2016年10月9日日曜日

Google Assistantとプライバシー

Google Assistantに関し、プライバシーの侵害を懸念する記事が幾つか出ているようだ。

その主旨は概ね同じ。膨大な個人情報を読み込ませるからこそ気が利いた回答が出せるのだから、だがGoogleはどの程度情報を収集しているかを曖昧にしている、云々。だが技術的に見ると、少し違った答も出せる。

AIの代表格である多層ニューロンネットワークの学習方法は、入力に大量のデータを入れることだ。だがその結果としてニューロンネットワークがどれほどの情報を持つかといえば、各ノードの係数がほんの少し変わるだけだ。果たしてそれが個人情報と言えるのか。

たとえ思想や病歴などの機微な情報を入力したとしても、情報がそのまま記録されるわけではない。たばこを吸っている人が肺がんになる確率が上昇するというのは一般論だが、では肺がんになったその人(個人)がたばこを吸っているか、とAIに訪ねても、答は「何%の確率で吸っています」としか返せないだろう。なぜなら、肺がんになる確率は、受動喫煙や大気汚染の影響も受けるし、遺伝の影響もあるだろうから、たばこを吸っているという入力があったとしても、そのものズバリを覚えているわけではないのだ。

もちろん、元のデータを持っている(ないしは過去に入手したはず)という点ではこの記事は正しい。だが、Googleといえども無尽蔵にカネがあるわけではない。世の中の全ての情報を記録し続けるなど不可能だし、そもそも興味はないだろう(興味があるのは国や警察の類だろう)。そしてGoogleが入手可能な情報が、他の組織では入手不可能とも思えない。Googleのみを使い、FacebookもtwitterもLineもAmazonも使っていない、という人は少数派だろう。

Googleは広告やWebサービスで成り立っている会社だ。国と違って民間からそっぽを向かれたら立ち行かない。むしろプロバイダや携帯電話キャリアの方が、お上の許可認可が必要な分、警戒すべきと言えないだろうか。
 

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