3Dプリンタでオブジェクトを形成中に電子回路を埋め込む、ということは、技術的に可能だろう。基板に取り付けた状態でも無論良いのだが、例えばケースの裏側に導電性インクを使って直接配線して部品を接着するとか、部品を立体的に配置することでスペースを節約するとかいったことが可能になる。
また、トポロジーの変化も見逃せない。基板は平面状に配置するものだが、3Dプリンタ前提では縦横無尽に配線できる。複雑にはなるが自由度が上がるわけだ。
例えばBluetoothイヤホンを作ろうと思ったら、従来の考え方では、ごく小さい回路を造り、耳の形に合わせてカバーを掛ける、という発想になったろう。これではスペース効率はよくないのだが、耳に合わせて多少でも変形できるように回路を考えておくと、耳の形の中に部品を上手く詰めて作ることが可能だ。回路やバッテリ量を余計に積むことができる。
更には、部品が樹脂と密着するので、防水、放熱、耐圧性に優れる。素材を選ぶことで耐放射線性能が向上したり、磁気パルスに強くなったり、ということも期待できる。更には、パーツのケーシングを省略することで、回路を小さくすることもできる。
こういった回路は、曲線が多く大きさに制限があるものに向いている。先のイヤホンもそうだが、身体障害者用の補助パーツ(義手など)、小型ロボット、文具の電子化などに応用できるだろう。
0 件のコメント:
コメントを投稿