなく、遠隔で良いかも知れない。一台のロボットを複数の報道機関で共用できるのなら、大きな会場も不要になる。TV会議でも良いかもしれない。結局、質疑応答が記者会見の本分なのだから、生身の人である必然性は本来ないわけだ。

取材を受ける側がロボットになるということは考えにくい。アピールだったり謝罪だったりするわけだから、ロボットに任せるのは失礼、という心理が働くはずだからだ。それでも、例えばニュースリリースをFAXや電子メールで送付するだけというのと、人を派遣して取材するというものの中間として、AI同士がやり取りするような、新たな取材が発生する可能性も、なきしにもあらず、だ。

囲みや突撃、あるいは裏取りのような場合はまだ困難だろうが、それも時間の問題かもしれない。ロボットに囲まれての取材ならむしろ、安全を配慮して押さないとか車の発進の邪魔をしないとか、道端にたむろして住民の迷惑になるとかいうのを軽減できるかもしれない。

2018年7月19日木曜日

防災対策


http://committees.jsce.or.jp/chair/node/21

南海トラフ地震における土木学会の被害予測が出ている。20年累計で、経済被害 資産被害 財政的被害が各々 1,240 兆円 170 兆円 131 兆円だそうだ。また一方で、38 兆円以上掛けて対策することで、減災額(減災率)は 509 兆円(41%)になるという。

この数字は、インフラの中でも「クリティカル・インフラ」のみの数字であり、道路と港湾は入っている一方、例えばコンビナートは入っていないし、鉄道も入っていないように見える。また、「下限値」との明言もあり、はっきりとは示されていないが、実際にはこの何倍にもなるものと思われる。

対策の基本は道路と港湾の耐震化、例えば橋梁強化や無電柱化などだ。基幹系を優先して行い、筋が通っていれば、後はやればやるほど効果が出る。まあ土木学会の算定数字だから多少の色(対策工事費ちょうだい)はあるにしても、対策の投資効果が10倍程度というのはそこそこ説得力のある数字だ。

38兆円という数字、20年掛けるとなると年間1.9兆円だ。途方もない額にも見えるのだが、日本の一般会計予算は約百兆円で、そのうち公共事業は7兆円くらいであるから、それほど非現実的な数字ではない。この1割でも5%でも割り当てれば、その10倍の効果はあるはずなのだ。

土木学会の数値を更に分解していけば、38兆円のうち効果のある3.8兆円を抜き出して20年で集中投資する、などという案も考えられるだろう。そこまで提言してもらわないと、素人としてはどうしてよいか分からない。

そして、折角発表があったのだから、国は無視しないでしっかり拾い上げ、これに対応して欲しい。同じ公共事業でも、使われない道路よりは防災対策のほうが、はるかに有益なはずだ。

2018年7月18日水曜日

仮想通貨が奪うもの


ベンチャーがICOで資金調達をする例が増えてきているそうだ。ICOとは、要は新規の仮想通貨を発行して、それを買ってもらうことにより現金を得る手法である。買った仮想通貨はそのベンチャーのサービスの使用権や製品の購入に使用することができる。

仮想通貨を買う輩の顔は見えないし、株のように経営に口出しをすることはできない。クラウドファンディングよりも更に緩い(ベンチャーにとってはカネは得られるし口は出されない都合の良い)資金調達法と言える。志も低くなるだろうし、詐欺も増えるだろう。それでも有志の調達法としては有効だ。

ベンチャーキャピタルやクラウドファンディングよりもこちらが主流になることは明白だ。そしてカネの流れが変わると、他にも変わるものが出てくる。

というのは、従来は一部の投資家にしか流れなかった情報が広く流れ、ICO通貨も誰でも買えるようになるタイミングが早くなる、ということだ。

今の時代、特許でがんじがらめにして権力ビジネスをするのではなく、素早く立ち上げて世界中に広める方が早く楽に儲かる。多くのサービスは画期的なアイデアではなく使い勝手に依存するから、開発スピードが速い方が重視される。そこには短期に多くの資金調達が必要であり、エンジェルへの説明資料の作成やら訪問やらの時間も惜しいはずだ。

