2016年10月23日日曜日

AIが人間のルールを破壊する

テスラの新しいプロモーション動画を見たのだが、それで思ったことがこれだ。

人間社会には様々なルールがある。テスラの例で言えば交通ルールだ。今までは、自動運転車は交通ルールに従うことがまず求められる。だが考えてみればこれは人間のためのルールだ。例えばアメリカでは、赤信号でも支障なければ右折してよいところが多い。これが日本ではダメ(日本は左車線なので左折)なのだけれど、その理由の線引きは実は明確でない。

だが何れにしても、これらの根本にあるのは「事故を起こさないこと」である。つまり本来なら、事故さえ起こさなければ赤信号で左折しても良いはずだ。それが禁止されているのは、人間が運転するから、「ある程度即時に認知可能な明確なルール」が必要なのだ。目的がルール化し、その先に「ルールを守っていないこと自体を罰する(目的は関係なく)」状態になっている。

もしAIが充分に賢ければ、赤信号でも標識でも速度制限でも駐車違反でも無視してよい(その代わり事故を起こしたら全面的に責任を負う)ようなことは考え得る。例えば駐車違反のところに駐車して、誰か来たら自動で避けるとか、誰も通っていない一方通行道路を逆走するとか。その対価として、よりスムースな交通(早く目的地に着ける、渋滞が緩和される)が期待できる。

もちろん、大規模災害時には指定道路以外走れない、救急車が来たら道を譲る、といったような、人間なら違反しやすいが重要なルールは、逆に律儀に守られることになる。さて、どっちが住みやすい世の中だろうか。

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