海に、太く長いパイプ(筒)を垂直に立ててやる。筒の下側には逆浸透膜が貼ってあり、上側は海面より上で開放されている。すると当然、膜の部分に圧力差が生じ、筒の中に淡水が吹き出す。これが提案の基本原理だ。
パイプに溜まった淡水はポンプで汲み上げるのだが、この際に少しからくりがある。パイプは海底ないしは陸地に固定されるのではなく、船に設置され、重りで沈んでいるだけだ。つまり、パイプの位置は海面に対して固定されている。これに対して、パイプの中の淡水を吸い出すポンプは、陸上に設置されている。
パイプの中の淡水の水位は重りとのバランスで決まり、海面との距離は一定である。一方でポンプは相対的に上下するので、水位が高いときに(満潮時)に吸い出すことで、ポンプの圧力を低く、つまり電力を節約して吸い出すことができる。吸い出した分の水はまた浸透圧で元に戻るが、それには一定の時間が掛かるから、次回の満潮までに一杯になるように調整できる。
パイプと言ったが、中空であれば構造は何でもよい。欲しい水の量に応じて数を作ってもよいし、広い面積のものを作ってもよい。海底に固定すれば四六時中の汲み上げは可能だろうが、効率は落ちるだろう。
日本近海の干満の差はそれほど高くないが、海外では数mに達するところも多い。そんなところに設置すれば、エネルギー効率は高くなるはずだ。またそういう場所は赤道近くで淡水が不足する地域が多いので、余計重宝するだろう。
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