その点、ICOならあっという間に世界中から調達できる。煩いことを言う奴もいない。そして相手も見えないから、万一(殆どだが)潰れても後処理楽だ。

一方で買う側としては、多数に少しづつ投資して、どれか一つでも化ければ大儲け、という感覚で買うだろう。エンジェルのように詳しく吟味したりはしない。このため利益率は悪くなるが、市場全体としてみればベンチャーに流れる額は大きくなる。

エンジェルはこれに混じることになるので、平均的ICO投資家たちよりは利益率は高いものの、あまり重視されなくなる、という結果になる。つまり、従来よりエンジェルは儲けにくくなる、ということだ。

エンジェルは例外なく大金持ちだ。ピケティに倣うまでもなく、金持ちと貧乏人の格差は放っておけば広がるばかりだが、その理由の一つはこのような「投資」の効率にある。それが立ち行かなくなるのであれば、貧富の差が広がりにくくなる、ということに繋がるのではないだろうか。

従来は銀行や証券会社経由で中間搾取されていたものが、素人でも少額でも直接投資できるようになるのなら、これは結構明るい未来かもしれない。

2018年7月17日火曜日

コードが絡まない巻き方


家庭の電源ケーブルや各種信号ケーブルの巻き方が間違っている人が多い。ケーブルを何も考えずにぐるぐる巻くと、軸方向によじれてしまう。巻く時、解く時にこのよじれを解消すれば問題ないが、意識しないでいると中の電線に強い負荷が掛かり、断線することもある。

これを解消するには、八の字巻きにするのが最も簡単だ。登山用ロープや、長いケーブルをさばくテレビ局などでは常識である。

近年ではロープを使う機会も減ってきたので、この手の「生活の知恵」のようなものは減っている。そのうち無線接続や無線給電が普及して、本当に絶滅する知識かもしれない。だが、USBで大電力給電が可能になっているような時代だ。今はまだ、覚えておいた方がよい。

2018年7月16日月曜日

半再帰性反射素材


道路の白線や「止まれ」などの文字には、半再帰性反射素材が使われている。白線塗料の場合、その実体はガラスビーズである。球体ガラスに光線が進入すると、どの方向からであっても来た方向に反射する。このため、ヘッドライトで照らされるとその車にはよく見えるが、周りにはあまり影響しない。

ガラスビーズが球体ではなく変形していたら、またそれが揃って配置されていたら、特定の方向から来た光線は、斜め方向にズレて再帰性反射をするはずだ。それを黒い塗料の上に並べたら、どんなことが起こるか。

それは黒いスクリーンで、地面から垂直に立っているものとする。太陽光線や照明は斜め上から当たるので、それが正面には反射しないように並べれば、スクリーンは黒いままだ。一方で、斜め下から投射するプロジェクタの光が正面に反射するようにすれば、その光だけが見えることになる。

そうすると、「明るいところであってもプロジェクタの投影画像だけが見えるスクリーン」が作れるのではないだろうか。

もしできたらこれは凄いことだ。明るいリビングでも大画面が見られるし、映画館も真っ暗にしなくてよい。日中のプロジェクションマッピングも可能だ。単純に壁の模様替えに使うなど、ライトな使い方もできるようになる。

問題は、そんな材料が作れるのかどうかだ。球体ならただ混ぜれば良かったが、ゆがんだ形のものを並べるとなればそうも行くまい。材料の大きさも十分小さくないといけないし、形の精度も要求される。

可能か不可能かと言えば可能ではあると思う。立体印刷やレーザー加工など、高度な技術を使う方法はあるだろう。後は安価にする方法があるかどうかだ。まずは高価な方法で実証し、有効性が認められれば、何とかしてやろうと考える輩が出てきてもおかしくない。

2018年7月15日日曜日

API接続AI


仕様書がない古いデータベースのデータ要件を、実際のデータから推測するようなAIは、既に存在する。例えば殆どは日付が入っているが一部にゼロがある場合、そのゼロには恐らく別の意味があるのだがそれを推測するとか、あり得ない日付が入っているときに打ち間違いと判断して確からしい日付の候補を出す、といったものだ。

世の中にはずいぶんオンラインサービスが溢れてきたが、個人が持つ情報とそれらを繋ぐことはまだまだできない。もちろんそれなりの知識と作業量があれば可能なのだろうが、それでは割に合わないからだ。

