2016年10月8日土曜日

Bluetoothイヤホンの耳型自作

ランニングや街中で使うのに、Bluetoothイヤホンを使っている。昔からケーブルが嫌いなのだ。またランニングではケーブルがばたつくのがうっとうしい。だがイヤーフックはキライだ。耳穴だけで保持し、走っても外れないイヤーパッドが欲しいのだが、「外れない」という条件は満たしても、耳穴の一部に強く圧力が掛かり、痛くて長い間着けていられないようなものしかなかった。

高級イヤホンでは既に、耳の型取りによるカスタムイヤホンを作るサービスがあるのだが、自分が欲しいのはBluetoothイヤホン。色々調べたが、対応してくれる店はなかった。またあってもかなり高そうだった。そこで自作をすることにした。

まず、耳の型を取る。これには、Amazonから買った型取りのセットを使った。専用の型取り材と石膏のセットだ。型取り材は寒天のような素材で、固まっても弾力性がある。元々は赤ちゃんの手や足をかたどって記念にしたり、子供が夏休みの宿題で作るようなもののようだ。

耳の周りはガムテープの芯を使って覆い、隙間から型取り材が漏れないように、中央に穴を開けたラップを使って耳を出した上で、型取り材を流し込む。この際、ガムテープの芯に対して型取り材が水平になるように頭の傾きを調節する。更には耳にガムテープの芯が当たるなどして歪まないように注意する。

ガムテープの芯は普通段ボールだが、型取り材は水で溶くので、段ボールだと水を吸って歪んでしまう。だが樹脂製の芯を持つテープがあったので、わざわざそれを買って使用した。なお、テープを先に使い切る必要はない。型取りの使命が終わればまたテープとして使えばよい。

型取り材は数分で固まる。後で分かったのだが、説明書にあるよりずっと水を少なくした方がよかった。その方が硬い型が出来上がる。この硬さは重要で、柔らかすぎると自らの重さで歪んでしまう。またこの型取り材は耳に離型剤を塗る必要はない。

注意深く耳を出し、ひっくり返して石膏を流し込む。この際気泡が入らないように注意する。石膏が固まったらまたひっくり返し、ガムテープの芯から出す。型取り材は用済みなので、ボロボロに壊して石膏を取り出す。ここまでが第一段階。

問題はその後だ。Bluetoothイヤホンの型を同じように取れればよいのだが、相手は電子機器だ。水に溶かした型取り材に漬けることははばかられた。安いので一つ犠牲にするくらいの気だったら問題ないが、自分は別の方法を使った。

まず、耳に当たるスピーカ部分をセロテープで保護する。この手のイヤホンは、大きさの異なる耳当てパッドを複数用意しているが、これをはめる溝の部分に離型剤を塗る。これは単なるワセリンでよい。そしてその上に、本番剤となるジェルをぐるっと廻して塗る。つまりパッドのはまる溝をこれで埋めるわけだ。何回かに分けて塗り、乾かすことを繰り返す。ある程度の厚みが出ればOKだ。

このジェルは、趣味のアクセサリー作りなどで使われるもので、材質的には酢酸ビニル系の木工用ボンドと同じもののようだ。自分は透明なものが欲しかったので専用のものを買ったが、木工用ボンドでもよいかもしれない。好みで絵の具を混ぜれば色々な色のものができる。

耳の形は複雑なので、最後に型から外すためには硬くなる素材は適さない。例えばネイルでよく使われる紫外線硬化樹脂などは不適だろう。石膏を壊す覚悟があれば別だが、この場合は失敗は許されない。

一方で、石膏の耳型にもワセリンを塗り、最初は厚みを得るためにジェルを塗る。この際、耳の複雑な形に追随するようにすれば、外れにくくなる。ある程度厚みができたら、Bluetoothイヤホンをはめ、隙間をジェルで埋める。ジェルは一度に厚く塗ると乾きにくいので、何回かに分けて塗る。形が整ったら取り出し、耳穴に流れ込んだジェルを、彫刻刀で彫って通す。これで完成である。

これも後で分かったのだが、乾燥と共に素材が収縮する。この収縮度合いが結構大きい。一度で完成したと思わず、何日か掛けて作った方がよい。

試行錯誤があったが、それを除けばトータルで二千円いっていないと思う。これで耳掛けをせずパッドだけでも充分に固定されるようになった。耳も痛くならない。

なお、完璧ではないが、これよりもっと安く作る方法がある。百均に行くと、「おゆまるくん」を百円で売っている。これは熱湯の温度で柔らかくなり、常温では硬くなる素材だ。これを適量取り、お湯で柔らかくしておき、取り出すと同時にBluetoothイヤホンに巻きつけ、耳穴に押し込んで形を整えるのだ。この間、数十秒。離型剤は不要、固まったら耳穴を空けるのは同じだ。

耳に押し付けること、また直ぐに固まってしまうことから、熱いし、耳穴に対する負荷は多少高くなるが、道具も何も要らず素材だけで作れ、また何回でもやり直しができる。

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