2016年10月7日金曜日

芋豆穀類の培養


現状の植物工場では、葉物野菜しか採算に乗っていない。リーフレタス、水菜、ほうれん草などだ。

これらのカロリーは低く、食料としての位置付けは補助的なものになっている。ではメインは何かと言えば、豆、芋、穀類だ。炭水化物、たんぱく質、脂質を多く含み、カロリーが高く、少量で効率良く栄養を摂取できる。

これらが採算に乗らない理由は沢山ある。まず育成期間が三ヶ月~半年と長いこと、強い光が必要(陽生)、夜や気温の変化が、しかも成長の過程に合わせて必要、脇芽摘みや剪定、脱穀、製粉などの手間が必要、茎や葉といった廃棄物が多く出ること、またそのための(育成)空間が必要、風が必要、土が必要、花粉の受粉が必要、などだ。

これらを一気に解決するのが「培養」だ。培養というと研究室でしかできないような印象を受けるが、殺菌さえ上手くできれば自宅でも可能である。植物工場と違って光は不要であり、細菌汚染の防止と温度と栄養(培地)があればよい。

ただ、例えば芋を培養したとしても出来上がるのは「カルス」であり、芋の形はしていない。潰して芋菓子にでもすれば問題ないが、焼き芋にはできない。

問題は、今までは普通に栽培するのに何の問題もなかったからか、研究をしているところが皆無で、培用法の詳細が何も分からず、費用の算出もできないことだ。例えば培地として何が適当なのか、大量生産に適した培用法、芋によくあるウィルスの問題など。解決どころか問題の列挙もまだできていない。

根本的な問題としてなぜ培養なのか。宇宙船での食料生産はその目的の一つになるが、究極には食料の安定供給ということになる。天候気候に左右されず、狭く山がちな国土でも十分な量を生産可能ならば、食料自給率の向上に貢献できるし、拠点が分散することで大規模災害にも強くなる。

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