例えば個人が集めている収集物(切手コインなど売れば価値があるもの)のデータベースをExcelで作っている人がいたとして、それらの市場価値予測を新たなカラムに入れたいと思ったとしても、Excelデータと市場価値予測サービスを繋ぐのは困難だ。どこにどんなサービスがあるか分からないし、繋ぐにもデータクリーニングが必要だろう。そこまで苦労しても、本人が満足するだけで利益を生み出すものではない。何百万円も掛ける価値はそこにはない。だが、それが簡単に安価にできるのであれば、話は別だ。

APIと言ったが、昔流行ったマッシュアップの自動設計と言っても良いかもしれない。行きたい店のリストをGoogleマップと繋ぎ、経路と料金表示をリアルタイムで行いたいとしたとき、少なくとも「Googleマップ」と指定すれば、手元のExcelデータがどのAPIと繋がるかを示し、必要に応じてデータクリーニングしてくれるようなAIがあれば、あっという間に作ることができるはずだ。

このサービス自体もSaaSとして提供してやり、学習結果(データクリーニングの成否)をフィードバックできるようになるなら、世のアプリはもっと繋がりやすくなり、世の中は便利になるはずだ。

2018年7月14日土曜日

BLE-LPWA連携


https://fabcross.jp/news/2018/20180524_braveridge_blerouter.html

BLEとLPWAはどちらも超低消費電力だが、BLEは近距離で速度が速く、LPWAは長距離で遅い。この両者を組み合わせようとするのは自然なことだ。

BLE-LPWAが搭載されているのはIoTセンサだ。長距離向け情報はそのまま流し、短距離向け情報は送らずに貯めておいて、近くに読み取り端末が来たときだけそれを吐き出す。そうでなければ容量に応じて捨てる。

都会なら既にLPWA網は整備されているので、そこからネットに繋がるから、どこのセンサの情報でも手に入る。一方で少し都会から離れると、LPWA網がないため自前で構築しなければならない。これはいわゆるマルチホップが有効だが、元々の通信容量が少ないLPWAでは難しい。従って、リクエストに従って都度マルチホップにするような仕掛けが必要になるだろう。

例えば田畑なら、何十kmも自宅から離れているということはないだろうから、リビングにLPWA-BLEルータを置いておいて、最後はスマホに繋げる、というようなものにすればよい。もっと広域の、例えば地すべりモニタのようなものなら、町外れに一つルータを立てておいて、そこにセットトップボックスと携帯電話通信をつなげておくようなものになるだろう。

防犯カメラのようなものなら、毎日巡回する警備員が近づく度に詳細データを収集するとか、植物工場ならコンベアで順に読み取り装置に送る、というようなこともできるだろう。もちろんそれはルーチンワークであり、異常があれば直ちにLPWAで信号が飛び、要員が駆けつけることができる。

2018年7月13日金曜日

AIが解する手順書とは


ロボットによる家具の組み立て用手順書」を読み返してみて思ったのは、これってもっと根本的に使えるよねぇ、ということだ。家具の組み立てなら決定論的な手順書だが、これは農家が野菜を育てるのでも同じで、ある程度抽象化され曖昧さが残る手順書をAIが解釈して組み立てるという点では一緒ではないか。

つまり、家具の組み立て手順書の前にはパーツの製造手順書があり、その前には原材料の作成手順書があり、その前には栽培・採掘・精製等の手順書があるはずなのだ。抽象度とレベルの違いはあれど、それらが整っていれば全部ロボットが作ることはできるはずだ。


個々の手順書は、恐らく独立に考案され、似たような悩みを違うレベルの人が抱え、解決するのだろう。だがこれでは繋がらない。もっと俯瞰した視点が必要だ(そのほうが効率的なはずだ)。なぜなら、結局それを読み解き実行するのはAIでありロボットなのだから。

例えば、インプットとアウトプットの定義、その途中は組み立てと加工と捕獲・育成等と種類が分かれる。当然コストや時間などは共通パラメータとして必要だし、環境の調整(温度湿度ガス濃度など)が必要な場合もある。廃棄物も出るだろうから、そういったものの処理方法などは共通でよいはずだ。

その各々にAIが動いているとして、インプットとアウトプットと廃棄物、エネルギー・コスト、期間などの組み合わせが上手く相互接続するなら、これは全体最適化と言ってよいはずだ。今風に言うならSociety 5.0というところか。究極の姿というのはこれなのではないか、と思う。個々のエージェントが自ら探すのも良し、マネージャーがいて摺り合わせるのもまた良しだ。

