子供の頃に買ってもらって、実に面白かった。何回も読んでぼろぼろにしてしまった記憶がある。
最初の章は、大地震だったと記憶している。表紙も大地震で崩壊した都市だった。地震には小さいころから興味があったが、これが原点だったかもしれない。
他に面白かったのは、1錠飲むと体が10倍になる薬、同じく1/10になる薬、人間が飛べたら、色がなかったら、摩擦がなかったら、月がなくなったら、・・・ などだ。自然科学を「自然に」学ぶのにはとてもよい教材だ。
人間が飛べる動物だったらどうなるか。人間サイズの体を空中に浮かせるために必要な翼の大きさ、それを動かすための筋力などから考えて、胸に足以上のサイズの筋肉、逆に足は細々と衰え、消化器官が短いため常に糞をし、常に餌をついばんでいる、・・・ あまり幸福な生き物になるとは思えない、という結論だった。
1錠飲むと体が小さくなる薬の章では、2粒目から飲むのが困難になり3粒目ではほぼ不可能、という話が最初に出てくる。そりゃあそうだ。体が小さくなれば薬は相対的に大きく見えるようになるのだから。だがそれは置いておいて何とか飲んだとしましょう、と続くのだが、個人的に科学的考証というものが面白くなったきっかけになった。
これらは、後の自分のベースになっている。それは「根拠を持った想像力」だ。勿論その「根拠」は自分の知識の範囲でよい。知っていることの範囲で矛盾しないことを常に考えながら先を読むこと、これは科学というよりは全ての思考において大事なことではないか。そして「知っていること」(科学に限らず)が多ければ多いほど、その想像は真に近づいていく。
こうすれば、バックボーンとなる自分の知識を広げようとするモチベーションにもなるし、同じ話題について語るにもオリジナリティが出る。ただの夢想とは言っても、(勿論軽く考えるときもあるが)それなりに違ったものができるはずだ。
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