電子書籍を前提とすることで、雑誌の「詳しさ」に連続性を持たせる、というのがこの主旨だ。雑誌そのものはパンフレットのごとく薄く、値段もタダないしは極めて安価にする。その代わり、個々の記事にはバーコードやQRコードを付けておいて、スマホなどで読み取り、購入すると電子書籍で読める。課金は記事毎にされるが、一定量以上の記事を読むと定価に達し、その号の他の記事も読み放題になる。
これは雑誌の場合だ。小説などの場合は、例えば最初の10%などを印刷しておいて、続きはバーコードにしてやる。地図なら縮尺の大きいものと小さいものの間で同じことをしてやる。
実際の見え方だが、スマホの場合はかざすことでURLに飛ぶ、というのが一般的だろう。だが表示をVR形式にしてやると、一定の視覚効果を伴って読むことができるのでまた面白い。例えば、バーコードの下に一定の空白があって、そこに文字や絵図が表示される、つまり通常の雑誌を読んでいるのと同じように見える。これをスマホでなくHMDで見ると、正に攻殻機動隊の世界が再現できることになる。文字でなく、アバターを表示して喋らせたり、動画コンテンツに繋げるなども当然あってよい。
また、紙の上部に概要があり、下部に詳細があるような記事の場合、上部は印刷しておき、下部のVRをスクロールさせることもできる。実際の紙の下部は空白なわけだが、VRがそれを隠してWebのような文字表示をするわけだ。この場合は当然、指の動きを検知してフリックやスクロールの動作をさせることができる。タダの紙なのにタブレットのように使えるばかりでなく、タブレットでは不可能な高速ページめくりを、物理的な本を使ってすることができる。
その効果だが、こうすることによって本は基本的に薄くなるので、本屋はカタログショップのような形態になり、少ない店舗面積で冊数を稼ぐことができるようになる。これにより、小さい書店でも大きな書店に対抗できる他、コンビニの一コーナーに置くなど、気楽に「書店」を作ることが可能になる。また、店舗毎の陳列や品揃えの個性も出しやすくなるし、主な売上げはライセンスになるので、万引きの心配がなくなる。
読者の視点で見ると、電子書籍ストアでは不可能だった、ふらっと来て眺めて衝動的に買う、という行為ができる。また、気楽に物理的な(薄い)本を手元に置く、つまり「積読」が容易になる。これはロングテールを引き出すので、出版社のメリットにも繋がる。
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