2018年7月12日木曜日

開いた医療チェーン


例えば医療改革において、最初の診察から結果、支払い、薬の受け取り、その後の経過、医療控除申請までを一貫して行いたいと思ったときにネックとなるのが、各々の業者が全て異なっているために接続ができないということだ。実証実験では無理やり繋げるのだが、それが終わってしまえば広まらない。こういう問題は至るところにある。

例えば薬局がオンラインになっていない、競合する別のお薬手帳ベンダに登録している、電子カルテのメーカーが違う、などの細かい問題が、それを阻んでいるわけだ。この解決方法は二つしかない。一つは全部を統合すること、もう一つは異なるシステムでも繋がる仕掛けを作ることだ。前者が広まらないのであれば、後者を考えるしかない。

これは、必ずしも新たな情報システムを作ることを意味しない。例えば薬局に無料で端末を入れましょう、という方向性では成功しない。なぜなら薬局のやり方を少しでも変えることが必須のシステムならば、必ず拒否するところが出てくるからだ。つまり、従来のシステムを「全く」変えてはならない。

これには多分に患者本人の努力が必要になる。もちろん連動しているところはそれに任せるにしても、例えば、医者や薬局から貰った書類を全て写真に撮る、必要に応じ紐付ける、といった作業だ。しかしそれさえできれば、バックグラウンドでOCRやAIを駆使して連携させることはできる。

例えば、日付と時間(写真を撮った日付時間とOCRで読み取れた日付時間)を見て、また処方を見て、これは風邪の治療であり医療控除の対象である、ということは分かる。これが健康診断であれば医療点数にはそう出るから自動で弾く。領収書と点数を見れば、複数の点数項目のうち、医療控除に必要なものだけを抽出できる。

あるいは保険料の通知書などと付き合わせて撮り忘れを指摘することもできるし、薬局のレシートからサプリメントを外して加算することだって可能だ。

医者に掛かっていることをGPS等から感知して音声を自動で録音し、文字起こしすることもできるだろう。そこから医者が言わなかった注意事項を検索して重要度別にリスト化することだってできるはずだ。

医者と薬局が連動していなくても、例えば処方箋番号で突き合わせることもできるはずだから、レセプトチェックにも応用できることになる。直接繋がっていなくても完璧でなくても良いから、こういったオフラインを間に挟んでも機能するシステムを構築すれば良いのだと思う。

これは医療に限らずあらゆることに応用可能だ。何でも写真に撮って、録音して、そこから分かることを最大限に活用する。そういう視点でのサービスは、まだまだ伸びしろがあるはずだ。

2018年7月11日水曜日

AIがAIを創る


現在のAIが自我を意識してスカイネットのように振舞う、と考えている人は、専門家の中では皆無だろう。巷では色々言う人がいるが、それは門外漢だ。専門家は今のAIの限界が良く分かっている。

しかし、それは将来的にもAIが人間並みにはなれない、ということではない。永久機関とか時間旅行とかとは違って、やり方がまだ分かっていないだけ、将来的には可能性はある。その一つが、AIが自分自身のアーキテクチャを変えていく、というものだ。

現状ではこれはできないのだが、ここで一つ発想を変えてみて、二つのAIがあって、一つがもう一つのAIの振る舞いを見つつアーキテクチャを変えてみる、という構図を思いついた。更に言えば、一つのAIが多数のAIを見つつ、学習の成果を見て少しづつ違うアーキテクチャを試す、という構図も考えられる。また、相互に相互を変える、ということも考えられるだろう。あるいは複数の階層化もあり得る。

もちろん無限に変えることはできないのだが、例えば複数のAI同士の接続を変えてみるとか、精度の悪いAIの資源割り当てやアルゴリズムを変えてみる、といったことは可能なはずだ。こうすると、単純に精度や速度が向上するだけでなく、機能の向上も図ることができるのではないか。

このアイデアを基礎として、そのやり方自体の研究を進める。例えば、まずトータルアーキテクチャとしてのI/Oと、部品としてのAIを抽象化したモデルを作り、その相互接続を複数のアーキテクチャで定義し、入れ替えのコマンドと学習データの維持・消去について指示ができるようにしておく、・・・といったものだ。

