2016年10月14日金曜日

常用~流用型災害対応コンテナ

阪神淡路の時も、東北の時も、傷病者の手当てに病院船を、という世論はあったが、また実際に海外からのオファーもあったらしいが、実現しなかったようだ。その理由は未だによくわからない。

自衛隊は医療船を持っていないが、野外手術システムは持っていて、これを船に積んで人道支援をした実績はあるらしい。ただこれはあくまで手術システムであり、通常の医療を目的としたものではない。

コンテナをベースとして、医療を含む様々な用途の部屋を作り、コンテナ船に積んで供給するというのは良いアイデアだと思う。これなら必要に応じて陸路を運ぶこともできるし、下ろして現地に常駐させることも可能だ。また、災害規模や特性によってその種類や数を最適化できる。問題は経済性で、自衛隊の場合は病気より怪我が優先だから手術システム、というのは真っ当なことだ。震災で問題になる透析の対応などは自衛隊の装備としては不要だ(そんな兵士ばかりでは困る)。

考えてみれば、風呂や炊き出しにしても、本来は自衛隊が(戦場で)使うための装備としての必然性があるからこそ存在しているのであって、その量も自衛隊の人数が基礎になっているのだから、災害時に足りるはずもない。

災害時には大量に必要になるが普段は全く使わない、というのは備蓄の考え方だが、そうではなく、普段からあちこちで大量に使っていて、どこかが被災した時にはそのあちこちから広く薄く召し上げて集中して使う、というのが、ここで提案する「常用~流用」型災害支援の考え方だ。海運用コンテナをこのベースにすれば、運搬用の船舶やトレーラーは世界中に沢山あるので、迅速かつ大量に運用できる。

例えば自治体が一定の割合で買い上げて地域医療の充実に使い、非常時に召し上げる量について上限を決めておき、被災地がそれを基に要請できるような仕掛けを作っておく。更には、国境なき医師団や赤十字のような、世界中で医療支援を展開している団体が、同様の仕掛けを作っておいて、世界中に展開しておき、団体同士までが調整して動かすようなことも考えられる。

コンテナの種類としては、
  1. 医療関係
    1. 手術室、手術準備室
    2. 透析、献血
    3. 診察室、待合室、薬局、(医療用)処置室
    4. 病室(入院相当)
  2. 居住関係
    1. ベッド、シャワー・風呂、トイレ、居室
    2. 食堂・炊事
    3. 洗濯(用途別ランドリー)
  3. インフラ関係
    1. 燃料備蓄・浄化槽・上水タンク・発電
    2. 焼却炉(ゴミ処理)
    3. 情報(電話、ネット接続、衛星テレビ受信、充電)
  4. 娯楽(図書、子供向け遊びスペース、映画ビデオテレビ上映、喫煙所、ゲーム、ペット居室)
  5. 集会所、役所、銀行、理容、他汎用スペース
などが考えられる。

なお、テントなどでも良いではないか、そちらの方が安いではないか、という考えもあると思う。それはそれで否定しないが、その方法は常用~流用ではなく、備蓄の考え方である。テントは安いが、居住性も耐久性も悪いから、常用には適していない。

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