この研究がそこそこ上手くいけば、いよいよ専門家ですらシンギュラリティを信じる気になる日がくるのではないだろうか。

2018年7月10日火曜日

自動運転車の効


https://wired.jp/2018/05/28/autonomous-car-traffic-jam/

これは面白い。20台に1台程度であっても、一般車に混じって自律走行車がいれば渋滞が緩和される、という研究結果の報告である。

その心は、いわゆる自然渋滞の緩和だ。前の車がブレーキを踏むと、後ろがブレーキを踏む。そのタイムラグとブレーキの強さはだんだんと後ろで増幅されていき、後ろのほうでは渋滞してしまう、というのが自然渋滞の原理なのだが、途中に自動運転車が介在すると、数車両前のブレーキを検知して減速を始めるため、これが緩和されるというわけだ。


20台に1台というと5%だ。現在の自動車保有台数は78百万台。この5%となると390万台。また自動車の寿命は平均13年弱だそうだ。毎年600万台の新車が供給されている計算になる。単純計算では、新車の5%(30万台)が自動運転車になれば、13年でこれが実現してしまうことになる。

このペースではいささか速過ぎるとは思うが、例えば年間1万台で始めて徐々に増やしていく、というレベルなら十分に可能な数値だ。それに都心の方が普及量は多いはずだから、ブレイクも早く訪れる期待がある。

そのうち、自動運転車専用の駐車場(狭いが安い)やガソリンスタンド(誘導が不要な分安い)等が出始め、自動運転車が優遇され始めることも考えられるし、今のカーシェアが積極的に自動運転車を配置することで回転率が上がる、などの現象も起こるのではないか。これは何れも、自動車の活用を促進し道路のキャパも上がるなど、万事に良い効果をもたらす。

敢えて言えば更に出歩く人が増えて、渋滞は解消されないかも知れない。

2018年7月9日月曜日

Oculus Venues


https://www.moguravr.com/oculus-venues-first/

VRによる「中継同時体験プラットフォーム」だそうだ。要はコンサート会場とか野球場のスタンドとかに自分が座っている状態をVRで再現し、見ているものは本物のライブ中継、というもののようだ。他の人と一緒に見ることもでき、隣の人と会話することもできるが、一人で見るモードもあるとのこと。

こういう技術の可能性については何年も前から取り沙汰されてきたわけだが、いよいよ商用の実物が出てきたとあって、具体的な使い道について改めて考える機会が出てきている。今の予定を見ていると、コンサート、野球、ライブショーなどで、基本有料のもののようだ。

まず、VRであるところから、機器1台に付き一人しか見られない、というのが大きい。もし普通に動画放送であれば、大画面にして何人にでも見せることができる。これではチケットの価値が薄れてしまう。配信側にとっては非常に気になるところだったはずだ。

本物には負けるものの、動画配信よりはずっと画質や臨場感は高い。また世界中に配信できることから考えても、動画よりは高額なチケットも売れるだろうし、総額も稼げるはずだ。

従来のYouTuberのような人が進出することも考えられるが、ライブであることを考えると一工夫必要である。まず映像垂れ流しではいけないし、一方向からしか見られないようでも困る。観客からのフィードバックを受けた反応、例えば声援の大きさによる受け答えの時間が微妙にずれる、といったことも必要だ。しかしこれはライブをやっていた人には分かる感覚だから、さほど難しくない。

配信側の工夫は少し必要だろう。スポーツのように勝手に垂れ流してくれるようなものならまだしも、例えばマジックショーで観客に協力を乞う、といったことはあっても良いはずだ。

そしてもう一つ、この仕掛けはもっとローカルに落ちてきても良いはずだ。代表的には学校の運動会。直接見に来るのは親だとしても、例えば遠地の祖父母が参加できる。単に動画配信では多数の親に対処できず難しいだろうが、これなら各々は自分の孫だけに注目して見ることができる。部活動での試合、習い事の発表会なども同様だろう。

そのためにはそれなりの機材やセッティングが必要だが、例えばコンサート会場や公用の体育館などなら、あらかじめ設置しておくという手はある。これは防犯カメラとさして変わらない手間でできるはずだ。

これは設備にとってもOculusにとっても良い収入になるので、値段の設定次第ではあるが、伸び代のあるビジネスではないかと思う。

2018年7月8日日曜日

レーザーVRゴーグル


幾つかの企業が、弱いレーザーによるMRゴーグルを発表している。それを使うと空中にディスプレイが浮かんでいるように見える。レーザースキャンなのでピント調節の必要がなく、消費電力も少なく、カラー化も可能だそうだ。

仕掛けは通常のVRゴーグルよりずっと小さく、軽い。これを見逃す手はないのではないか、VRでも使えばよいのに、というのが本稿の提案である。このMRゴーグルに白い紙を貼れば出来上がり、という簡単さが特徴だ。

現状では視野角が制限されているため、そのままではVRゴーグルとしては不足である。上下左右とも数倍の拡張が必要だ。そのこと自体は致命的なものではない。多少ゴテゴテするだろうが、VRゴーグルよりはマシ、持ち歩きが何とか可能な範囲に収まると思う。

今のVRゴーグルは視野を完全に覆うのに対し、このゴーグルはめがねに準じた開放型になる。このため明るい部屋では使い辛いが、その代わり長時間着けていても疲れず、重くも感じないだろう。曇ることもない。使い分けは可能であるし、明るいところでは白い紙を外してMRゴーグルとして使えばよい。

2018年7月7日土曜日

ブロックチェーンはバズワードになるか


夢の技術は、そろそろ幻滅期に入ってきている。その後ブロックチェーンは生き残れるだろうか、そして再び立ち上がれるだろうか。

外から見ると、BitCoinの価値の乱高下や新しい仮想通貨の乱立などが目立ってしまうが、技術的に見ればそれは本質ではない。ひととき言われてきた処理速度の問題も向上してきた。だがそれでも懸念はある。51%攻撃はその一つだし、チェーンの長さが無限に長くなる問題、ストレージ容量の非効率も解決していない。スマートコントラクトの取り消しができない問題、データのプライバシーなど、細かく見ていけばまだまだ問題はある。

結局、ブロックチェーンは分散処理におけるアルゴリズムの一つに過ぎないのだから、他にもっと良いものが出てくればそこで流行らなくなる。分散処理における諸問題を解決するためのアルゴリズムは、ブロックチェーン以外にも多数あるし、そちらも日々進歩しているからだ。

ブロックチェーンが解決しようとしている課題は、センターレスな取引の信頼性確保である。これに対して完全に全ノードを公平に扱おうとすれば、多数決と全履歴の全ノード保管に基づくブロックチェーンの手法は確かに一つの選択肢だ。しかしこれは大量のノードに大量の重複データが存在することを意味しており、データ量、通信量、計算量の大きな無駄だ。

Rippleのように、二重枠を作るというのは一つの手だ。即ち、Proof of Consensusである。他、合意の下データを破棄したり圧縮ないしは間引きを行う仕掛けを「内側の環」で行うことも必要だろう。例えばアーカイブ化(オフライン化)だ。ブロックやスマートコントラクトの有効期限設定や修正なども考えられる。

そうやって色々と複雑化していけば、もはやそれはブロックチェーンとは言えない、新しい分散システムとして新たな名前が必要ではないか。そちらのほうが優れていることが決定的になったときが、ブロックチェーンの終焉である。

2018年7月6日金曜日

ロボット向け植物


https://wired.jp/2018/05/29/robotic-pollinator/

蜂の代わりに受粉をするロボットだそうだ。まだ非常に原始的で、完全に代替することはできない。しかしこれが進化して行けば、何れは蜂は不要になるかもしれない。

その際の進化は、必ずしもロボット側だけとは限らない。遺伝子組み換えや淘汰の促進などで、植物側が進化する方向性もある。その究極の姿は、かなり異様なものだ。

例えば花の形状だ。ロボットが取り出しやすいように花弁は開き切り、一方で蜜を出す必要はないので退化する。向きが揃っている方が取り出しやすいから、一方向にのみ花が咲く。重ならず開きすぎず、適度な間隔で咲く。もちろんその後の実の収穫も同様だ。

植物にしても畜産動物にしても、人間に適合するために随分自然とは離れた進化を遂げてきたが、ロボットに適合するために更に進化が促進され、極めて機械的な植物が生まれる。考えてみれば十分に気持ち悪い世界ではあるが、食糧生産が工業製品と同様の安定度で作られるなら、それも受忍すべきものなのかもしれない。

2018年7月5日木曜日

Google Payだめだめ


この度Google PayがWAONとSuicaに対応したのだが、どうもすっきりしない。
  1. WAONのチャージにはWAONのクレジットカードが必要で、他は認められない。
  2. SuicaのチャージにはVIEWカード以外も使えるが、簡易版(EasyモバイルSuica)だけ。これは定期券が使えず、オートチャージもできない。それらが使える本物(モバイルSuica)には相変わらずVIEWカードが必要で、他のカードは年額費用が取られる。
  3. nanacoはGoogle Payからはチャージできない。nanacoのチャージにはやはりセブンプレミアム系のカードが必要。
  4. オサイフケータイ対応でないと使えない。NFCではダメ。
  5. Google Payからはロックできない。また、スマホのロックは連動せず、オサイフケータイのロック機能しか使えないが、多くの機種ではロック方法がPINのみで、指紋認証などは使えない。そのPINはオサイフケータイのみのPINとなる。
  6. Google Pay対応のクレジットカードが極めて限られる。
なぜかは想像がつく。クレジットカード陣営の囲い込みだ。決してGoogleのせいではないのだが、それでどれだけ商機を逸しているのか分かっているのだろうか。

こういう既得権益系は、日本においては牙城が固い。国が主導するなど、なんとかしてほしいものだ。

2018年7月4日水曜日

自分だけに見えるプロジェクションマッピング


プロジェクションマッピングとMRはよく似ている。違うのは二つ。一つは使用する道具。二つ目は、誰に見えるか。

言うまでもなく、プロジェクションマッピングで必要なのはプロジェクタで、そこに居る人になら誰でも見える。一方でMRが使うのはMRゴーグルで、それを装着した本人にしか見えない。

ここには一つの隙間がある。MRゴーグルというのは結構なもので、持ち歩くには大きく重いし、見た目も悪い。少なくとも外で使うことははばかられる。しかしプロジェクションマッピングにすると他人にも見えてしまう。VRでもARでも本質は同じで、あのようなおおげさなゴーグルを被らずとも自分だけが見えるような映像はないものか、と思うわけだ。

この代表例として、カーナビやマンナビが挙げられる。これらはそこにいる他人には関係のない情報だが、何れも外や街中で使うものだ。また、カスタマイズしたコマーシャルや情報のものもそうだろう。自分の知人が近くにいるか、などもそうだ。

そんな要求を満たす、自分だけに見えるプロジェクションマッピングというのはありうるのだろうか。実は、完璧ではないにせよ、一つあるのだ。それを実現するのは、再帰性反射素材だ。

道路や歩道にこれを敷き詰めておく、というのがその前提になる。実は再帰性反射素材は、いわゆる白線(横断歩道や停止線)には既に埋め込まれている。従って新たに敷き詰める必要は必ずしもないのだが、そうでない白線も多いし、白線以外にも敷き詰められているのが望ましい。

そこに、個人が持っているプロジェクタで投影する。この場合、出力が弱くてもよい。再帰性反射は効率が高いので、明るい日中でも十分に見ることができるだろう。恐らくはポケットやかばんなどに仕込んでおいて、画像解析でリアルタイムに追随性を得るようなものになるはずだ。

場所によっては全く役に立たないという欠点はあるものの、都会ではそれなりに使えるものになるかもしれない。

2018年7月3日火曜日

ダイナミックプロジェクションマッピング応用


最初にこの技術を見たのは随分前だが、その間も進歩しているようだ。改めて応用を考えてみたい。
  1. 早着替えができるため、コンサートや演劇での衣装に適用できそうだ。但し形までは変えられないから、形が気にならない場面か、あるいは形を変える工夫が必要になる。仮面ライダーの変身にも使いたいが、やはり形がネックだ。
  2. 自動車のクレイモデルに投影して、色や模様の検討に使用する。同じく、服のデザインの検討に利用する。同様のデザイン検討には全て応用できる。
  3. 球技の球に投影することで、影で見にくくなるなどの緩和に使用する。
  4. 同じく球技で、地面へのノータッチ・ワンタッチを色で表す。
  5. 似たようなものが多数動いている状況で、トレースすべき一つをハイライトする。例えば工場の製品検査で、異常があるものを取り除くために使う。あるいは人ごみで容疑者を追うのに使う。
  6. 飛翔する害虫をトレースして、レーザーでやっつける。もう少し物騒なものとしては、敵機の撃墜、暴動で放水の的に使うなど。
  7. 猫の遊びに使う。逃げ回る光として。この場合は猫に投影するのではなく、猫の目先に投影するところが違う。
まだまだあるだろう。また思いついたら追加してみたい。

2018年7月2日月曜日

遠隔法要参加サービス


日帰りがきついような遠くでの法要、また葬式ではなく何周忌、というような場合は、やはり出られなくなる確率が高くなる。これをTV会議やロボットエージェントでやるというのはアイデアとしては真っ当だが、恒常的にサービスとして立ち上げているところは聞いたことがない。「費用が掛かるから」と葬式自体が減っていく中、これは新たな葬儀ビジネスの種になるのではないか。

ただ、単にTV会議を導入すればよいとは限らない。儀礼である以上、リビングでリラックスしながらというのはさすがに緩すぎるだろう。高齢や重病などであれば勿論別だが、近所の葬儀場に正装で来る位のことは必要ではないか。そすうればTV会議システムも式場に固定できる。

つまり、システムはこうなる。
  1. 全国チェーンの式場、ないしは式場間提携ができた式場での参加となる。
  2. 従来の感覚よりはずっと小さい遠隔式場と、主会場からなる。遠隔会場のキャパシティのイメージは、8人程度。それ以上の場合は複数の部屋を割り振る。
  3. 主会場には隠しカメラが多数ある。主要なところを固定で狙っている。故人の写真、棺、献花・香炉台、司会、送辞、読経など。
  4. 主会場の正面左右にはディスプレイがあり、遠隔会場からの参加がある場合はそこが映し出される。ない場合は式次第やイメージ映像などが流れる。
  5. 遠隔会場は基本的に複数台のディスプレイが並んでおり、香炉や献花台などの物理的な装置が若干備わっている。
  6. 記帳と香典は式場で預かり、現金書留で郵送する。
  7. 基本的に、遠隔会場にはスタッフは張り付かない。
  8. 主会場のカメラはAIで切り替わり、式次第に沿って最適な画像が遠隔会場に転送される。遠隔会場の様子は基本的に出席者を向いているだけだが、送辞などが遠隔会場からある場合は切り替わる。
  9. これとは別に、TV会議セットを自宅や病室に届け、会場を見られるだけのサービスも設定する。今ならiPad一つでも可能だが、それをどの程度準備するかの匙加減は分からない。
  10. 通常の式典より当然費用はアップする。主会場1割増し+遠隔会場毎に2万円程度が適当か。
もしチューニングが上手くいけば、従来は弔電+香典送付で済ませるところを遠隔で出席、という人が増えるだろう。もちろん献花や貸衣装(黒服)、食事等の付帯消費ある。出席者の満足度も高くなるだろう。

これがもっと進むと、自宅周辺以外は全てこれで行うとか、葬式だけでなく結婚式など他の儀式でも、同様のことができるようになるかもしれない。

2018年7月1日日曜日

怪獣退治の新手法


凶悪な怪獣が出現した。ウルトラマンはいない。防衛隊の攻撃も歯が立たない。そんなときに、近年の科学を使って怪獣を攻略する方法として、どんなものがあるのだろう。
  1. 怪獣の皮膚や血液を回収することは難しくないはずだ。これをDNA解析してやる。そして怪獣に感染させることが可能な病原菌、ウィルス、プリオンなどを特定してやる。もちろんこのためには免疫系の情報も必要だ。
  2. 濃酸、濃アルカリで溶かす。
  3. 高出力レーザーで穴を空けてやる。
  4. ドローンを飲み込ませて、体内で爆発させる。
  5. 大量のドローンで死角から迫り、自爆攻撃する。
  6. 強磁界で脳を狂わせてやる。
  7. 強烈な光で目を潰す。
  8. 強烈な臭いで追い払う。
  9. VRで天敵を見せる。
この中で、レーザーで穴を空けるというのは本当は使えるのだろうと思う。劇中ではバンと破裂するだけだが、実際にはビームを絞ることで貫通することは可能なはずだ。なぎ払えばカッターのように切れるだろう。そうすれば大抵の怪獣は秒殺である。ウルトラマンの出番はない。

お疲れ様。帰ってビールでも飲むか。

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